紅白、入院、選挙特番…2人の本音が詰まった『火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ』の2021年を振り返る【2021年11月号ラジオコラム】

2021年もあと1カ月足らず。何かと1年の総括を行いがちなこの時期、TV Bros.連載陣の爆笑問題にとっては、いろいろあった1年ではないだろうか。
そこで、2人のインタビューは別の機会を待つとして、2人が本音をさらけ出すラジオ番組『火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)の名場面を、ヘビーリスナーであり、常連投稿者である藤田悦史に振り返ってもらい、いろいろあった1年をたどってみたい。

藤田悦史(ふじた・えつし)●1976年埼玉県生まれ。ハガキ職人。特に『爆笑問題カーボーイ』では常連投稿者であり、同番組の「メールNo.1グランプリ」では2度優勝している。

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ラジオで辿る爆笑問題の2021年

文/藤田悦史

※敬称略

 

2020年12月31日、爆笑問題田中、NHK紅白歌合戦にサプライズ出演。

そんな大みそかの衝撃的な出来事に太田が黙っているはずもなく、2021年最初のカーボーイで案の定、不満を爆発させる。“スモール3”として松任谷由実プロデュースのオリジナル曲を披露した田中に対して、「紅白歌手気取りの顔するな!」「(歌唱時の)アイドル顔が気持ち悪かった!」「不愉快極まりない!」と新年早々、太田節が炸裂。

毎年年末に正月特番のネタ作りをする爆笑問題だが、紅白のリハがあるため、年末に田中の時間が取れず、紅白放送終了後に田中が太田宅を訪れてネタ作りをするハメになり、「いい加減にしてくれよ! 俺だって寝たいわ!」と太田の怒りは止まらない。

太田が田中にキレる展開はお馴染みだが、今年最初のフリートークでいきなり“上質なソレ”を聴けたものだから、それだけで今年も1年を通じて楽しい放送になることを予感させた。だが、そのわずか2週間後、別の意味で衝撃的なニュースが飛び込んでくる。

 

爆笑問題田中、激しい頭痛を訴え救急搬送。

直後のカーボーイで田中の様子について語った太田だったが、かつて睾丸摘出時やコロナ感染時など、田中が病気を患って仕事を休むたびに相方の病状を説明してきた過去を振り返り、「会う人会う人に“田中さんどうなんですか?”って聞かれる。俺は主治医じゃない!」と切り出し、ジョーク交じりに病状を説明。こんな時でも笑いに変えるあたりはさすがである。

結果としては、救急搬送されるも病院に着いた際には症状は落ち着いていて、1カ月療養することになったものの、元気にしているという。大事には至らなかったことに、私を含め全国のリスナーが安堵したことだろう。

2月最後の放送から番組に復帰した田中は、漫才のネタ作り中にお菓子をバリバリ食べていたことが妻にバレて怒られたことを明かす。さらに“脂質異常”と報じられたこともあり、「お菓子王子(注1)はもうやめる!」と、今後、お菓子を食べないことを宣言。田中がオススメする新商品のお菓子についての話がもう聞けないと思うと少し寂しいが仕方ない。

健康のために「酒をやめる」「煙草をやめる」はよく聞くが、「お菓子をやめる」は実に田中らしい。

 

無事、通常放送に戻ったカーボーイだが、今年の放送を振り返る上で、田中が話す中学生の長女とのおもしろエピソードは外せない。

たとえば、田中が長女と会話していた際、長女が発した「ノー勉」(試験前などに勉強しないこと)、「ちな」(「ちなみに」の略)など、今ドキの若者言葉に田中が戸惑った反応をしたところ、長女に「知らないの?」と驚かれた、といった感じである。コレをきっかけにオリジナルの流行り言葉を募集する新コーナーまでできる盛り上がりを見せた。

長女とのエピソードは田中の口からほぼ毎週語られ、田中が夜遅くに暗い部屋で柔軟体操をしていると、そこへ長女が入ってきて、暗がりでゴソゴソ動いたことに驚いた長女に、「びっくりしたー! うち小動物飼ってたっけ? って思っちゃった」と、まるでハムスターのように扱われたり、長女に身長を抜かれたことが明らかになった際、「ドンマーイ! 私、この間の身体検査で155センチだった!」と明るく慰められたり(田中は154センチ)、毎回ホッコリさせられるエピソードばかりである。

再婚した際、子供が新しい親に懐かないみたいな話をよく聞くが、この親子にソレは全くあてはまらない。40以上の年の差があるにもかかわらず、友達同士のような、こんなに素敵な親子関係を築けるのも田中特有の魅力なのだろう。

 

一方、今年の太田はというと、やはり選挙特番での炎上騒動が記憶に新しい。

直後のカーボーイでも当然その話になり、太田は社長(妻)に「あんたは態度が悪い!」と怒られたことを告白。

太田が一方的に喋って候補者の話を聞かなかったことや、大物政治家への無礼な言動に批判が殺到していることについて、「何の反論もできない」と反省の弁を述べると、田中は「俺は最初から分かってた! 太田が選挙の特番を生放送でやって怒られないわけがない! やる前から絶対そうなると思ってた!」と言い切る。

このような太田の暴走による事件が起きると「爆笑問題は田中がいないとダメだ!」と言う人が必ずいる。太田は「あの場に田中がいても変わらない」と、ソレを否定するが、もしあの番組に“爆笑問題”として出演していたらどうなっていたか、ファンとしてはやはり気になる。次の選挙特番でその答えを見てみたいものである。

 

前述のように、今年は田中が大病を患ったことで、一時は番組の存続も心配された。

当たり前のことが当たり前じゃなくなった昨今、太田と田中による当たり前のカーボーイを聴ける喜びを噛みしめながら、今後も1回1回、心して、2人のトークに耳を傾けていこうと思う。

 

以上が私の“今週の思っちゃった”ならぬ、“今年の思っちゃった”である。(注2)

 

注1・お菓子王子…無類のお菓子好きである田中に与えられた称号

注2・今週の思っちゃった…今週起きた出来事についてリスナーが思ってしまったことを募集するカーボーイの看板コーナー

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