レイザーラモン・RGの若手レコメン!【OWARAI Bros.WEB】

あるあるネタで知られるレイザーラモン・RG。『THE MANZAI』の認定漫才師に選出されるなど漫才師としても芸に磨きをかけ続けているが、実はかなりの若手芸人マニア。

舞台の出番が一緒になった若手芸人のネタを舞台袖でチェックするだけではなく、YouTubeやネタ番組もくまなくチェックしているという。また、『夢幻DIE監獄(むげんだいプリズン)』や『世紀末DEATH演芸』など若手をゲストとして招くネタライブも主催している。そんなRGに、個人的に今、注目している3組の芸人をピックアップしてもらった。

編集=竹村真奈、村上由恵(タイムマシンラボ)
取材・文=高本亜紀 撮影=大槻志穂

 

僕は劇場へ足繁く通う人たちと同じ、ただの若手芸人ファン

――RGさんは若手芸人さんのネタをよくチェックされているそうですね。

観るのは劇場で一緒になったときなんですけど、ルミネ(ルミネtheよしもと)にヨシモト∞ホール所属の若手とか東西のマンゲキ(よしもと漫才劇場)所属の若手とかが来てると、今日はどんなネタをしてるのかなって舞台袖でチェックします。賞レース前もよく観ますね。『キングオブコント』(TBS系)決勝前も、幕張(よしもと幕張イオンモール劇場)でニューヨークと蛙亭と一緒になったんで、舞台袖でじっくり観ました。最近、お笑いを語る芸人がブームみたいになってますけど、僕はそういう感じじゃなく、ただの若手芸人ファン。とにかく若手が好き。劇場に足繁く通う人たちと変わらないです。

——観て嬉しくなるのは、どんな人たちですか?

僕、なんじゃこりゃ!みたいなものに出会いたいんです。それこそ、さっくん(佐久間一行)が『R-1ぐらんぷり』(フジテレビ系)で優勝した井戸のネタを初めて見たとき、何これ、今まで観たことない感じやなって衝撃を受けました。ミルクボーイは『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)前、ゲイバーでやってる恒例の単独ライブに出てもらったときに見た、内海が「それ、AV男優やないか」ってツッコむ漫才がすごく面白くて。その場でもめちゃくちゃ跳ねてたんですけど、そこからあのスタイルの漫才が話題になってその年の『M-1』で優勝しちゃいましたからね。そういう面白さの起点みたいな瞬間に立ち会えると、すごく嬉しい気持ちになります。
ニューヨークが昨年の『M-1』でやった軽犯罪の漫才は、僕らの『世紀末DEATH寄席』っていうキワドいネタをやってもいいライブに出たときにやってくれたネタやったんです。面白かったので——これはほんまに余計なことなんですけど、「めっちゃおもろいやん。『M-1』は無理なんかなあ」って言ったんです。本人たちは「無理だと思います。けど、どうですかねえ」っていう感じやったんですけど、結局『M-1』決勝でやってましたね。決勝を観ながら、“これだから若手ファンはやめられないな!”と興奮しました。

——今、世に出ている中で、若手時代にピンと来た芸人さんはどんな方ですか??

あと出しジャンケンみたいになっちゃいますけど……、チョコレートプラネットは、赤坂ブリッツであった『キングオブコント2008』(TBS系)準決勝で見たギリシャのコントがめちゃくちゃ面白くて、すぐ売れるんやろうなと思いました。その後は少し苦労しましたけど、僕の中ではチョコプラはずっと驚きをくれる芸人。神保町の劇場が芝居を中心にやっていた時期、チョコプラと一緒になった舞台があったんですけど、長田のセリフ覚えの早さと自然な演技にびっくりしました。松尾のすごいところは、集団コントでのエース感。今やってる『新しいカギ』(フジテレビ系)もそうですけど、『パワープリン』(TBS系)の頃から中心になれるあの存在感はすごいですね。
シソンヌは、若手ばっかりの大喜利イベントのMCが長谷川だったことがあったんです。誰かにツッコむとき、「それ、エミネムの歌詞に出てきたけど」みたいなことを言ってるのを聞いて「ツッコミがおしゃれすぎるよ」って言ったら、そのあともどんどんおしゃれなツッコミをかぶせてきて。コントが面白いのは知ってましたけど、“こいつ、すごいことするなあ。平場も面白いんや”と驚きました。だから、今『ワイドナショー』(フジテレビ系)にコメンテーターとして呼ばれているのも、そりゃそうやろなあという感じです。

 

 

今、注目している若手3組は?

——では、今、RGさんの注目している若手芸人3組を教えていただけますか?

うわあ、難しいなあ。大阪にもほかの事務所にも面白い若手はいっぱいいるんですけど……(と、しばし悩む)、今回は東京吉本の中で選ばせてもらいますね。
まずは、ナミダバシ。僕らが毎月、ヨシモト∞ホールでやってる『夢幻DIE監獄(むげんだいプリズン)』っていうライブに出てもらったとき、ツッコミの太朗がめちゃくちゃ長くツッコむ漫才をやってたんです。本人たちは「このネタ、賞レースではあんまりウケなかった」って自信なさそうにしてたんですけど、僕はもっとやってほしいなと思いました。それくらい、ライブでは大ハマりしてたんですよね。

ナミダバシ


——ボケのたくみさんは、『M-1』準決勝で囲碁将棋さんの漫才を観たことをきっかけに、芸人になったそうです。

ああ、そうなんや。囲碁将棋もいいですよね。最近、注目されてますけど、NON STYLE・石田が「漫才を進化させているコンビだ」ってめちゃくちゃ褒めてました。たしかに、すごく変で新しい漫才をしてるんですけど、すごく面白い。平場も強いし、これからどんどん世に出ていきそうですね。
ナミダバシに関しては、自分たちを正統派だと思っているところがまた面白いんですよ。銀シャリも同じタイプで、自分らのことを正統派だと思ってるんですけど、ほんまは変わったふたりが組んで変なことしてるっていう。変なことしてますよっていうネタをやりながらプライベートでは普通の人って多いんですけど、ナミダバシとか銀シャリみたいに、ド正統やってますって思いながら実は変な奴っていうのはいちばんワクワクするパターンですね。ふたりのバランスもすごくいいし、これからもがんばってほしいです。

——では、2組目は?

