【SmartNews】今般の騒動で思い出すあの女優の最後の出演映画&『L.A.コールドケース』映画星取り【2022年8月号映画コラム】

TV Bros.WEBで毎月恒例の映画の星取りコーナー。今回は、実話に基づいたクライムサスペンス『L.A.コールドケース』を取り上げます。

星取り作品以外も言いたいことがたくさんある評者たちによる映画関連コラム「ブロス映画自論」も。映画情報はこちらで仕入れのほど、よろしくお願いいたします。

(星の数は0~5で、☆☆☆☆☆~★★★★★で表記、0.5は「半」で表記)

 

<今回の評者>

ミルクマン斉藤(みるくまん・さいとう)●京都市出身・大阪在住の映画評論家。京都「三三屋」でほぼ月イチのトークショウ「ミルクマン斉藤のすごい映画めんどくさい映画」を開催中。6月からは大阪CLUB NOONからの月評ライヴ配信「CINEMA NOON」を開始(Twitch:https://twitch.tv/noon_cafe)。
近況:ぶった斬り最新映画情報番組「CINEMA NOON」最新回は8月7日(日)、大阪・NOON + CAFE にてライヴ開催! その後YouTubeチャンネルでも配信します。

地畑寧子(ちばた・やすこ)●東京都出身。ライター。TV Bros.、劇場用パンフレット、「パーフェクト・タイムービー・ガイド」「韓国ドラマで学ぶ韓国の歴史」「中国時代劇で学ぶ中国の歴史」「韓国テレビドラマコレクション」などに寄稿。
近況:「パニック映画大解剖」(三栄)に寄稿。よくみたら意外とあったんですね、韓国映画にも。もちろんゾンビ絡みは必須です。

 

『L.A.コールドケース』

監督/ブラッド・ファーマン 出演/ジョニー・デップ フォレスト・ウィテカー トビー・ハス デイトン・キャリーほか

(2018年/アメリカ・イギリス/112分)

  • 1997年。人気絶頂のラッパーが何者かに射殺される事件が発生するが、犯人は特定できないままだった。当時捜査を担当した元ロス市警の刑事プールが18年経った現在も真相を追い続ける中、事件を独自に調査していた記者ジャックがプールを訪ねる。ランドール・サリバンのノンフィクション小説が原作。

8月5日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、グランドシネマサンシャイン 池袋 他全国順次公開

© 2018 Good Films Enterprises, LLC.

配給:キノフィルムズ

ミルクマン斉藤
とにかくデス・ロウのヤバさは判った。

当時さほどヒップホップに興味のなかった僕でも、2PACそしてノトーリアスB.I.G.の暗殺事件にはさすがにキナ臭いものを感じたものだが、いや、結局『セルピコ』状態だったのね、という身もフタもなさに今さらげんなり。ブラッド・ファーマンは比較的お気に入りの監督だけど、もっとライトなほうが肌に合ってるんじゃないかと思うが。でもジョニデ、逆風の中にあっても我が道を往くで、いい仕事が続いている。

★★★☆☆

地畑寧子
闇が闇を呼ぶ

大スターの射殺事件で表面化した新たな闇を執拗に追う二人の男の物語。とはいえ闇は根深くもやもや。私生活のお疲れ感? が役柄ににじみ出ていたジョニデは、ハマってはいますが。存在感激薄のマイケル・パレに時の流れを感じます。

★★★半☆

 

気になる映画ニュースの、気になるその先を!
ブロス映画自論

ミルクマン斉藤
信教の自由は守られるべきですが、などといくらかの皮肉を込めて。

もう朝から晩までニュースもワイドショーも統〇教会の話ばっかである。いい齢こいた議員らが「教団が何をしてたか知らなかった」などと厚かましくのたまう姿には「お前、あの騒動の時いくつやってん」とせせら笑うしかないし、このネット時代、関連団体の本体が何者かなどちょっと検索すりゃ判ることで、そんな恥知らずなこと言ってる奴らは即刻政界から退場させられればよろしい。しかしかつての“合同結婚”以降、ほぼメディアから消えた芸能人の名前はコメンテイターからも案外普通に語られるようになったのだな。新体操選手のほうはさほど関心がないが、惜しんでもあまりあるのはやはり桜田淳子。結果的に最後の映画となったのが、相米慎二のあの大傑作『お引越し』なのだから勿体ないにもホドがある。他にも市川崑『病院坂の首縊りの家』での浮世離れした美貌はいかにも崑さん好みであったろうし、そういえば崑版『細雪』の四女・妙子役もぴったりだったなあ、と思ったりもしたのだが、これはもちろん演じたのは吉永小百合であり、間違いなく小百合生涯の当たり役でもあったわけだけれど、なんとなく桜田のツンデレぶりもおそらくぴったりだったんじゃなかろうか。と思ってちょっと調べてみると、ずいぶん何回も舞台で妙子役を演じてたんだね。時代的に朝ドラ『澪つくし』での気位の高いお嬢様役のイメージと重なっていたのかも知れないが……やっぱ、あの事さえなければ今頃大女優だったろうに。

 

地畑寧子
リンゴ・ラム(林嶺東)の遺作

香港電影金像奨(香港アカデミー賞)のセレモニーに足を運ばなくなって久しい。気が付けば今年はもう40回目で、第一回の主演男優賞受賞者の喜劇王マイケル・ホイが、生涯功労賞を受賞する年齢になっていた(80歳)。なので、80年代~90年代の香港映画の黄金期を作った監督たちも気づけば70歳前後に。現在地元で公開中の『七人樂隊』(日本では映画祭上映済、10月劇場公開)は、その年代の香港ニューウエイブの旗手、ツイ・ハークほかサモハンやジョニー・トーら交流の深い7人の名匠たちの短編オムニバスである。各々の持ち味を活かした香港への愛情が溢れた作品群で、泣ける。ノスタルジーに浸れる香港現代史といってもいい。個人的にはアン・ホイの章「校長先生」、ユエン・ウーピンの章「回帰」に特にホロリときたが、この『七人樂隊』は、リンゴ・ラムの遺作でもある。ラム監督の章「迷路」は、ハリウッドを経験した彼の想いと中国返還を機に移民した多くの香港人の想いが併せてあり、これまた感慨深い。ラム監督は『レザボアドックス』の元ネタである『友よ風の彼方に』(龍虎風雲)やチャウ・シンチーがパロディにしていたほど地元で人気を博した風雲シリーズで語られることが多い。が、惜しむらくは、『高度戒備』(97年)『極度重犯』(98年)が日本で紹介されなかったこと。いずれも香港らしさに満ちたハードアクションの秀作で今見ても十分面白いのだが。

 

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