今年も残りわずか!
なのでこれを書いている時期にはまだ発表されていませんが、いろいろな年末まとめ企画やマンガランキングが世をにぎわせ始めているころかと思います。
……が、ないんです。どこにも。
「暴力と死」を評価基準とした年末マンガ総括企画が!
何度も言ってるけど、暴力と死は努力・友情・勝利と併せて、マンガを最も輝かせる超重大要素!
ということで本日は2020年のまとめとして、今年下半期に発売された(なるべく新しめの)マンガ作品の中から、個人的に暴力と死がとてもよかったと思うマンガを10作紹介! 上半期はこちら!
まずは何といっても『大ダーク』。
2巻も相変わらず、説明不要で大殺伐理不尽暴力と死が押し寄せてくる。
爆死も多い。モージャは宇宙一かわいい。俺はこのマンガを読むために生まれてきた!
著/鹿子 原作/門馬司
『満州アヘンスクワッド(2)』(講談社)
『満州アヘンスクワッド』も最高。
「命が一番軽いことを嬉々として言う」時点で最高なのが確定しているし、暴力と死のマンガとして「拷問大好きドSメガネ」が出るのは勝利の証。ハイパーハッピー顔芸のバリエーションも無限で、
読んでいて楽しさしかない。
『ジャンケットバンク』も完全に今年一位。
田中一行先生がガチのギャンブルマンガを描いたらどうなってしまうんだろう! と思ったら完全に予想以上にこうなってしまった逸品。一対一の心理戦バトルで今一番興奮するんじゃないかな。
著/イイヅカケイタ 原作:深町秋生
『ヘルドッグス 地獄の犬たち(1)』(KADOKAWA)
『ヘルドッグス 地獄の犬たち』もすごくいいコミカライズ。
原作が深町先生だから、今後どんどん「あかんこと」になっていくのが確定された潜入捜査官モノです。
『ゴールデン・ガイ』も第一話からバッチリ人死にが出るし、渡辺潤先生が描くヤクザ×徳川埋蔵金! というギミックが初っ端から強すぎなのでぜひ今から追いかけてほしい。
『結ばる焼け跡』もすごくよかった。2巻では、これまで「謎のすごい人」だった主人公の正体も判明して話も盛り上がるし、何よりも敗戦後の人間の精神の擦りきれ感がすごくうまい戦後焼け野原アクション。
『抜刀』はもう文句なしでしょう。
人間の暴力と死の成分しかないですからね、今のところ。こういうマンガが問答無用で「圧倒的な死! 買います!!」となる世の中を作っていくために尽力したい。1巻巻末に収録されている読み切りもやたらと記憶に残る話なので必読。
『コーポ・ア・コーポ』は、暴力と死の一歩だけ隣に住んでる人の描写が完璧。完全に破綻はしないギリギリの底辺生活がリアルすぎるし、このままじゃよくないのは分かってるんだけど、そこそこにこんなもんでもいいのかなーとも思う。
『東京決闘環状戦』は、この記事が公開された時点ではまだ1巻が出てないタイミングと思いますが、「政治的な判断を代表者のタイマンで決める」系のバトルマンガは基本全部読むので、こちらも来年以降大期待ですね。
今年一番声を出して笑ったのが『ニューオリンピック』で、那須川天心の親父をハイキック秒殺するキング・カズとか、朝倉未来を路上で強襲するヤワラちゃんとか、めちゃくちゃな暴力描写が山ほど出てくるので本当に読んでください。絵柄的に認知されづらいですが、大橋先生が描くミドルキック・ハイキックは日本の全漫画家の中でもトップクラスに体軸が安定していてすごいです。本当に読んでください。
その他、今年上半期のまとめ記事やこのコラムの過去記事でも紹介したので今日は省きましたが、暴力と死だと、今年は『望郷太郎』『亜童』『武狂争覇』『運び屋・ラバ』『忍者と極道』『死都調布 南米紀行』『ガンニバル』『葬列 The Resistance』『メイコの遊び場』『ときめきのいけにえ』『東京入星管理局』『あの人は血を求めてしまう』も最高でした。死にこだわらなければ『三日月のドラゴン』も絶対に外せないし、『花松と5人の女』『はぐれアイドル地獄変』『ようこそ! アマゾネス☆ポケット編集部へ』も楽しかったし、浄土るるの本も出た。
以上、この26作が、今年面白かったマンガ10作となります。
世間的なランキングがどうなるのかは分からないけど、終わる! 今年が!
劇画狼(げきが・うるふ)●マイナーマンガ紹介ブログ・なめくじ長屋奇考録の管理人&特殊出版レーベル・おおかみ書房編集長。宝島社の『このマンガがすごい!2021』ももうすぐ発売されると思いますが、こっちにも選者として参加しています。
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