第九回 やった、令和の世に名作野球マンガ・『愛星団徒』の正統後継作品が生まれたぞ!!

ということで久々に悪い野球マンガが出たので紹介をしなければならないんですが、皆さん『忍者と極道』の4巻読みましたか?

近藤信輔『忍者と極道(4)』(講談社)

※コミックDAYSで連載中

第29話にて、メジャーリーガー(極道側)と一本足打法のホームラン王(忍者側)が全力でバットでぶん殴りあいながら「野球って最高!!!!」ってキラッキラした笑顔で生首吹っ飛ばすという最高の「野球回」があったんですが、これはあれかな、『愛星団徒』のラストバトルへの過剰な愛かな? どう考えても「野球じゃねえだろ」と思うけど『愛星団徒』のラストバトルも「アウトになったら体が青い炎に包まれて消滅する」というその場で急にできたルールで殺人野球を続けた結果、両軍のピッチャー同士しか残らなかったので、「お互いが交互に球を投げあって爆殺したほうが勝ち」みたいな感じだったもんな。じゃあもうこれ完全に「野球」でOKか。日本の野球マンガは大体作中で派手に人が死ぬもんな(他は『アストロ球団』と『地獄甲子園』と『MAJOR』しか知らない)。うーん、野球大好き!!

ということで『忍者と極道』は野球マンガの最先端であることが分かったのでようやく今月のオススメ新刊の話に入りますが、すごくよかったのが『いえめぐり』。

ネルノダイスキ『いえめぐり』(KADOKAWA)※1巻完結

「主人公が次に住む家を決めるために、不動産屋と一緒に内見に行く」というだけのマンガなんですが、案内される家が地下迷宮だったり異常なセキュリティだったりクジラの腹の中で寄生虫を殺す業務とセットだったりと異常を極めながら、最終的にフルカラーでアレな感覚世界が描かれるので是非ご一読を。不動産屋さんの攻撃力とかわいさのバランスも最高に推せますよ。

雨瀬シオリ『松かげに憩う(1)』(秋田書店)

※別冊ヤングチャンピオンで連載中

『ここは今から倫理です』などで有名な雨瀬シオリ先生の新刊『松かげに憩う』1巻も最高。
吉田松陰を中心とした人間模様を丁寧に描きつつも、もうとにかく狂った松陰のセクシーさ加減が尋常じゃないのでこちらもオススメです。それほど歴史に詳しい人間ではないので「そういや吉田松陰ってなにした人だっけ?」と思いながら読み始めましたが「暴力的に絵がかっこいい!」でサクッと読み切れるのでまずは試し読みの第一話を読んでみてください。

熊倉献『ブランクスペース(1)』(ヒーローズ)

※コミプレ内ふらっとヒーローズで連載中

『ブランクスペース』1巻も、「仕組みを知ったものを、透明な状態で作れる」というシンプルな能力1個を持ち込んだだけでここまでじっくりじんわり良作SFを組み立てられるのか、という感じでワクワクしますね。完全に名作の予感。

その他、1巻が出たばかりのものだと、瀬崎ナギサ『みどりの星と屑』、荒巻美由希『クモノイト』、水上悟志『最果てのトルテ』もよかったですね。

そういえば半月ほど前にツイッターで
「テラフォーマーズ/キリングバイツ/アラクニドみたいな、動物の生態の解説を細かく入れながら、その動物の能力を使って戦うマンガを冗談抜きで【全部読みたい】と思っているので、メジャー/マイナーに関わらず教えてください。リスト化して、今年クリアしていきます」
というツイートをしたらけっこう沢山集まったので、来月発表します。
そういや『愛星団徒』は Amazon Kindle Unlimitedで読み放題ですよ!

劇画狼(げきが・うるふ)●マイナーマンガ紹介ブログ・なめくじ長屋奇考録の管理人&特殊出版レーベル・おおかみ書房編集長。楠佳先生の『鬼切丸』原画展、3/6(土)~3/28(日)に大阪で開催します。

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『劇画狼の獣次元新刊漫画ガイド』

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TV Bros.編集部
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