第六回 実質上『鬼滅2』として楽しむこともできる作品の条件とは…

派手な人死にがあるマンガがとにかく好きで、その中でも、第一話からしっかりと人死にが出るマンガはその時点でほぼ名作決定!
『覚悟のススメ』でも『シグルイ』でも『ゾンビ屋れい子』でも『サタニスター』でも第一話で人が死ぬ!(作家の偏り) 『金田一少年の事件簿』でも第一話で人が死ぬ!(犯人は有森) 『アストロ球団』は第一話では人が死なないけど江夏が大爆発して死にかけるので実質上第一話で人が死んでるも同じ!

ということで、今月も書店に買い出しに行くと新刊棚に並んでいるマンガの中から「おーい、私は初っ端からしっかり人が死にますよー!」と呼ぶ声がたくさん聞こえて参りますのでもちろん全部買いますし、そもそもほとんどの作品を事前にAmazonで予約しておりますので、買って帰るとポストの中に同じ本が届いてますし、当然それを両手に持って2段ベッドの上から3倍の回転をかけて飛び降りながら読破するので面白さが12倍に膨れ上がりますし、場合によっては炎の剣と力の盾と霞の鎧を装備していることもあるので単純な戦闘能力はそこから更に10倍に――

漆原侑来『桃源暗鬼』(秋田書店)


そんなこんなで『桃源暗鬼』1巻が出ました。

「鬼VS桃太郎」のチャンピオンのダークファンタジー超ド真ん中、なんだけど、自分の中の「チャンピオンのこういうやつ」というのが、今はジャンプが一番得意としてるジャンルになってたりするので、「あー、最近のジャンプっぽいマンガがタイミングよくチャンピオンでやってないかなー」と考えておられる人(稀有!)がおられましたら是非オススメします。第一話で、人も死にますしね!!
あと、この作品はネット上では太腿の太さで騒がれていますが、その件についてはまた2巻が出るときに「太腿が太いマンガはその時点で云々…」と叫びつつ、『男塾外伝 伊達臣人』と並べて語ることになると思います。

浦部はいむ『あの人は血を求めてしまう』(ジーオーティー)

『あの人は血を求めてしまう』ももちろん第一話で人が死にますし、仄暗く素晴らしい吸血鬼ファンタジーなので大注目。人間誰もが「このままじゃいけない」と思いながらも、それだけで自由とか光とかを得ることはできないし、浦部はいむ作品は登場キャラのそのへんの「自分で自分を諦め具合」が絶妙で、これまでの作品すべて静かに美しいので他作品も一気読み推奨です。

渡辺潤 『ゴールデン・ガイ』(日本文芸社)

『ゴールデン・ガイ』も1話で人が死ぬ!
渡辺潤先生がヤクザマンガを描くって時点でもう勝利なんだけど、今回は「ヤクザ×徳川埋蔵金」というギミック付き。埋蔵金要素が2巻以降どう大きく絡んでくるのか楽しみに待ちつつ、あとは渡辺先生がツイッターに上げているアニメ/マンガの女性キャラの模写&研究のイラストを、どこかの出版社さんが画集にして出してほしいと思います。

『鬼滅の刃』も第一話で人が死ぬので、これらの作品は実質上『鬼滅2』として楽しむこともできるのではないでしょうか。できません。
今月も、このコラムを通して皆さんに伝えたいことは、特にありませんでした。

劇画狼(げきが・うるふ)●マイナーマンガ紹介ブログ・なめくじ長屋奇考録の管理人&特殊出版レーベル・おおかみ書房編集長。藤異秀明先生の原画展、11/7~11/29までやってます! 詳細はモモモグラHP(https://www.momomogura.com/)で!

バックナンバーはこちら

『劇画狼の獣次元新刊漫画ガイド』

投稿者プロフィール

TV Bros.編集部
TV Bros.編集部
テレビ雑誌「TV Bros.」の豪華連載陣によるコラムや様々な特集、過去配信記事のアーカイブ(※一部記事はアーカイブされない可能性があります)などが月額800円でお楽しみいただけるデジタル定期購読サービスです。
0
Spread the love