第20回 2022年、多くの人に共感される作品に共通するテーマとは!?

あけましておめでとうございます!
さて、昨年までのこのコラムでは「暴力と殺戮のマンガ」に特化して無の新刊レビューを投げ散らかしてまいりましたが、今年は心機一転! 皆さんの心をポカポカさせる共感性の高いテーマを考えていきたいと思います。

多くの人が共感してくれるテーマとはなにか?

どんなものにでも、「〇〇が出たら××になる(だから読んでみよう)」みたいな「兆し」とでもいうべきものがあると思います。
今回はその法則を色々と書き出して、2022年にどういったテーマや展開が皆さんの共感を呼び人気作品となるのか考えていきましょう。

「兆し」、例えば分かりやすいものだと、「天国で割腹したら『覚悟のススメ』(作/山口貴由)」とか、「過去回想編で地球が滅亡したら『樹海少年Zoo1』(原作/ピエール瀧 作画/漫$画太郎)」とか、「伊集院球三郎がバイクで100キロ出したことを父親に報告したら『アストロ球団』(原作/遠崎史朗 作画/中島徳博)」とか、「初速を落とさずに100人殺したら『百足』(作/フクイタクミ)」とか、「トンカツでいい話になったら『美味しんぼ』(原作/雁屋哲 作画/花咲アキラ」とか、「トンカツでいい話になりきらなかったら『神聖モテモテ王国』(作/ながいけん)」とか、「人間が天ぷらになったら『きりひと讃歌』(作/手塚治虫)」とか、「イカ化身が天ぷらになったら『ゆうれい小僧がやってきた!』(作/ゆでたまご)」とか、「優秀な人種ゴリラとの結婚生活で幸せをつかみ強く生きる女性の怪奇ドラマが始まったら『ゴリラとの結婚』(作/飯島市朗)」とか、「ハムスターの仇を討ったら『蛮勇引力』(作/山口貴由)」とか、「巨大ムササビが出てきたら『白い戦士ヤマト』(作/高橋よしひろ)」とか、「ジガバチの解説が入ったら『ザ・グリーンアイズ』(作/巻来功士)」とか、「うんこを食べたら『少女菜美』(作/三条友美)」とか。

そういう意味で、最近で一番の兆しは「松田が出たら松田」ということで、
『大江戸ブラックエンジェルズ』2巻に満を持して松田が登場。

平松伸二『大江戸ブラック・エンジェルズ(2)』(リイド社)※コミック乱で不定期連載中

松田が出る回は『ザ・松田』。何度も言ってるけど、現代を舞台にした仕事人マンガである『ブラックエンジェルズ』の舞台を江戸にしたら、それはそのまま極上の時代劇になって勝利確定なので皆さん読みましょう。

逆にそういった兆しを完全に無視して、生き方の多様性を問うようなスタートを切ったところから急に凶悪な話になるのが『兄だったモノ』。

マツダミノル『兄だったモノ』(GANMA!)※GANMA!で連載中

これは本当に「あ、そういうことするんだ!?」という悪意に満ちた作品なので最高です。
共感性の話はもう忘れました。

3&4巻が同時発売して見事に完結した『でっちあげ』も、序盤から積み重ねた悪意が見事に火を噴いた挙句、いい具合にスッキリしないまとまり方で「人生!」となるのでオススメします。

原案/福田ますみ 漫画/田近康平『でっちあげ』(新潮社)※4巻完結

今月は、「うんこを食べたら『少女菜美』」というフレーズの語呂の良さは異常! ということ以外に伝えたいことはありませんが、今年も心がポカポカすることでは救われない皆さんのために! 全力で! 人間の悪意を! やってやるぞ、ワアアアアアアアアアアアアアアアアアー!!!!

げきが・うるふ●マイナーマンガ紹介ブログ・なめくじ長屋奇考録の管理人&特殊出版レーベル・おおかみ書房編集長。春以降に山ほど告知事項があるので、色々準備中です。

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TV Bros.編集部
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