ヤバい奴を演じるにはそれだけの苦労が!?『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』【2021年8月号映画特集】

DCコミックの悪役大集合映画『スーサイド・スクワッド』で大ブレイクした女優と言えばハーレイ・クインが当たり役になったマーゴット・ロビー。ジョーカーを盲目的に愛すクレイジーなサイコパスをキュートかつ情熱的に演じ、その後も『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』で単独主演。そして、この夏の超話題作にして大傑作、あのジェームズ・ガンが入魂リブートした『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』では再びチームプレイに戻り、三度ハーレイ・クインを演じている。

というわけで、マーゴットにハーレイ・クインの魅力を語ってもらいましたよ!

さらに、本作を成功に導いたジェームズ・ガン。そして本作では悪党のひとりサバントを演じ、ガンのすべての作品に出演している、彼の盟友マイケル・ルーカーの声もお届けします!

取材・文/渡辺麻紀

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『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』
監督/ジェームズ・ガン 出演/マーゴット・ロビー イドリス・エルバ ジョン・シナ ジョエル・キナマン ピーター・キャパルディ シルベスター・スタローン ヴィオラ・デイヴィスほか
(2021年/アメリカ/132分)

  • ジョーカーと別れてますますクレイジーになったハーレイ・クインをはじめ、強烈な個性を持った悪党たちが、減刑を取引条件に世界を救うミッションに挑む。デビッド・エアーにより映画化された『スーサイド・スクワッド』を、ジェームズ・ガンが新たに描く。

8/13(金) 全国公開
配給/ワーナー・ブラザース映画
© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

 

マーゴット・ロビー「続けざまにハーレイを演じることは疲れて出来ない(笑)」

――ジェームズ・ガンは悪役を魅力的に描く監督です。あなたが考える本作の悪役たちの魅力はどこにあると思いますか?

マーゴット 普通の人間と異なり、彼らひとりひとりがまったく異なった道徳的指針をもっているところじゃないかしら。だから、彼らの行動は予想不可能でエキサイティングなんだと思う。ジェームズはこの映画で、そんな彼らの指針が重なる奇跡的な一瞬をとらえた。そのとき、彼らはちょっとだけ“いいヤツ”になるんだわ。

――これまでハーレイ・クインは各作品でいろんな魅力、新しい顔を見せて来ました。そういうなかで、決して変わることのない個性はどこにあるのでしょう。

マーゴット それについてはジェームズとも何度も話して、彼も賛同してくれたんだけど、私はハーレイ・クインを「混沌の促進者」だと考えている。彼女は、多くの人たちと一緒にある状況に放り込まれたとき、その状況をどうにかしようとするキャラクターなんだと思う。たとえそれがより混沌を招いてもね! そういうシチュエーションの彼女が一番輝いているんじゃないかしら。

――では、あなたがもっとも気に入っているハーレイの魅力は?

マーゴット 常に“いまを生きている”ところよ。2秒前に起きたことなんて憶えてないし、2秒後に起きるかもしれないことも考えてない。彼女の頭には“いま”しかない。だからこそ、その瞬間に全神経を集中させることが出来る。他の人なら怖気づくことを楽しめるところも魅力的だと思うけど、最高なのはやっぱり“いまを生きる”性格。これって素晴らしいと思う。

――確かに素晴らしいですが、そういう全集中的なキャラクターは演じているほうも疲れませんか?

マーゴット (笑)。疲れる、疲れる。だから、続けざまにハーレイを演じることは出来ないんだけど、少し休みを取るとまた演じたくなるの(笑)。彼女のアドベンチャーはまだまだ終わらせたくないわね!

