オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、Yohji Igarashi、宮崎敬太 presents「レイジ、ヨージ、ケイタのチング会(仮)」06

オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、トラックメイカー・Yohji Igarashi、音楽ライター・宮崎敬太のチング(友達)同士による、K-POPをサウンド面から深掘りしていく連載。Kカルチャーに造詣の深い2人がサウンドの面からK-POPを分析しつつ、トラックメイカーYohji Igarashiと共に元ネタを探りながら理解を深めていこうという企画。

今回は文字通り彗星位の如く現れ、人々の心を鷲掴みにしているグループ・NewJeansの話題を中心に、一体いつ寝てるの?と誰もが思うバイタリティで日々を生きるオカモトレイジのタフな1日について、ヴァージル・アヴローとの思い出についても。

取材&文/宮崎敬太

 

・東京に刺激を撒き散らす“歩くパワースポット”オカモトレイジの半日に同行してみた

 

ケイタ:前回の取材が終わった後、レイジくんのスケジュールに半日同行したんですよ。

ヨージ:僕も途中までいたやつ。

ケイタ:ですです。あの日、俺、刺激を受けまくったんですね。そもそも取材で2人が話してくれたEDM熱いい話でホクホクしてたんですよ。そのまま流れで2人に付いて行ったんですけど、単純にレイジくんのバイタリティがすごすぎて。

レイジ:そんなでしたっけ?

ケイタ:だってさ、あの日は11時から13時まで取材だったじゃない? 終わった後、俺とヨージさんと3人で翌日から開催される「YAGI – Making Of The Pops – Summer Exhibition」に使うスピーカーを渋谷で見たじゃん。で、そのあとChildren of Discordanceに行って。実はあの時、生まれて初めてパーソナルオーダーを体験したの。それも嬉しいポイントで。俺にとっては近そうでめっちゃ遠い世界だったからさ。

ヨージ:そうだったんですね。みんなでいろいろ話しながら服見るの楽しかったですよ。僕は用事があったから、そこでバイバイしたんですよね。

ケイタ:そうそう。タクシーで代官山に移動して「YAGI」の設営をちょっと手伝いつつ、俺は『T.M.I.』というZINEを出した山塚リキマルさんやYuki Oshimiさんと話したりしてたんですね

レイジ:『T.M.I.』を読んでケイタさんどう思いました?

ケイタ:めちゃ最高だったよ。自分も文章を書く人間だからリキマルさんと知り合えたのも刺激を受けた嬉しいポイントだったんだよね。ZINEから溢れ出た個性が満開で。

編集部:どんな方なんですか?

レイジ:俺の友達なんですよ。31までずっと富良野で農家してたけど、文章で食っていきたいってコロナ禍に上京してきたんです。おもしろい文章は書けるけどセルフプロデュース能力は皆無。だからいろいろうまく回ってなくて。そしたらある日、突然PDFが送られてきたんですよ。それが『T.M.I.』だったんです。

ケイタ:そうだったんだ!

レイジ:俺がもらった時はもうあれができてたんです。あれを埋もれさせとくのはもったいないじゃないですか。だから少しだけ出資して「YAGI」やることにしたんです。最初はリキマル1人で1週間やる予定だったけど、せっかくなら気になってる人にも参加してもらおうと思って、Oshimiくんと韓国のwreckpackにも声をかけたという感じですね。ネットで出した分は300冊が速攻で完売したんです。

編集部:noteとかも書かれてるんですね。

ヨージ:リキマルさんのTwitterめちゃくちゃ面白いですよ。

レイジ:だよね。リキマルにはTwitterやnoteのファンが結構いて、ネットで出した分は300冊が即完売してました。俺、このYAGIの期間中はスケジュールの合間を縫ってなるべく会場に行くようにしてたんです。そしたら全然クラブに来そうにない物静かそうな子や、いかにもサブカル好きそうな子が来てくれてて。俺が「今回は何で知って来てくれたんですか?」って話しかけたら、「リキマルさんのnoteをずっと読んでて」って人が結構いたんですよ。

ケイタ:リキマルさんの文章はシンプルに面白いもん。俺はあまり自分の個性を前に出さない文章を書いてきたから、リキマルさんみたいな文章にはめちゃくちゃ憧れがあって。他にも面白いコラムを何本か読んだことも重なって、俺もnoteでコラム書き始めてる。

レイジ:リキマルの文章は、ネット社会になる前のむちゃくちゃ主観的に書かれた洋楽のライナーノーツみたいな偏り方してますよね。

ケイタ:そうそう。そこがすごく面白かった。メタ的な客観性はあるけど、基本はリキマルさんの主観がドライブしている文章でどんどん読める。「T.M.I.」からはファーストアルバムの初期衝動みたいのを感じた。

