10月の間、「マンガ」をテーマにお届けするTV Bros.WEBの「マンガ大特集」。本日は漫画家・オジロマコト先生のインタビューを公開!
テレビブロスが年に一回、その年に新刊が出た作品の中から一番心にきたマンガに贈る「ブロスコミックアワード」。2008年から始まったこのマンガ賞の歴代受賞者9名に改めて受賞当時の心境とその後を探るインタビュー企画「ブロスコミックアワードのその後、どんな感じ?」。
この企画の第5弾にご登場いただくのは『猫のお寺の知恩さん』(小学館)で2016年に受賞していただいたオジロマコト先生。受賞時の心境から現在までの5年間についてうかがいました。またケンドーコバヤシさんやマカロニえんぴつ、森七菜さんなど多くの著名人から支持されている、「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)にて現在連載中の『君は放課後インソムニア』についても、たっぷりお聞きしました!
取材・文/門倉紫麻
オジロマコト(おじろ・まこと)
●2003年『パクパクマン』で「月刊少年ジャンプ ORIGINAL」(集英社)にてデビュー。2012年~2016年に連載された、背の高い女の子と背の低い男の子の恋を描いた『富士山さんは思春期』(「漫画アクション」・双葉社)が大人気に。現在「ビッグコミックスピリッツ」にて『君は放課後インソムニア』を連載中。
『猫のお寺の知恩さん』…「ビッグコミックスピリッツ」(小学館・2016年24号~2018年45号)で連載。住職のいない古い寺を管理しながら暮らす19歳の知恩さんの元に、高校進学のため遠い親戚にあたる15歳の源がやってきて、共同生活が始まる。
『猫のお寺の知恩さん』全9巻発売中!
ブロスコミックアワードとは…2008年からスタートしたマンガ好きのテレビブロス関係者50人が選ぶマンガ賞。
●歴代受賞作
2008年:日本橋ヨヲコ『少女ファイト』
2009年:岩本ナオ『町でうわさの天狗の子』
2010年:とよ田みのる『友達100人できるかな』
2011年:日下直子『大正ガールズエクスプレス』
2012年:押切蓮介『ハイスコアガール』
2013年:びっけ『王国の子』
2014年:小池ノクト『蜜の島』
2015年:山本さほ『岡崎に捧ぐ』
2016年:オジロマコト『猫のお寺の知恩さん』
2017年:大童澄瞳『映像研には手を出すな!』
2018年:鶴谷香央理『メタモルフォーゼの縁側』
2019年:和山やま『夢中さ、きみに。』
2020年:平庫ワカ『マイ・ブロークン・マリコ』
「捕食者の目線」で描いているのかもしれません
──2016年にブロスコミックアワードを受賞していただき誠にありがとうございました。当時のインタビューでは、「ブロスはいつも読んでいるので」とも言っていただいて。
オジロ:はい。特にルノアール兄弟さんがやられていたコーナー(「ピピピクラブ」)とか、爆笑問題・田中裕二さんの紙粘土が載っているコラム(「天下御免の向こう見ず」)が好きでした。
──受賞したことが「ジワジワ嬉しい」とインタビューではおっしゃっていただいのですが、改めて当時の気持ちを振り返ってみていかがでしょうか。
オジロ:いろんな漫画の賞にちょこちょこノミネートはしていただいていたんですが、受賞したのは初めてで。もともとあまり「わーい!」と喜ぶタイプではないのでジワジワと嬉しくて……今も嬉しいです(笑)。
──『猫のお寺の知恩さん』は受賞の2年後に完結しました。とても幸せな終わり方でしたね。
オジロ:「あの生活がずっと続くんだろうな」みたいな終わらせ方ができてよかったなあと思います。ただ続けようと思ったらずっと続けられちゃいそうなマンガでもあったので、終わらせるのはちょっと難しかったですね。
──今振り返ってみて『猫のお寺の知恩さん』はご自身にとってどんな作品だったと思いますか?
オジロ:すごく思い入れが深いというか……それまでの作品ではやっていないようなことに挑戦できた気がするので、描いてよかったなと。お寺のことを何も知らなかったので調べたり資料を読んだりしたのですが、そういう作り方は初めてでした。そんなに専門的な話にはしていないんですけれど、描きながら知識を得られたのもよかったです。
──『猫のお寺の知恩さん』、その前の作品『富士山さんは思春期』(双葉社)、そして現在連載中の『君は放課後インソムニア』でも思春期の少年・少女たちの姿を描いています。思春期を描くことに喜びを感じていらっしゃるのでしょうか。
オジロ:そうですね。14歳とか15歳くらいの男の子や女の子の心に興味があるんです。思春期のキラキラしたところも、痛さも好きだし……思春期を描いた作品を見るのも好きです。
『君は放課後インソムニア』最新7集10月29日発売!
──特にお好きな作品はありますか?
オジロ:中学生の頃に好きだったのは古谷実先生の『行け! 稲中卓球部』(講談社)。あれも14歳の痛さが出ているし、かわいいところもあったりしますよね。最近だと押見修造さんが好きです。現在連載されている『血の轍』も好きですし、よく読み返すのは『ぼくは麻理のなか』(双葉社)。マンガを描いていてネタに詰まると見てしまうんですよ。何かが具体的に参考になるとかではないんですけど、描かれている感情のうねりを見てすっきりする、みたいな感じがありますね。
──オジロ先生のカメラアングル……特に男の子が女の子を見る時の構図に、色っぽさとピュアさを同時に感じます。カメラアングルに関して、影響を受けてきたものはありますか?
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