押井さんがよく見ているYouTubeの映画レビューチャンネル『映画日和』の2回目をお届け。“演出する人間、脚本を書く人間は駄作を観るべき”と語る真意とは?
取材・構成/渡辺麻紀
<新刊情報>
加筆&楽しい挿絵をプラスして待望の書籍化!
『押井守のサブぃカルチャー70年』が発売中!
当連載がついに書籍化しました。昭和の白黒テレビから令和のYouTubeまで、押井守がエンタメ人生70年を語りつくす1冊。カバーイラスト・挿絵は『A KITE』(1998年)などを手掛けた梅津泰臣さんが担当し、巻末では押井×梅津対談も収録。ぜひお手に取ってみてください。
押井守/著
『押井守のサブぃカルチャー70年』
発売中
発行:東京ニュース通信社
発売:講談社
カバーイラスト・挿絵:梅津泰臣
文・構成:渡辺麻紀
『映画日和』の人は、映画を観ることに習熟していて、価値観がブレてない
――押井さん推しの映画チャンネル、『映画日和』について語る2回目です。ボソボソと喋っているこのチャンネルの臨場感がいいとおっしゃっていました。
私がいつも言っている持論、憶えてる?
――「映画は語られたときに初めて映画になる」、ですよね。ただ観ただけじゃだめで、その映画について語ったときに初めて映画として存在していることになる。
そうです、映画は語った時点で完結する。語られないと映画にならない。いかに語ってもらうかが重要なんですよ。『映画日和』の人はそれをわかっていて、ちゃんと自身のチャンネルで実践しているんです。
何度も言うけど、ほかのチャンネルは大体、案件系――つまりお仕事で褒め散らかしているか、あるいはよかった、悪かったと評価を下しているだけ。でも、このチャンネルの人はちゃんと映画と語り合っている。違う言い方をすれば、映画を体験させてくれるんです。
だから、映画を観ながら、いろいろ喋ってしまうあの感じがとてもよく表現されている。おそらく、ブツブツ言いながら全編を鑑賞し、それを編集しているんじゃないのかな。とても手間暇がかかっていますよ。
それこそ映画チャンネルは30、40とリサーチしたけど、こういうふうに映画を語っているのは『映画日和』だけだった。
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