第11回 マンガ、それは悪人の登場比率が高ければ高いほど輝くもの!

『グラップラー刃牙』少年編の花山の初登場シーンで、花山がトミー・カービンくんを破壊力=スピード×体重×握力アタックで破壊したシーンを読んで以来、「組織のもめごとやデカい決定事項は、それぞれの代表者のタイマンで決めるのがこの世界のルール」なマンガ大好き! って生き方で迎えた今!今もたくさん出ております、そういうマンガ!

野部 優美『ミカヅチ(1)』(少年画報社)

ということで皆さん『ミカヅチ』は読みましたか!?
無敵の暴走族のヘッド・江藤が連行された先は国会議事堂内に常設されたオクタゴン。政府の予算案、法律、人事、そのすべてが各省からの代表同士のケンカで決められている!
君は今から法務省の代表闘士だ! ってあらすじだけでもう完璧。
作者の野部先生は、前作『とおせんぼう』でも、とにかく「四角い人間が固くて強い」みたいな格闘描写を証明済みなので必読です。揉め事は暴力で解決するべきだし、四角いものは強い!

山田俊明『東京決闘環状戦 (2)』(コアミックス)

『東京決闘環状戦』2巻も例によって代表者がアレをアレしています。。
GHQが考え出した「山手線最強の駅を、代表者のタイマンで決定しよう」が、高輪ゲートウェイ駅の開設で再燃!
2巻では上野代表のパンダの人(説明が雑)との対戦でシレっと「砕死(さいし)」という新しい死の概念が出てきたり、その後も「爆死化(ばくしけ)」とか、めちゃくちゃな言葉が存在して当然のように登場するので必読でしょう。連載の方だと予選も進んでて、いよいよアクの強いキャラ総結集の本戦トーナメントが始まるので、今のうちに原作に追いついてしまうことを強く推薦します。

TETSUO『髑髏は闇夜に動き出す サードシーズン』(少年画報社)

1冊完結の復讐物語、『髑髏は闇夜に動き出す サードシーズン』もよかった。
好きな女の子に乱暴をして殺害したアイドルグループへの復讐を誓った主人公の男……が、そもそも被害者女性の部屋に不法侵入しているストーカーなので、作中で真っ当な人間の真っ当な正義がほぼ登場しないし、そもそも主人公が実在の人物に似すぎている悪意がすごい。
やはりマンガというのは悪人の登場比率が高ければ高いほど輝くものだということが今月も証明されてしまいましたね(読んでいるものが偏っている)。

平松伸二『新装版 キララ』(リイド社)

あと、2021年のまさかのこのタイミングで平松伸二先生の超野球マンガ『キララ』が復刻されたんですよ。以前にもこの連載で書いたことがあるんですが「野球はルール内で合法的に殺人ができるスポーツ」というのが我々マンガ読みの中での常識なので、こういう作品がしっかりと復刻されるというのは最高ですね。

平松伸二『大江戸ブラック・エンジェルズ(1)』(リイド社)

平松先生は同時に『大江戸ブラック・エンジェルズ』1巻も発売されていて、これは「現代を舞台にした必殺仕事人マンガ」である『ブラック・エンジェルズ』を、キャラそのままに舞台を江戸に移したシリーズなので、謎の原点回帰というか先祖帰りを起こして超正統派の「コミック乱に載ってそうな仕事人マンガ」になっているのでご一読を。

あと最後に私的な宣伝ですが、編集した「『ガロ』に人生を捧げた男」という、元ガロ副編集長の自伝本を興陽館から出版させてもらっていますのでよろしくお願いします。

劇画狼(げきが・うるふ)●マイナーマンガ紹介ブログ・なめくじ長屋奇考録の管理人&特殊出版レーベル・おおかみ書房編集長。4/24(土)~大阪で『ジャングルはいつもハレのちグゥ』展の企画をやります。

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『劇画狼の獣次元新刊漫画ガイド』

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TV Bros.編集部
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