――DC映画を初めて手掛けるジェームズ・ガンはいかがでした? 大作にもかかわらず再撮も追撮もなかったと聞いていますが。

マーゴット ジェームズはしっかり準備をするタイプの監督なんだと思う。私が現場に入って、準備が足らないと思ったことは一度もなかった。すべてのフレーム、すべての瞬間を撮るため、パーフェクトに準備をするのがジェームズなのよ。そうなるとガチガチに決められているように思うかもしれないけど、彼はアドリブがウェルカム。瞬間的なマジックにいつも門戸を開いてくれている。だからこそ、ジョン(・シナ)のアドリブでみんな、楽しめたんだわ(笑)。

多くの人が、再撮や追撮がないことを驚いているようだけど、現場にいた私は、ないだろうと思っていた。ジェームズは自分が欲しいものが100%分かっているからよ。彼は、撮影当日にそれをちゃんと手入れするだけでよかったの。

<プロフィール>
マーゴット・ロビー●1990年オーストラリア生まれ。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年)で脚光を集め、『スーサイド・スクワッド』(2016年)で主演を務める。そのほかの出演作に『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年)、『スキャンダル』(2019年)など。

 

ジェームズ・ガン「こんなに楽しい撮影は今までなかった」

かつてSNSで過激な言葉を発したことは掘り起こされ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』3作目を一旦、降ろされてしまった(現在は復帰)ジェームズ・ガン。が、彼に落ち込む暇はなかった。待ってましたとばかりにワーナーが声をかけ「DCシリーズで監督したい作品はある?」と選び放題な提案。かくてガンが選んだのが本作だったというわけだ。

「いや、クビになったとき一応、休みは取ったんだ(笑)。そのあと、提案された企画が3つあって、それぞれを進めていたんだが、もっとも進みが早く楽しかったのが『ザ・スーサイド~』だったんだ。脚本を書くときはそれぞれの役者の顔を頭に浮かべながら書いて行ったし、大がかりなセットもすべて考えていた。で、出来上がった作品は驚くことに、自分が望んだかたちをほぼ完ぺきに踏襲していた。そんなこと、滅多にないんだけどさ(笑)。製作費の問題があったりして、規制も多かったのに、理想のかたちでみなさんに観てもらえることになったんだ。しかも、こんなに楽しい撮影もなかったし! とても満足しているんだよ(笑)」

<プロフィール>
ジェームズ・ガン●1966年アメリカ生まれ。主な監督作に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014年、脚本も)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017年、脚本も)などがある。監督・脚本を務める同シリーズ3作目は2023年公開を予定している。

 

マイケル・ルーカー「このルックスに感謝しなきゃいけないのかもしれないよ(笑)」

一番右がマイケル・ルーカー

マイケル・ルーカーの映画デビューはサイコな殺人鬼を演じた『ヘンリー』。それがあまりに迫真だったせいか、あるいはルックスが怖すぎたせいか、ヤバい役しかやったことがない!? そんなルーカーのかっこよさを引き出してくれたのがガン。あの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』の影の主人公はヨンドウこと彼だったからだ!

「“あんたのファンなんだ。映画に出てほしい”とガンから連絡を受けたのがオレたちの始まりだった。で、『スリザー』に出演したわけなんだが、メイクに7時間30分もかかる役だったし、『もっと血を塗りたくれ!』と言うし、撮影中も怒鳴りまくるんだ。『ちがーう! ルーカー』って感じでさ。本当にオレのファンなのか? って思ったくらいだったけど、楽しくないことはなかった。そのあともずっと声をかけてくれているから、まあ、いいんじゃないの(笑)。オレが二度以上、組んでいる監督はガンだけだから。オレはこのルックスのおかげで、常に悪党ナンバー2ばかり演じて来た。『ミシシッピー・バーニング』のときは12人のKKKのひとりとしてキャスティングされたんだが、監督のアラン・パーカーはみんなを並べて『君、ここに来て』と言って、いつも酷いことをやるキャラクターに当てられたんだよ。どうもオレがやると、その酷いことがより真実味を帯びると思ったようなんだ。それは演じていてもイヤな役だったんだが、それでもこの映画のおかげでオレのキャリアは飛躍的に伸びたから、このルックスにも感謝しなきゃいけないのかもしれないよ(笑)」

<プロフィール>
マイケル・ルーカー●1955年アメリカ生まれ。主な出演作に『ヘンリー』(1986年)、『JFK』(1991年)、『ボーン・コレクター』(1999年)など。ジェームズ・ガンの監督作にはすべて出演している。

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