オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、トラックメイカー・Yohji Igarashi、音楽ライター・宮崎敬太のチング(友達)同士による、K-POPをサウンド面から深掘りしていく連載。Kカルチャーに造詣の深い2人がサウンドの面からK-POPを分析しつつ、トラックメイカーYohji Igarashiと共に元ネタを探りながら理解を深めていこうという企画。
いつもハミだしまくりの当連載、今回はK-POPの話題はしていません(笑)。芸能人ライフを満喫したというオカモトレイジの近況やYohji Igarashiの新譜、そして東京カルチャー界シーンにあらわれた新キャラ・石井ちゃんの謎、先日クローズしたVISIONの話題など、リアルな東京ユースカルチャーシーンの今が覗けます。
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取材&文/宮崎敬太
・オカモトレイジ、『踊る!さんま御殿!!』に出演する
レイジ:俺、昨日(9月13日)『踊る!さんま御殿!!』の収録してきたよ。デヴィ夫人の隣に座った。
ヨージ:え、まじで!
ケイタ:OKAMOTO’Sとして?
レイジ:いや、俺個人で。映画(『もっと超越した所へ。』)の宣伝ですね。おとといも舞台挨拶があって、がっつり芸能人ライフしてました(笑)。
ケイタ:『あっぱれさんま大先生』以来の共演じゃん。
レイジ:ですです。
ヨージ:普通に考えて明石家さんまってすごいよね。だって小学生と面白くトークして回すなんかできないじゃん。しかもレイジはたぶん放送禁止用語とか言いまくってたでしょ?
レイジ:俺、だいぶ落ち着きのない5歳児だったからね。俺も同じことを思ってたから、それを収録でも言ったんだよ。そしたら「腕や、腕~。やっとわかったか~」って返してくれた(笑)。実際、あの人はハンパないんだよね。ぶつかってくる人が好きな気がする。
マネージャー・佐藤:控え室で収録の様子が見られたんですけど、「編集したの?」ってくらい余計なシーンがなかったのにはすごく驚きましたね。あと収録時間ぴったりなんです。
レイジ:そうそう。なのに出演者全員に同じ分量の話はきっちり振って、面白いとこもしっかり作る。ダレるシーンが一個もない。
ケイタ:すごいリアリティあるエピソード! 絶対に見るわ。
レイジ:いつ放送だっけ?
マネージャー佐藤:9月27日です。
ヨージ:はやっ。
レイジ:ほぼ編集する必要ないからね。
※見逃したかたはTverなどでぜひチェックを!
映画『もっと超越した所へ。』
監督:山岸聖太
脚本/原作:根本宗子
出演:前田敦子、菊池風磨、伊藤万理華、オカモトレイジ、黒川芽以、三浦貴大、趣里、千葉雄大
2022年10月14日公開
https://happinet-phantom.com/mottochouetsu/
・気になる東京ユースカルチャーの新キャラ・石井ちゃん
レイジ:映画関連だと、今度俺の友達だけが来る試写会をやるんですよ。最終的に150人くらいになるんですけど、そのリスト作りがマジで大変で。でもかなーりいろんな人が来ます。
ケイタ:もしかしてそこにリキマルさん(※冊子『T.M.I.』を自主制作したライター/編集者)とかも混じるの?
レイジ:もちろん! ラッパーとかもいっぱい来ます。超カオスな空間を作りたい。あと石井ちゃんもくる。
ヨージ:石井ちゃん!
ケイタ:誰?
レイジ:いま一番ぶっかましてる19歳ですね。
ヨージ:めちゃいいやつ。すべてに真剣。同時に突き抜けたバカでもある。
ケイタ:もうちょっとわかるように説明して(笑)。
レイジ:両手にお水の入ったコップを持ってる状態でさらに何か別のことをしようとすると、システムが処理しきれなくて必ずどちらかの水をこぼしてしまうような子です。ネタじゃなく本気で。
ケイタ:その子とレイジくんはどんなつながりなの?
