【2020年6月号】劇画狼の「獣次元!新刊マンガガイド」【無料記事】

第壱回
『鬼滅』ロスの皆さんに読んでほしい
マンガといえば!?

ブロス読者の皆様、お久しぶりです。
おおかみ書房の劇画狼です。

このたび、ブロス誌のWEB移行にあわせて、劇画狼の新刊マンガ紹介コラムも「蛮種発見!劇画狼推薦図書館」から「獣次元!新刊マンガガイド」にリニューアルされることになり、心機一転なんの変更も成長もありませんので引き続きよろしくお願いします。

ということで皆さん、最終話見届けましたか? 
え、いや勿論『鬼滅の刃』ですよ。
本当に素晴らしいマンガでしたね。でも人気絶頂状態から引き延ばし無しの完結だったので、ファンの方は突然のことで「ロス」状態になってるんじゃないでしょうか。
……そう、「首だけになったキャラが最期に結構しゃべる作品ロス」に。
だって『鬼滅の刃』の一番の魅力といえば、首だけになったキャラの見せ場がまあまあ長いところですよね? 間違いなく全国数百万のマンガファンが「あー、首しゃべらないかなー。寂しいなー」と思っているわけです。

お待たせしました。『忍者と極道』1巻発売中。これはいいですよ。忍者と極道が8対8でぶっ殺しあう! その過程で尋常じゃない数の首が飛ぶ! そして飛んだ首がよくしゃべる! 友人の結婚式の余興でしょうもない出オチのモノマネカラオケをやった奴が、一番で終わらずにそのままフルコーラス歌いきるのを見てるような「お、そんな状態からまだ行く?」感。作品自体も「令和の時代に山田風太郎の忍法帖シリーズの新作が読める!」みたいなノリで最高なので必読です。
あとはこれを読んで、自分が首だけになって死ぬときにまあまあ喋れるようになるための鍛錬と経験(死ぬまでに一回は拳銃で撃たれておく、土佐犬を飼ってみる、陰腹を切ってから打席に立ってホームランを打つ等々)を積み重ねておきたいですね。
結論として、『忍者と極道』について、何が言いたかったのかは分からなくなりました。読みましょう。

あと、『鬼滅』といえば炭治郎くんの優しさが人気を盤石のものにした部分も多分にあるかと思いますが、第一話からめちゃくちゃ生殺与奪の主導権を握って暴走する闇稼業タクシードライバー物語『運び屋・ラバ』も異様に面白いので必読です。善行も悪行も、どっちをやるにしても躊躇がないことが一番!

運び屋マンガといえば、『花松と5人の女』も当然オススメで、こちらは裏稼業ではなく表稼業。ヤクザ上がりの宅急便ドライバーの話なんですが、最高の「心の中にある任侠ノリ」で配送業の世界を魅せてくれるので、首が飛んだりしゃべったりしないですが合わせて読んでほしいですね。
同じく『運びの犬』も、主人公に痛覚がないところが素晴らしかった。
「痛覚がない」「内臓の位置が左右逆」「全身が癌細胞」みたいな要素は本当にマンガを輝かせます。
いやー、面白いマンガには色々共通点があるものですね。
記念すべきリニューアル第一回ということで、新たな読者を獲得するための大事な機会でしたが、基本的にこのコラムを通して言いたいことは特にありません。来月も面白いマンガが出るといいですね!

近藤信輔『忍者と極道』(講談社)
コミックDAYSで連載中

佐藤啓『花松と5人の女』(講談社)
Dモーニングにて連載完結(全1巻)

※書影をクリックすると講談社コミックプラスへ移動します。

オオヒラ航多『運び屋・ラバ』(日本文芸社)
ゴラクエッグで連載中

 

清水ヤスヲミ 『運びの犬』(秋田書店)
※別冊ヤングチャンピオンで連載中

劇画狼(げきが・うるふ)●マイナーマンガ紹介ブログ・なめくじ長屋奇考録の管理人&特殊出版レーベル・おおかみ書房編集長。13人の漫画家・イラストレーター描き下ろしのTシャツ通販イベントを5/23(土)~6/7(日)まで、画廊モモモグラWEBショップにて開催中です。
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TV Bros.編集部
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