あいみょんインタビュー「カドが取れたら音が残りました」【TV Bros.11月号あいみょん特集】

あいみょんインタビュー「カドが取れたら音が残りました」

アルバム『瞳へ落ちるよレコード』について、完走したばかりのツアーのこと、 そして、初めて立つ阪神甲子園球場ライブへの思い。あいみょんがいま思うこととは。そして、 その瞳にはどんな未来がうつっているのか。

取材＆文／小松香里

真面目に遊びながら肩の力を抜いて作ったアルバムです

――『瞳へ落ちるよレコード』は今回も名曲揃いなんですが、良い意味のラフさや遊び心があって、余裕を感じました。どんなアルバムになったと思いますか？

もう言っていただけた通り、めちゃめちゃ遊びながら作りましたね。もちろん真面目に遊んだ感じですけど。あえて雑にしたり、いろいろ試してみたアルバムです。ツアー中に作ったからかな。どっかで力抜かないと、みたいなところもあったと思いますし。あと、選んだ楽曲が割と変な曲が多かったので、かっちりするよりは自然と遊べた感じもします。

――「君のこゝろ」には逆再生や口笛が入っていたり、「神秘の領域へ」もラフな演奏やずれたハモリが面白いです。

「神秘の領域へ」は５年ぐらい前に作った曲なんですけど、当時誰かと飲んでたときに「いやー、若気の至りですよね」みたいなことを話してたんですよね。それで若気の至りをテーマに書いた曲です。だから、アレンジもポンコツっぽい感じでやってみました。歌も良い意味で適当に歌ってみましたね。

――前作の「おいしいパスタがあると聞いて」の曲でいうと、「マシマロ」を思わせる性的なことを歌ってて。この能天気さを感じる思春期感っていうのも、あいみょんさんの楽曲のひとつの武器だと思うんですよね。

私の中の登場人物って男と女だけじゃないんですよね、男・女・女性・男性・少年・少女・女の子・男の子って８種類ぐらいあって。この曲は少年ジャンルですね。「甘えてみたいのだ」っていう歌詞が、少年がヒーローごっこしているときに使いそうな言葉やなって思って決まっていった感じです。

例えば、「強くなっちゃったんだ、ブルー」は女性、「君のこゝろ」は男で。曲を作っていく中で、大体口調か言ってる内容で決まっていきます。

――『おいしいパスタがあると聞いて』もそうですが、今回は「3636」にカレーライスが出てきたり、「ペルソナの記憶」は「オムライスの返り血をうけて」という歌詞で始まったり。料理がよく出てきてますよね。

「3636」はカレーライスにするかミートパスタにするかトマトパスタにするかすごく悩んだんですよ。ここはわかりやすくカレーライスなんかなって思ってそうしたんですけど。でも私の歌詞に出て来る料理は主人公の思い出が強すぎて美味しそうじゃないんですよね。「3636」の主人公も、「嫌になったの？」って訊いてたり、ちょっと面倒くさいじゃないですか。そういう子がこういう不安定な状況で作るカレーライスってしょっぱそうっていうか。