レイジ:きっかけはインスタのDMですね。3年くらい前に「福岡に住んでる高校生です。音楽も服も大好きでブランドもやりたいし、DJもやりたいんですけど、全部やったら全部中途半端になりそうな気がしてどうしたらいいかわかりません」って送ってきたんですよ。
ケイタ:ピュアだねえ。
レイジ:マジでピュア。俺は「むしろ実家暮らしで失うもの何もないんだから全部始めろ。向き不向きもあるし。今のうちになんでもやっとけ」って返信しました。その半年後くらいに『YAGI』で福岡に行ったら、「あのときDM送った者です」って律儀に挨拶しにきてくれたんですよ。話したら、Tシャツ作りもDJも始めてました。あとそのときに石井ちゃんが作ったTシャツをくれて。子供が作ったにしては普通に着られるグラフィックだったんです。全然ダサくない。そこから何もコンタクトはなかったけど、去年突然DMが来て。その日、俺らはフットサルしてたんです。石井ちゃんはそれをストーリーで知って「俺もフットサル行っていいですか?」って。受験で東京に来てたみたい。
ヨージ:普通、ほぼ面識ない人たちの集まりに「混ぜてください」って連絡出来ないよね(笑)。
レイジ:まあフットサルは人数多いに越したことないからさ。「全然いいよ、おいで」って返したんです。そしたらフットサルの道具一式持ってきて。石井ちゃんがハンパないのはここからで、当時は現役高校生だから俺らとはバイタリティが全然違うんです。超足速いし、運動量すごいし。いま守ってたと思ったら、次の瞬間には相手のゴール前に来ちゃったりするんですね。それにみんなビビっちゃって。「この子誰?」みたいな。
ヨージ:そのときはレイジですらよく知らない状態だもんね(笑)。
レイジ:そうそう。でもあのキャラだからすぐみんなに可愛がられるようになって。ジュン(・イナガワ)ともすぐ仲良くなってましたね。そういえばこの前、ジュンと石井ちゃんがライオンでパーティーやってたんですよ。けっこう人も入ってたし、DJもうまくなっててしっかり盛り上げてた。で、俺は一回抜けてCONTACTに行ったんです。それで石井ちゃんに「いまどんな感じ?」ってLINEしたら、「謎の外国人が入ってきて、DJしてめちゃ盛り上がってます!」って返信があったんですね。「何が起こってんだ?」と思ってライオンに戻ったら、外国人の客もめちゃいてなんか店が爆上がりしてるんですよ。後日聞いたら、その人はGR8が17周年の記念パーティーに呼んだYUNG LEANのプロデューサーだったらしくて。石井ちゃんのDJにブチ上がって「俺もやりたい」ってDJしちゃってたらしいんですよ。
ヨージ:おー、すごい!
ケイタ:石井ちゃんには何か熱いバイブスがあるんだね。
レイジ:そうなんです。東京カルチャーの新キャラって感じです(笑)。
・ヨージはネバヤンや銀杏BOYZが大好き
ケイタ:ヨージさんの新曲でましたね。
レイジ:kZmとコニプラ(Cony Plankton)が参加してる「Love Myself」だ。あの曲って後半のアルペジオっぽいギターもコニーが弾いてるの?
ヨージ:そうそう。
レイジ:「結構弾けるんだな」って思った。彼女にはコード弾きのイメージがあったからさ。Splice(※月額サンプリングサービス「Splice Sounds」のこと)から取ってきてエディットしてるのかと思ってた。
ヨージ:実際レコーディングのとき(Cony Planktonが)「アルペジオは苦手」って言ってたけど、いざ録ったらすごい良い感じだった。
レイジ:だよね。そんな感じした。でもね、そこが絶妙に良いアジになってた。
ケイタ:僕はこの曲でCony Planktonさんを知りました。
ヨージ:ソロで参加した曲って今まであまり多くはないですからね。今は活動休止中なんですけど、TAWINGSってバンドのメンバーなんです。
レイジ:この曲ってkZmとコニプラありきでビート作り始めるの? それともビートの破片ができて2人が合うかもってなるの?
ヨージ:後者だね。ビートを作ってるときに「2人がいいかも」ってなった。まずkZmが思いついたの。後半はがらりと展開を変えたいけど、ディーヴァっぽい感じだとある種普通になっちゃうかなと思って。少しあたたかみが欲しいというか。TAWINGSはそういう感じの音じゃなかったけど、コニーはそういった雰囲気を出せるかもと思ったんですよ。kZmとのコントラストというか。
ケイタ:コニーさんとヨージさんとはどんな繋がりだったんですか?
ヨージ:一回、友達の家で人狼ゲームやったことがあって。
レイジ:ヨージのエピソードはいつもチャラいねえ(笑)。
ケイタ:(笑)。じゃあkZmさんに参加してほしいと思ったのはどのタイミングだったの?
ヨージ:僕はこれまで主に無機質な感じのダンスミュージックを作ることが多くて。もちろんそういう音楽が好きっていうのもあるんですけど、でも同時に、エモーションを揺さぶられるような音楽もすごく好きなんですよ。
レイジ:ネバヤン(never young beach)とかね。
ヨージ:そうそう。銀杏BOYZとか。
ケイタ:え、そうなの?