オダウエダ

オダウエダ。売れる気ないやろっていうのはおかしいんですけど(笑)、自分らの好きなことをやり続ける精神に、ネタを観てブルっと来ました。聞くと、大阪芸術大学出身なんですよね。ミルクボーイ、空気階段・もぐら、ななまがり……そしてオダウエダを生み出してるなんて、有能すぎますね。

——植田さんが大阪芸大出身ですね。小田さんは学生時代にグレていて更生のために駆け込み寺へ入っていたことがあったと、以前お話を伺ったときに話してくれました。

そういうバックボーンを聞くと、さらに引き込まれてしまいますね。若い女の子のファンがいっぱいいる神保町(神保町よしもと漫才劇場)で、あのスタイルを貫いてるのがめちゃくちゃかっこいいなと思います。

——最後の1組は?

カラタチ

カラタチかな。ネタはロリコンとアニメオタクの言い争いで、ブラックマヨネーズさんのオタクバージョンみたいな掛け合い漫才。『世紀末DEATH演芸』に出てくれるたびに。毎回すごい速度で面白くなっていってるんですけど、一切、地上波ではできない題材なのが……もったいないですね。ただ、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)に出たりもしてるっていうことは、メディアでも披露出来るようなネタにすることもできるんちゃうかなと。しゃべくり漫才としてはすごく面白いので、題材を曲げずにテレビでどこまでできるか。あいつらの挑戦を、これからも見守っていきたいです。

面白かったという感想は本人に必ず伝える

——3組を挙げていただいただけでも、若手のネタを熱く真剣に観られていることが非常に伝わります。

面白い人はいっぱいいますからね。ほかに、どうやってネタを作ってるんやろ?って思うのはピンタンパン。こうやったらこうウケるって考えて作ってる芸人がほとんどやと思うんですけど、あの子らはトークコーナーの立ち回りとかも何考えてるんやろうってドキドキして。特に、たかぴんア・ラ・モード☆は掘れば掘るほど恐ろしい男。大人しいもう中学生みたいな感じで気になります。
そいつどいつもいいですよね。僕、刺身と『ドラゴン桜』(TBS系)のヤンキーふたりのものまねを一緒にやったことがあるんですけど、めちゃくちゃ自然に演じきる。プレイヤーとして相当、能力の高い奴ですね。あと、令和ロマン。この間、ライブで一緒になったんですけど、平場とネタどっちもイケるんやなあ、やるなあと関心しました。すでに売れかけてますけど、今後が楽しみですね。

——面白いと思った後輩には、ちゃんと感想を伝えるんですか?

伝えます。一緒になったライブだけじゃなく、『にちようチャップリン』(テレビ東京)で観たネタの感想も伝えちゃいますね。激売れ先輩に言われたほうが若手も嬉しいとは思うんですけど(笑)、ファンとして思いを伝えたいので言うようにしてます。
若手とのコミュニケーションのきっかけとして、声をかけることもあります。以前はひとつの劇場で後輩から先輩まで一緒やったんですけど、今はルミネ、大宮、幕張、∞ホール、神保町と分かれてるので、若手とあんまり会う機会がないので。「あれ、面白かったなあ」とかすぐ声かけちゃいますね。

——11月21日(日)には、若手芸人をゲストに迎えるネタライブ『夢幻DIE監獄(むげんだいプリズン)』を開催されるんですよね。

普段はヨシモト∞ドームっていう小さい劇場でこじんまりとやっているんですけど、今回は∞ホールでの開催なので、どうなるか不安です(笑)。お客さん20人くらいで芸人にヤジられながらネタをやって盛り上がっていく会場の雰囲気が、『オールザッツ漫才』(MBS系)みたいで。東京であの番組の原風景みたいなものを作りたいということで始めたライブなので、これからもやっていきたいですね。
今回挙げたのは東京吉本にいる3組でしたけど、大阪にもほかの事務所にも面白い若手はたくさんいるので、またぜひ紹介させてほしいです。読んでいるみなさんには「この人面白いよ」とか、どんどん教えてほしい。情報待ってます!

●プロフィール

レイザーラモン・RG
1974年6月8日生まれ、熊本県出身。大学の学生プロレスで出会ったHGと1997年にレイザーラモンを結成。YouTube『レイザーラモン公式チャンネル』配信中。

 

●ライブ情報

日時:11月21日(日)12:45開場 13:00開演
場所:ヨシモト∞ホール(東京都)
タイトル:『夢幻DIE監獄(むげんだいプリズン)~仮釈放編~』
チケット代:2,000円
出演者:レイザーラモン(MC)、コットン、いぬ、ナミダバシ、エスファイブ、スカチャン、ピンタンパン他
※詳細はこちら

 

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