新しい藤田菜七子へのスタートの年にしたい――。
そんな思いで臨んだ2023年でしたが、3月が終了した時点での成績は、わずか1勝……。結果がすべてではありませんが、同時に、その結果を求められるのがプロの世界です。落ち込んだり、凹んだりしている余裕はありません。
なんとかしたい。なんとかしなきゃいけない――。
そんな強い気持ちで挑んだ春の福島で、今後の足掛かりとなる2週連続勝利を挙げることができました。
1勝目は4月8日、福島8R。私に力をくれたのは、今回が初コンビとなる栗東・村山厩舎のキングクーです。
実際のレース映像を確認し、いろんな方に話を聞いて、私なりにこんな馬かなと想像していましたが、馬の状態といい、性格の素直さといい、予想はいい方向に外れていました。
レース前、村山先生からいただいた指示は、「前目で競馬をしてほしい」というもの。私自身も第1プランは先頭に、第2プランとして2、3番手からの競馬を考えていたので、思いは同じです。
7枠13番。しっかりとゲートを出て、ハナに立ったときは、“よしっ!”と小さくガッツポーズ。あとは、この馬の競馬……ある程度のスピードでレースを引っ張り、後続の馬にも力を使わせることで、末脚を封じる作戦です。
3コーナー、4コーナーで後ろを引き離し、レースはいよいよ最後の直線へ。ターフビジョンで後ろを確認し、『これなら、いける』とさっきより少し大きなガッツポーズです。
最後は3/4身差の勝利。コパノキッキング以来、2年4ヶ月ぶりに騎乗依頼をくださった村山先生からは、「ほんと、うちの厩舎とは相性がいいよね」という嬉しい言葉をいただきました。
もちろん、勝てばすべてOKというわけではありません。最後の最後、キングクーも苦しさからもたれてしまい、そこで一瞬、うまく追えなくなったことは大きな反省点でした。
2つ目は、16日福島の10R、芝2600mで行われた奥の細道特別です。
このレースで私に勝利をプレゼントしてくれたのは、自厩舎、根本厩舎のウインエアフォルク。私とのコンビはこれが6度目で、過去5戦の成績は、4、3、4、6、9着。まだ一度も勝ったことがない上に、馬自身も最後に勝ったのが、21年11月20日と、1年4ヶ月も勝利から遠ざかっていて、当日のオッズは、単勝47.5倍の13頭中11番人気です。
低い人気に反骨魂が…というところで、ちょっと言いづらいのですが、木曜日の最終追い切りに乗った時の感触は、「ちょっと重いなぁ」というもので。当然、勝つつもりでは乗るけど、良くなるのはこのレースを一回使ってからかな、というのが正直な気持ちでした(苦笑)。
ところが道中、「ここで動きたい」と思って指示を出してもまったく言うことを聞いてくれなかったのに、4コーナー手前あたりで突然、自分からハミを取ると、そこからはまるで違う馬に変身。豪快な末脚で前を走る馬を一気に交わすと、真っ先にゴール板に飛び込んでくれました。
そんなことってあるの? と思われるかもしれませんが、しっかりと自分を持っている馬の中には、こういうタイプの馬……自分が走りたいと思うときしか本気で走らないという馬が、それほど多くはありませんが、いるんです。
なぜ、このレースで自分からハミを取りにいったのか。たまたまなのか!? それとも、何か理由があるのか? たまたまだったとしたら、なぜ、そのたまたまがこの日だったのか? 勝ってよかったでは終わらずに、その理由をじっくりと考え、根本先生、厩務員の方たちとひとつのチームとして、いろいろ試していきたいと思います。
すでに、見てくださった方がいるかもしれませんが、勝たせていただいた記念にウインエアフォルクの動画をInstagramにアップしました。なんと! はじめての動画です。といっても、これまで動画をアップできることを知らなかっただけですが(苦笑)。
皆さん、素顔のウインエアフォルクを楽しんでください!!
今週末は、この春、最後の福島競馬。そして来週からは、大好きな新潟競馬が始まります。
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