8月1日からNHK総合にて4夜連続放送のコメディードラマ『事件は、その周りで起きている』。放送カウントダウン企画、4日目に登場するのは本部から管轄にとばされた科捜研の女・向田 舞を演じる倉科 カナ。
『LIFE!』シリーズに続き今作の脚本を手がける岸田國士戯曲賞劇作家・倉持裕とのタッグは倉科にとって、今年5月に上演された主演舞台『お勢、断行』以来。そんな彼女は「倉持脚本を読むと考えるようになる」ことがあるらしく…?また『刑事7人』(テレビ朝日系)で長年、刑事ドラマに出演し続けてきた彼女が感じた今作の撮影現場の特殊性について語ってくれた。(インタビューの最後には直筆サイン入りポラの抽選プレゼント企画も実施中。詳しくは【プレゼント情報】欄をご覧ください。)
取材・文/編集部
撮影/梁瀬玉実
【『事件は、その周りで起きている』5日連続キャストインタビュー】
1日目 小芝風花
2日目 笠松将
3日目 北村有起哉
4日目 倉科カナ
5日目 蛙亭・中野周平
【Profile】
倉科 カナ(くらしな・かな)
●1987年12月23日生まれ、熊本県出身。2009年にNHK連続テレビ小説『ウェルかめ』で主演に抜擢。近年の主な出演映画は『遠くでずっとそばにいる』(17)や『3月のライオン』(17)、『あいあい傘』(18)、『女たち』(21)など。ドラマは『刑事7人』(15~21)、『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(21)、『カンパニー 逆転のスワン』(21)、『らせんの迷宮~DNA科学捜査~』(21)、『婚姻届に判を捺しただけですが』(21)、『命のバトン~赤ちゃん縁組がつなぐ絆~』(21)、『正直不動産』(22)、『寂しい丘で狩りをする』(22)など。舞台は『パークビューライフ』(21)、こまつ座『雨』(21)、『ガラスの動物園』(21)などがあり、21年には『第29回読売演劇大賞』で優秀女優賞を受賞。22年は『お勢、断行』で主演を務めた。
読むと葛藤が生まれる
倉持裕の脚本
──今作は『LIFE!』制作チームが手がける1話15分のコメディードラマです。オファーを受けたときのお気持ちはいかがでしたか?
倉科カナ(以下、倉科):お話をいただいたときは「NHKさん、挑戦的だな〜」と思いました(笑)。『LIFE!』はよく拝見していますし、今作で脚本を務める倉持裕さんとは、これまで何度も舞台でご一緒したこともあって。また倉持さんの作品の世界観に踏み込めることも、とても楽しみでした。
──倉持さんによる今作の脚本を読んでみたときの感想はいかがでしたか?
倉科:倉持ワールドが炸裂していて、すごくシュールでした。今作のタイトルが『事件は、その周りで起きている』なんですけど、実際は事件が全く起きないんですよね(笑)。それぞれのキャラクターも濃くて、みんなポンコツだけど憎めない愛くるしさが台本上にもあらわれていました。
──その中でも倉科さんが演じる科捜研の女・向田舞について教えてください。
倉科:本部からとばされた自称「元・科捜研のエース」で、野心をもった女性です。自分のことを優秀と自称しているんですけど、発言や行動から見ると本当に優秀なのか定かではないキャラクターですね(笑)。特に2話は向田舞が中心になる話で、小芝風花さん演じる真野さんが書いた読解不能なメモを解読する回なんですけど、アグレッシブに動くシーンもあって演じていても楽しかったです。
▼8月2日放送 第二話「判読不能」
あらすじ・・・聞き込みを終えて署に戻ってきた真野(演:小芝風花)と宇田川(演:笠松将)。しかし真野の手帳を開いてみると、あるトラブルのせいで判読不能になっていた。本部の科捜研に行って解析するしかない。その時、元科捜研のエース・向田舞(演:倉科カナ)が救いの手を差し伸べる。
──笠松さんはご自身が演じる宇田川について「自分と近いキャラクターだし、この作品の中では一番まとも」だとお話しされていました。
倉科:あはは(笑)。自分でよく言えるな〜(笑)。
──この作品に登場する5人ともユニークなキャラクターですが、倉科さん自身はどのキャラクターに近いですか?
倉科:やっぱり向田舞かな〜?
──向田舞との共通点はありますか?
倉科:う〜ん、なんだろう…? ……色っぽいところとか(笑)?