レイジ:意外ですよね(笑)。millennium paradeやKing Gnuも好きで。和物のレコードもめっちゃ持ってる。俺とギヴン(Giorgio Givvn)は「あいつ(ヨージ)はマジで音楽詳しい」って話しますもん。
ヨージ:話を戻すと、今回の曲はダンスミュージックの中にエモーショナルな要素を入れてみたかったんです。そういう方法論の曲はすでにあるけど、もっと新しい感じというか、〇〇っぽいっていうのにあまり当てはめられない感じで作ってみたいなと思ったんです。それで作っている途中にkZmのことを思い出して。泣けるし頭振れる感じ。あとこの曲ってかなりラップしづらいと思うんですよ。
ケイタ:ヴァースはドラム鳴ってないですもんね。
ヨージ:そうそう。でもkZmならできるかなって。
・VISIONのGAIAは特別だった
ケイタ:では今回は最後にSOUND MUSEUM VISIONの話を聞きたいです。2人はもちろん、多くの人たちにとって重要なお店が渋谷区の再開発のために閉店することになりました。僕は結局、どちらにも一回も行かなかったな。
レイジ:そうなんですね! 俺のDJとしてのキャリアが本格的になったのは間違いなくVISIONのおかげです。VISIONができる前からDJをやってて、オファーはいただいてたけど、俺の中では特にメインフロアのGAIAにリスペクトがあって、俺みたいなバンドの片手間でやってるDJはメインで回すべきじゃないと思ってたんですよ。本業のDJに失礼というか。あとメインフロアだとお店のイメージもあるし、客層も気にしなきゃいけないから、やりたいことできないかもって気持ちもあって。俺はすごい盛り上がってる時間帯の裏のDEEP SPACEとかでやらせてもらえればいいです、みたいな。GAIAでのオファーはしばらく断り続けてました。でも何度もオファーをいただけたので「じゃあやってみようかな」と思えるようになった。そこでものすごく成長できました。スタッフとも超仲良いです。自分が働いてたライブハウス以外であんなにスタッフと仲良い場所ないですね。
ヨージ:僕はレイジと真逆で、ずっとGAIAでDJしたかった。僕は10代でアングラなお店からDJを始めて、20歳位の頃に渋谷のaxxcisという割とメインストリームがガンガン掛かる系の箱でDJするようになったんです。僕が出てたイベントは2階がメインストリームで、3階がヒップホップ、4階がサイケトランスみたいな感じで。これはあくまで僕が見た限りの印象でしかないんですけど、当時は大きいクラブでは音楽的に濃いプレイはなかなかコンスタントにはできなかった。そういう感じでやるならアングラな小箱。今よりもっと明確に2極化してたような気がするんです。でもVISIONは大箱なのに音楽性と大衆性のバランスをうまくとって営業してくれた。だからマニアックなスタイルのDJたちにとっても目標になる場所だったんです。僕自身もまさにそうでしたから。
ケイタ:なんでそういう箱でもプレイするようになったの?
ヨージ:当時はとにかくDJできるならどこでも出たかったからです。ただ、ノルマが掛かるようなイベントももちろんありました。
レイジ:ノルマあったんだ。
ヨージ:うん。イベントが近くなると毎日先輩から電話かかってきて、「何人呼べる?」とか「あと10人呼んで」とか。パーティーの日も自分がDJする以外の時間は、スクランブル交差点の入り口でフライヤー配りしなきゃいけなくて。。。ただ、そのフラストレーションが逆に曲作りの原動力にもなりましたね。自分の曲を作って、名前を知られて、ゲストDJで呼ばれるようになんなきゃとダメだって。
ケイタ:VISIONでのDJはヨージさんにとってめちゃくちゃ大きい目標だったんだ。
ヨージ:そうですね。2016年にまぐれで初めてGAIAでやれたときは本当に嬉しかった。そのあと、ちょいちょいサブフロアに出たりしつつ、定期的にGAIAやDEEP SPACEでやれるようになったのはここ3〜4年です。やっぱ僕とレイジに共通してるのは、GAIAに対して特別なリスペクトがあったってことです。最後のパーティー「LAST DANCE」に呼んでもらえたのも光栄でしたね。
レイジ:あの日、ヨージすごかったよね。
ケイタ:普段のヨージさんしか知らないから想像つかないよ。俺もいつか酔っ払ったヨージさんや石井ちゃんに会ってみたいな。
レイジ:マジでいつでも会えますよ(笑)。
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