レイジ:そう感じてくれたなら嬉しいですね。

ケイタ:むしろ紹介してくれてありがとうございました。てか、俺はもうあの段階で「YAGI」に集まるクリエイティブなパワーに当てられまくってたんですよ。でもレイジくんはその間もテキパキ動いて、若いクリエイターを大人に紹介したりしてて。さらにそのあとUberでタクシー呼んで、原宿に移動して伊藤万理華ちゃんの展示会に行って。それでだいたい16時くらい。そこで俺でエネルギー切れしてバイバイしたの。あの日、レイジくんの歩くパワースポットっぷりを実感したよ。その後、俺は地元に帰って夜まで原稿書いて帰宅して、インスタ見たらレイジくんは夜中までDJしててさ。

レイジ:あー、確かにそうでしたね。ケイタさんと別れた後、俺は元Yogee New Wavesの上野くんと合流して名古屋から来てたZekkanくんっていうシルクスクリーンのアーティストの子とお茶したんです。そのあとにニューヨークから来たカメラマン『Tried by Twelve: photography by B+』の展示に行って。そこでオーチャードってディストリビューター会社の代表取締役と会って、一緒に小袋成彬のライブ行きました。

ケイタ:え、だって俺と別れてから小袋さんのライブまでたった2〜3時間じゃん。何件用事こなしてるのよ?

レイジ: 五十嵐用事(イガラシ・ヨージ)こなしてますね。

ヨージ:おいっ(笑)!

ケイタ:まあでも、あの日はリアル嵐だったから。「こういう人のためにタクシーってあるんだ」ってシンプルに感動したもんね。

レイジ:小袋成彬のライブが終わってさらに西麻布に移動して自分もDJして、その後もさらにいろんなとこ行きました。でもどこ行ったかまったく覚えてない(笑)。

ケイタ:いつもそんな感じなの?

レイジ:子守当番の日以外はあんな感じですねー。今朝は7時前くらいに起こされて、9時に娘を祖母の家に預けて10時に下北の街スタでドラムのレコーディングをしたんですね。終わった後に街スタでデータをエディットして、フォルダ分けしてドロップボックスに入れてリンクを送って。で、一回家に帰って、レコーディングに使ったマイクやパソコンを置いて、この取材で紹介したいNew JeansのCDとかをピックアップして、昼飯のラーメン食べた14時現在って感じ。

ケイタ:お、New Jeans! 実は俺も今日持ってきた!

ヨージ:ニュージーンズ……?

 

・New JeansのデザインはBoot Boyz Bizに似てる

 

ヨージ:(レイジ&ケイタが持参したNew JeansのCDパッケージを見て)これが普通のフィジカルとして売ってるんですか? このバッグも?

レイジ:そうそう。すごくない? こんなの俺も作ってみたいよ。

編集部:いろいろ入ってますね……。フォトブックとこのZINEみたいのは……歌詞カードなんだ! トレカも5種類入ってる。ポスターもいいですね。このプラスチックのカードは……IDになってる。これって、この前OKAMOTO’Sの「90’S TOKYO BOYS IN HALL SPECIAL ~アフタースクール~」で配られた学生証と似てますね(笑)。

レイジ:NEWJEANS ver.はIDはブランクなんだ。俺、HYEIN ver.買ったから知らなかった! そっちも買って、「私立オカモト高校」の学生証と並べて写真撮ります。

編集部:シールもめちゃくちゃかわいいですねー。

レイジ:娘と一緒に開封式してたら、「このシールちょうだい! 宝石のやつちょうだい」って。超あげたかったけど、今回だけは「お願いだから返して」ってなんとか取り戻した(笑)。

ヨージ:たしかにこのシールはめっちゃかわいいもんね。ヴェイパー・ウェーブっぽさもありつつ……

レイジ:ネクストいってるよね。俺も世界最速でブートシール作って今日持ってきました。みんなこれ貼ってください。

編集部:Tシャツも着てましたよね。

レイジ:あれもNew Jeansのクリエイティブに刺激を受けて速攻自分で刷りました。

ヨージ:っていうか、このデザインの雰囲気ってBoot Boyz Bizっぽくない? レイジが持ってきたバッグの感じとか。

レイジ:ああー、確かに!

ケイタ:Boot Boyz Bizって何?

ヨージ:ブランドっていうか……。あれはなんて言ったらいいのかな?

