【2020年6月号 大森靖子 連載】『大森靖子の超一方的完全勝利』

言葉という機能はあまり優秀ではないというか、使う人によって攻撃力防御力魔力が全然変わる武器だったりして、それを扱ってるんだぜという認識で取り扱っていないと全然違うことになってしまうし、基本人間の真実は妄想でできているものだと思うのでそこにさらに言葉がついてくるとなるともうとんでもないことになってしまうので、悪意のない虚言というものがそこらじゅうに散らばっていて、それはもはや情報とは呼ばないものだから、とんでもない道具を得てしまったものだぜ、やれやれ全く! という気持ちを忘れずにいたいですよね。結局、伝聞ってもう全く違うことになってしまうから、この自粛期間で誰々がああ言ってたよは大概嘘なんだなという、パニックになるけど整理したら、あれ? これ全然たいしたことないわ、ただ全部会えないことのせいだわ! ってなることが多いので、直接の会話っていうのは言葉だけじゃないニュアンスを拾えるかなり優れたコミュニケーションだったんだなぁと改めて気づかされますね。そのありがたさも感じるとともに、これは別にweb上のやりとりやリモートでいいなぁとか、そのへんが精査された感はあるけど、その精査の成果なく全部元に戻ってしまうだけだったらなんだか寂しくはありますね。

私は怒っている時の私が結構好きで、これは理不尽であると気がつけることとか、本当はこうじゃないんじゃ? と疑えることとか、いやおかしいだろwくらいでもいいんですけど、それが平和につながると思ってるんですよ。乗っけてる人が永遠に変わりゆくから、国とか地球とかいくら規模が大きくなろうが、あるべき姿は刻一刻変化していってるので、次はどうしていこう? という想像と創造が一番大事だから、結果怒ってないと平和になれないというめちゃくちゃ矛盾してる事象があるんですよ。ある人にしか伝わらないけど、ある人はめっちゃ「わかるしかない!!! ずっとわかるの大洪水!!!」

もうずっと同じ話をしている気がしてきて、同じZONEに入っているだけなのなら私はなんてつまらない人間なんだろうという気はしてくるが、だがしかし昨日と同じ事象について深く掘り下げてもそこには私の生活や感情や自然現象や毛の伸び方などにズレがあるので、それをいちいち文字起こしすることには意義があると信じて信じるものは救われるとはこのことか!

人格否定されて作品褒められることが一番嬉しくて、それを夫に伝えると、いや人として褒められる方が嬉しいっていってて、全然ちがーう! 最高!!!

社会性がなさすぎて私超絶美しいんですけど社会的美との断絶がすごすぎてそういう話をダンサーと一生していました。バーレッスンは己の醜さと向き合う作業と言っていて、お、おう…とおもいまちた。

家族3人で公園に行っても私だけ蚊にめちゃくちゃ刺される。息子が砂場にいろんなものを埋めて私に宝探しさせるゲームにハマって、ずーっと砂を掘っていたら8か所かまれて、「先に帰らせて…パパといつものゾンビごっこしな。」と言うと「あ、いいよいいよー家でゆっくりまってて!」と息子に言われて家で痒み止めを塗っていた。1時間後、パパと息子がやけにアドレナリン出てる感じで家にかえって来て、「ど、どうしたの!」ときくと、「この公園は僕のだよ!」とみんなに言っている男の子がいて、その子に息子が「違うよ! みんなのだよ」と教えたら、3発殴られたが、息子は何もやりかえさなかったから、その親と息子にパパが、公園は税金を払っていてみんなのものだよ、どうして暴力をふるったんだ? ということを説教して帰ってきた。どうやらその男の子は、私の息子と同じ歳だと思ったらしく、保育園の中では同じ歳になめられたら終わりだから性格が凶暴になってしまった、親も困っている、とのことだったらしい。
息子はその日の夜、紙に落書きをしながら、「今日は、3回ぶたれたけど、いい日だったよ!」と言って謎の文字らしきものをかいて、私のチェキをデコる用のキラキラを貼って、寝た

おおもり・せいこ●’87年生まれ、愛媛県出身。超歌手。新少女世代語彙力担当。美大在学中に音楽活動を開始し、弾き語りライブが口コミで話題となる。’14年、エイベックスよりメジャー・デビュー。’15年10月に出産を経て、同年末より活動再開(その間も本連載の休載はナシ)。アイドルを中心に様々な楽曲提供をするほか、“共犯者”としてアイドルグループ「ZOC」に関わる。大森靖子公式サイト(https://oomoriseiko.info/

 
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