BSフジの看板番組にして、頭を柔らかくする教養クイズ番組『クイズ!脳ベルSHOW』。
普段テレビで見かけないようなゲストが登場するなど、クイズの内容とは裏腹に個性的な番組として中高年の方々に根強い人気を博しているが、この番組の特別版として年に一度放送される『クイズ!脳ベルSHOW特別編 脳ベルプロレスリング』も、中高年のプロレスファンからひそやかな注目を集めている。それもそのはず、スタジオにわざわざリングを設置し、リングアナウンサーの田中ケロがコールすると、入場曲と共に往年のレジェンドレスラーたちが登場。リング上であのころのようなアツい戦い(ボードゲームなど)を繰り広げるのだ!
昨今、長州力をはじめとしたレジェンドレスラーがバラエティ番組に出演する機会も増えたが、いずれも少数に限られやすい。しかし本番組では天龍源一郎、長州力、藤原喜明、越中詩郎、獣神サンダー・ライガー、武藤敬司、蝶野正洋、船木誠勝が一堂に会し、頭脳戦(ボードゲームなど)に白熱するのである。彼らのかつてを知るファンが興奮してやまないのも無理はない。
ということで、そんな出演者も視聴者も元気いっぱいの『脳ベルプロレスリング』の収録直後にお邪魔して、収録の感想をうかがった。
……ところが、長州力はインタビュー直前に次の仕事のため緊急離脱! 長州の人気ぶりを改めて実感することになった。
撮影/ツダヒロキ 取材・文/編集部
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『クイズ!脳ベルSHOW特別編 脳ベルプロレスリング』
BSフジ 2/26土曜 午後6・00~7・55
出演 【レジェンドレスラー】長州力 獣神サンダー・ライガー 武藤敬司 蝶野正洋 船木誠勝 藤原喜明 天龍源一郎 越中詩郎 【脳ベルプロレスリング応援団】神奈月 ユリオカ超特Q ハチミツ二郎 【MC】岡田圭右 川野良子(フジテレビアナウンサー) 【リングアナウンサー】田中ケロ
●レジェンドレスラーがかつての恩讐を超えてタッグチームを結成し、ボードゲームやクイズで対決。空位となったチャンピオンの座をかけてしのぎを削る。クイズコーナーでは、スペシャル問題であのレスラーも出題! ウィー(ユース)!
出場選手紹介
レスラー8名が2人ずつ4チームに分かれ、総獲得点数が1位のチームが空位となったチャンピオンとなる。各チームとも、共闘や反目を繰り返した末の再結成となっている。チームの概要は下記の通りだ。
<長州力 獣神サンダー・ライガー>
バラエティ番組でも活躍する人気者によるコンビ。長州が1998年1月4日、東京ドームで行った一度目の引退試合(5人連続のシングルマッチ)の最後の相手がライガー。リキラリアットでピンフォール負けしたライガーだが、長州から「あとは頼むぞ」という言葉を受け取った。ライガーが本当にはげているかは不明。
<武藤敬司 蝶野正洋>
故・橋本真也を含めて「闘魂三銃士」として活躍。タッグチームとしても日本でのnWo旋風を巻き起こし、1997年の「SGタッグリーグ」を制覇、IWGPタッグ王座獲得などもあり、戦績は十分。蝶野のYouTubeチャンネルでの相次ぐ対談など公私にわたって交流が続いている。
<船木誠勝 藤原喜明>
第2次UWFが解散した後、船木は藤原率いる「プロフェッショナルレスリング藤原組」に参加。しかし、本格的な格闘技路線を目指して離脱し、1993年に「パンクラス」を旗揚げした。現在は和解し、深い絆で結ばれた師弟によるコンビはオールドファンには号泣もの。
<天龍源一郎 越中詩郎>
新日本プロレスでの平成維震軍のイメージが強い越中だが、デビューは全日本プロレス。1985年に全日本から新日本に移籍する際、天龍から“ポケットからあふれるほど”のせんべつを渡されたという。後に天龍&越中組は「天越同盟」として新日本マットでIWGPタッグ王座を戴冠。
脳ベルプロレスリング応援団
スペシャル問題の出題者として出演。誰がどんなレスラーをモノマネするのか? 今回はレパートリー外と思われるレスラーにも挑戦!?
神奈月
プロレスモノマネのレパートリーは幅広く、武藤敬司をはじめ、馳浩、アンドレ・ザ・ジャイアント、天龍源一郎などなんでもOK。しかし、今回の出題では思わぬ人物に挑戦!?
