「好きな水族館ランキング」2年連続1位!(ねとらぼ調べ)今年で創業91周年の桂浜水族館。
高知県桂浜にある小さな水族館から大きな声で、いきものたちの毎日を発信中!
広報担当・マスコットキャラクターのおとどちゃんが綴る好評連載第13回をお届けします!
以前のお話はこちらから。
純粋な青にもくもくと沸き立つ入道雲。風光る空で太陽がギラギラと夏を演出する。燃えるように暑い日が続く中、三年ぶりによさこい祭りが開催され、「高知に夏が帰ってきた」と皆が歓喜した。
県内外から約百チームが参加し、二日間に渡って土佐路を彩ったこの祭りには、夜の総踊りに私も参加することになっていた。
初めて鳴子を握って踊った三年前の夏を思い出す。高知市の中心街にある中央公園に組まれた特設ステージ。そこで浴びたスポットライトの眩しさを、生涯忘れはしないだろう。
「来年の夏、また会いましょう」と幕を閉じた私たちの「また」は、突如として世界中で猛威を振るい出した未知のウイルスにより、約束通り叶うことはなかった。
あの夏の夜に私を照らしたスポットライトは、ギラギラと照りつける太陽に似ている。
感染対策のため規模を縮小し、特別演舞として開催された今年は、高知駅前に特設ステージが設けられた。祭りの二日目は、夜の八時半に会場に入り、控室で出番を待った。午後九時、いよいよ踊り子と観客のボルテージが高まり、会場中が熱気に満ちて、極彩色の夜がクライマックスを迎える。飼育リーダーと特設ステージに上がり、踊り子たちに紛れる。空を覆う厚い雲からぽつぽつと雨粒が落ちてきた。よさこいプロジェクトのメンバーが地方車の上で滾る思いを語りだすと、小さな雨粒は絹のように流れる細い雨に変わった。テーマソングの「この地へ~」がかかり、皆で踊る。サビを迎える頃には雨が本格的な強さで降りだし、私たちはずぶ濡れになりながら夏に舞った。曲が夜に溶けるように終わり、会場が感極まる。いつの間にか弱まった雨が、踊り子たちの汗と涙を優しく撫でる。
三年前に交わした約束が、同じ季節を重ねてようやく叶ったのだ。
「サビのところ、おとどちゃん、めっちゃ飛んでたな。あんなに飛べると思ってなかったから、ちょっとびっくりしたわ」
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