レイジ:プリント集団だね。LQQK STUDIO唯一の日本人メンバー・トウヤくんが教えてくれました。トウヤくんは、俺のニューヨークに住んでる友達のルームメイトで。ずいぶん前に俺が向こうに行った時に紹介してもらったんですよ。トウヤくんは友達の友達っていうのがスタートで、LQQK STUDIOの人だっていうのは後から知りました。

ヨージ:僕はレイジに教えてもらったんです。カニエ(・ウェスト)が着てバズったんだよね。

レイジ:そうそう。基本即完。どうしてもゲットしたくて、朝6時とかに起きてました(笑)。一時期ずっとサイト張ってました。かなり家にあります。ヨージにも結構あげたよね。

ヨージ:うん。僕も結構自分で買った。安いんです。たまたまその時間に起きてて、サイトをチェックして売ってると、欲しいのかどうかは別にしてとりあえず買ってました(笑)。

レイジ:わかる(笑)。New Jeansのデザインは結構Boot Boyz Bizの世界観と近いね。ヨージはK-POPへの先入観がまったくないからこそ気づけたんだろうな。てか、家にあるBoot Boyz BizのTシャツにNew Jeansのロゴを刷っちゃおうかな。ミン・ヒジンのすごさってこういうとこだと思うんですよ。ブート作りたい欲をマジで掻き立てられるっていうか。

ケイタ:というと?

レイジ:当たり前だけどアイドルのマーチャンってアイドルありきで成立してるじゃないですか。でもミン・ヒジンが作るロゴはアイドルとかまったく関係なく成立してるデザインなんですよね。女の子の写真やグラフィックが一切なくても欲しくなる物を作れてる。それがほんとにすげー。こんなすごいデザインができるのにも関わらず、New Jeansのコンセプトは「音楽」らしくて。

ケイタ:ヤバっ。

ヨージ:箱のほうはヴァージル・アブローっぽさも感じるな。

レイジ:たしかに女の子っぽい要素を抜いたらヴァージルっぽいかも。

編集部:今日はヨージさんにNew Jeansをプレゼンしましょう!

 

・「YAGI」、New Jeans/ミン・ヒジン、ヴァージル・アブローを貫く思想

 

ヨージ:(「ATTENTION」試聴中)90’sのR&Bみたいな感じなんだね。

ケイタ:俺は最初に聴いた時、なぜかSoul 2 Soulの「Keep on Movin’」を思い出したな……。

レイジ:その感覚はなんとなくわかりますよ。なんか俺の周りでもおじさんがみんなNew Jeansに食らってて。この曲が出た時、シンゴスターさんから突然電話かかってきて「うん、もしもし? あのNew Jeans? 最高ですね! あのね、もう最高ですね。絶対韓国行きましょう。旅費は全部僕が出すんで。僕にいろいろ教えてください。それだけでーす。すいませんでしたー」って(笑)。

ケイタ:突き動かされる何かがあったんだろうな(笑)。

ヨージ:トラックメイカー的に言うと、この曲って声ネタがずっと流れてますよね。こういうのって、実はヴォーカルと帯域がかぶっちゃうからあまりやりたくないんですよ。この前、ASPってグループの曲を作ったんですけど、メンバーが7人もいるからヴォーカルミックスがすごい大変だったんです。

ケイタ:なるほど。トラックにも同じ帯域の音を使うとごちゃごちゃしちゃうと。

ヨージ:そうです。「ATTENTION」も実はかなり細かい技を効かせた曲だと思います。

レイジ:あとサビ前にダンサーの先生が言ってるみたいな感じで「1、2、3、4」ってカウントが入ってるのも実はあまりない感じだよね。

ヨージ:うん、最近の感じではない。でもすごいかっこいいね。

レイジ:New Jeansの何が驚いたって、俺が個人的に好きで5年くらい前からチェックしてた韓国のクリエイターがめっちゃがっつりプロジェクトに参加してたこと。「Cookie」のビートを作ったFRNKってやつは韓国のXXXってヒップホップグループに所属してて。ヨーロッパでは評価高いみたいだけど、そこまで人気あるわけじゃないですよ。あとミン・ヒジンのアシスタントをしてるキム・ナヨンって子はTE RIMってやつの「We Happy ;)」って曲のMVを撮ってて。

ケイタ:これ、前にレイジくんが教えてくれたMVだ。90’sのアシッドハウスみたいな感じですごい好きだった。

レイジ:そうそう。このMVって2018年に公開されてるのにまだ4879回(8月22日現在)しか再生されてない。Ashmute (애쉬뮤트)「Scenery」ってMVもキム・ナヨンが撮ってて、そっちもめちゃ良いんですよ。

ヨージ:これ新宿三丁目じゃない?

レイジ:そうそう。東京で撮ってるの。(New Jeansの)「Hurt」のMVと質感がすごい似てるんですよね。FRNKもキム・ナヨンもそんな有名じゃないけど、ミン・ヒジンはここチェックしてるんだっていう。俺はNew JeansのBoot Boyz Biz感はキム・ナヨンの入れ知恵だと予想してます。

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