ユリオカ超特Q
長州小力が長州力の「キレちゃいないよ」を押し出したように、藤波辰爾の「飛龍革命」を復古させた功績は大きい。ただし、藤波の代表曲「マッチョ・ドラゴン」のモノマネは本人に不評のようだ。
ハチミツ二郎
「ひまんじ固め」を得意とするなど、メキシコでプロレスライセンスを取得し「西口プロレス」で実際にレスラーとしても活躍していた。もちろんプロレス愛も相当なものだ。
今回も錚々たるレジェンドレスラーが激しい戦い(ボードゲームなど)を繰り広げた。見慣れぬボードゲームやクイズなど、およそレスラーという職業とは縁遠い種目だったが、あるチームは綿密に作戦会議を重ね、あるチームは互いを叱咤(罵倒)し、あるチームは後輩が先輩においしいところを譲るチームプレーを見せるなど、チームそれぞれのカラーを出しながら展開。波乱含みの壮烈な戦いが終わった直後のレスラー、応援団、MCたちを直撃した。
いつか、後楽園ホールで公開収録を(岡田)
――今回の『脳ベルプロレスリング』は『脳ベルSHOW』の通常回と違って、気を遣うところもあるのでは?
岡田 いや、過去にもやっていますし、みなさんもエンターテイナーですから、気を遣わずにみなさんにのびのびとやっていただいてます。私は一プロレスファンとして楽しんでいるだけです。
――プロレスファンとしては夢のようなメンバーです。
岡田 そうです、そうです。その夢のようなプロレススターたちが、素朴なボードゲームを夢中でやっている姿を遠目に見て、おかしくて、おかしくて。本当に楽しかったです。
――応援団のお三方もすごいプロレスファンですよね。
神奈月 若いときから多大なる人生の影響を受けたみなさんですから。その方々が子供のようにゲームをする姿は笑うしかないです(笑)。見どころいっぱいですよ。すごいし、楽しいし。
ユリオカ いつか、プロレスファンを収録会場に入れて見せてあげたい。我々だけで独占して、もったいないなと。いつも我々だけ、特別リングサイドで見させていただいているので。
岡田 いつか後楽園ホールで公開収録をしたいですね。
ハチミツ二郎 昔、家族みんなでプロレス中継を見たように、ご家庭でみんなで見たら面白いと思います。
みなさんとこうして久しぶりに会えてうれしかったね(天龍)
――ご多忙の長州さんはいなくなってしまいましたが、レスラーのみなさんから、番組や長州さんに言いたいことがありますか? これからも続く番組なので、次回に向けて言っておきたいことがあれば。
武藤 今日は(長州の)パートナーが強すぎたよ。長州さんがやっているときは、だいたいゼロ点だったのにさ。
岡田 パワーバランスが今回の対決のネックですかね。タッグチームのクイズで戦うレベルをそろえてほしいということですね。おそらく、これは武藤さんから(パートナーの)蝶野さんに向けてのクレームでしょう(笑)。
藤原 もうちょっと年寄り(注1)にも分かる問題にしてほしいな。若い歌手だとかはあんまりよく分からない。ちょっと古いやつがいいね、浪曲、子守唄とか。
岡田 もう一つ上の世代の問題も出してますけど、もうちょっと上もバランス的に必要でしたかね。
天龍 オレももう引退してるし、忘れられてるのかなと思ったけど、みなさんとこうして久しぶりに会えてうれしかったね。
岡田 そんなことないですよ! 同窓会のような、いい番組になりました。
越中 船木とライガー(注2)がね、ポーンと(クイズ力で)抜けちゃっているから。何とか今度はやっつけないとね。
――船木さんは、今回のゲームの内容やバランスはどうでしたか?
船木 このままでいいと思います。(クイズに正解したときのスゴロクの)サイコロも悪いんですけど、それがまたなんか面白い。大逆転もあって。
岡田 冷静にプロデューサーのようなコメントで、番組の総括をしていただいてありがとうございます。
蝶野 『脳ベルSHOW』では、このプロレス企画を毎回楽しみにしています。この業界の人たちはいつの間にか行方不明になることもあるから、安否確認の意味でも続けてほしいね。
岡田 こういう世代の方が集まって元気をお見せすることで、同世代の方もパワーをいただけますから、ぜひ続けたいです。そしてライガーさん、今回は大活躍でした。
ライガー 普段から見ているし、通常回に出演もして、脳みそをいつも動かしているので!
越中 だからハゲるんだよ。
岡田 やめなさい!
注1・年寄り 藤原は今年73歳。デビュー50周年で、まだまだ現役。
注2・船木とライガー 新日本の若手時代から仲の良かったライガーと船木。素顔時代のライガーがマスクマンになりたがっていることを新日本のフロントに伝え、ライガー誕生のきっかけを作ったのも船木で、当初の予定では武藤がマスクマンになるはずだったという。
田中ケロが無事復帰!
――そして田中ケロさん、復帰一回目のお仕事でした(注3)。復帰おめでとうございます。
田中 これまでにみんな入院したり手術した人もいるし。リハビリの一環として楽しませていただきました。
岡田 復帰されて本当に良かった! 復帰には一番いい番組ですよね。
田中 みなさんとお会いできてよかったです。ありがとうございました。
注3 昨年8月に新型コロナウイルスに感染、重篤化したことが報道された。ついに長い闘病に打ち克ち、この日に一時退院。本格復帰を目指す。また、応援団のハチミツ二郎も新型コロナウイルス感染で8日間意識不明だった経験を持つ。
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