──確かに。
倉科:私も自分で言っちゃうのもね(笑)。でも私のことを知ってくれている倉持さんが私に「どう?」と声をかけていただいた役なので、私にもすごく合っているんじゃないかなと思います。
━━今作は脚本だけでも面白い会話劇なだけに、どのテンションでセリフを発するのか、俳優陣にとって難しい作品だと思います。
倉科:そうですね。始めはオーバーに演じてみてそこから少しずつテンションを落としたりして調整していたんですけど、難しかったです。セリフのテンション感も監督が教えてくださるんですけど、シーンは一連で撮っていくので相手から出る芝居をちゃんと受けることが重要で、そのライブ感は大事にしています。
今作はコントでもないし、ドラマともまた違うので、コメディー要素をどこまで出すべきか、どこまでナチュラルな感じでいくのか、その塩梅も難しかったですね。
━━お話を聞いていると、かなり緊張感のある現場なのではないでしょうか?
倉科:めちゃくちゃ緊張感ありますね〜! 本番に入る前でもお喋りしていることもなく、皆さんも自分がやらなければいけないことを頭の中で整理していて、集中しています。
──ちなみに倉科さんご自身では、今作の真野と宇田川のように、口喧嘩は普段からしますか?
倉科:「むっ!」と思ったことがあっても大人だから口に出さないんですけど、その中でもオブラートに包みながら「私は若干怒っているんだぞ!」というのを織り交ぜながら会話したり、態度に醸し出したりすることはあるかも(笑)。
──笠松さんは、今作を読んでコミュニケーションにおいて学ぶことが多いともお話しされていました。倉科さんは台本を読んで感じたことはありましたか?
倉科:大人だから真野さんと宇田川くんのように直接的に伝えることってあまりないと思うんですけど、遠回しなセリフで本意を伝えることは倉持さんの脚本らしいなと思いました。セリフの細かな部分や間に、内なる声が潜んでいるんですよね(笑)。つい先日にも考えていたことなんですけど、倉持さんの台本を読んでいると「目の前にいる蚊を潰すべきか、すべきでないのか」みたいなことをすごく考えるようになるんです。
──多くの人は、部屋で蚊を見つけたらそんなに考えずに叩いちゃいますが…。
倉科:その瞬間に葛藤が生まれるんです。「蚊によっては刺してこないタイプもいるわけで、それだったら殺生しなくてもいい。だけど、果たしてこの蚊が刺してくるタイプなのかそうでないのかは分からないし…」みたいな(笑)。どこかしら自分の中で感じてはいたけど認識できていなかった自分の小さな気持ちを、台本が気づかせてくれることがあるんですよね。
倉科カナ、夏の定番は「アイス」
──今作は8月1日から4夜連続放送されます。キャストの皆さんに質問しているのですが、倉科さんの「夏の定番」と言えば、なんでしょうか?
倉科:夏はずっと『刑事7人』(テレビ朝日)の撮影があったので、私にとって夏はいつも「ドラマ撮影」というイメージですね。だけど私にとって春も夏も秋も冬も、あまり変わらないというか…。
──季節感があまりない?
倉科:ないです、家に居たい(笑)!
──毎年の夏のドラマの撮影現場では、恒例のイベントはありましたか?
倉科:そのドラマでは、それこそ「アイス休憩」というのがあって(笑)。どんなにシリアスなシーンを撮っていても「アイス休憩入りま~す!」って言われたら、みんなでアイスを食べる時間がありましたね。
──撮っているシーンによっては、緊張感が失われますね。
倉科:でもその現場では「アイス休憩」が優先なんです(笑)。夏の刑事ドラマの撮影って、ほんっっとうに大変なんですよ! 刑事ドラマの犯人って、冷房があるところに行かないんです(笑)。いつも行くのは、なぜか山奥とか小屋とか工場とか埠頭とか暑いところ(笑)!
アパートとかに行ったとしても、そこにも冷房はついていない部屋なんです。しかも刑事だから衣装は常にスーツなので、撮影中はちゃんと水分補給をして、身体を冷やすことが大事なんです。
──なるほど。今作も刑事ドラマですが、そもそも犯人が出てこないせいか全てセットの撮影でしたね。
倉科:快適でした(笑)。こんなに全てのシーンをセットで完成させて撮影するなんて、すごく面白いですよね。
──それは今作が犯人を追わないタイプの刑事ドラマである今作だからこその良さですね。
倉科:そうですね(笑)。
今作は、雨ふらしのシーンや沼地のシーンがあるんですけどそれも全てセットで作っているんです。、外のシーンのセットでもセット感がなくて、本当に外で撮影しているように見えるのですごいなと思いました。
──では近くにスタッフさんもいるので「『LIFE!』最高!」ということで締めてください。
倉科:『LIFE!』最高です(笑)!
【番組情報】
コメディードラマ
『事件は、その周りで起きている』
NHK総合
8月1日から4夜連続放送
午後10:45~11:00
【出演】
小芝風花
笠松将
中野周平(蛙亭)
倉科カナ
北村有起哉
【脚本】倉持裕
【制作統括】小室玲子
【演出】西川毅 ※『LIFE!』総合演出
【プレゼント情報】
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