劇場主体の吉本で”劇場に属さない”異端児がここに登場【「これからの芸人百景」第26回 エレガント人生】

コンビ結成からわずか3年。さまざまなキャラに扮し、男女間の生々しいやり取りをYouTubeで日々配信し、チャンネル登録者数は30 万人を突破。賞レースや劇場には出ないが、年に一度の単独ライブには心血を注ぐ男女コンビだ。自分たちを「か弱き子羊」と称する彼らの目指す場所とは?

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編集/竹村真奈
取材・文/粟野亜美
撮影/上村 窓

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――コンビ結成から4年目でルミネtheよしもとでの単独ライブを成功させ、チャンネル登録者も30万人と絶好調ですね。

中込 悠(以下、中込) 
もともとは後輩の男の子も入れてトリオでやっていたんですけど、それをコンビの形で再結成し直したのが2020年6月。その前のトリオでは僕と祥子の「売れたい」という気持ちが強すぎてあまりうまくいかなくて。
山井祥子(以下、祥子) 今考えると焦りがすごくあって。ほぼ毎日会ってネタを作ったりしていたんです。私たちもその時点で芸歴6年目だったので「ここらへんでうまくいかないと辞めるしかないな」というのが見えてきてしまっていて。なのでコンビを組むときも、悠ちゃんにはわりとハッキリと「来年も今と同じような状況だったら無理かも」と伝えていました。
中込 だから、ある意味で1年である程度の結果を出さなきゃいけなかったんです。ちょうど結成のタイミングが神保町の劇場への切り替わりのタイミングでもあって。僕らにはタイムリミットがあったので「これはなんとかならないと(コンビが)終わってしまう」と思い、劇場には所属しないという形にしました。
祥子 私たちはSNSとYouTubeのほうに全力を傾けようと。
中込 祥子のあの言葉があったから覚悟を決められたというか。それまでも各々のコンビでは劇場にも出ていたので、すぐに結果が出る世界でもないというのを知っていて。だったら可能性のあることをやって、辞めることだけは避けたかった。

――とはいえ、吉本という「劇場が強み」の中に所属しつつ、その決断はかなりの覚悟が必要だったのでは?

祥子
 最初は震えましたね(笑)。

中込 そんな芸人もそんなコンビもまわりにいなかったので。
祥子 今になって思うのは、私たち、本当に子羊のようにか弱くて。2人ともすごい繊細なんですよ。なので、バチバチしてる環境って精神がすり減ってしまって。たぶん人よりもダメージを受ける。劇場は楽しい場所ではあるし、賞レースを見るのはすごく好きなんですけど。
中込 劇場の楽屋など大人数のところにいると、萎縮してしまうというのはたしかにあって。自分たちが面白い部分というのは絶対あると確信しているけど、それが劇場ではうまく出せない。そうすると芸人を辞めなくてはいけない人は意外といると思うんです。そうはなりたくないなという思いが強くありました。
祥子 私たちがこういう形で頑張ることで、同じようなことを感じている後輩たちが「こんな道があるなら辞めなくてもいいや」という道すじになればいいなと思ってます。

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