オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、Yohji Igarashi、宮崎敬太 presents連載「レイジ、ヨージ、ケイタのチング会(仮)」03

オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、トラックメイカー・Yohji Igarashi、音楽ライター・宮崎敬太のチング(友達)同士による、K-POPをサウンド面から深掘りしていく連載。Kカルチャーに造詣の深い2人がサウンドの面からK-POPを分析しつつ、トラックメイカーYohji Igarashiと共に元ネタを探りながら理解を深めていこうという企画。前回、K-POP熱が下がり気味と語っていたオカモトレイジ。果たしてその熱は戻ったのでしょうか…?

取材&文/宮崎敬太

Red Velvet「Feel My Rhythm」で胸ぐら掴まれた

 

ケイタ:レイジくんは前回K-POP熱が冷め気味モードだったけどその後どう?

レイジ:今はめっちゃ熱いです(笑)。Red Velvet「Feel My Rhythm」で胸ぐら掴まれた感じというか。加えて2NE1の再結集ですよ。

ケイタ:「コーチェラ・フェスティバル2022」にサプライズで出てたね。

レイジ:2NE1にめっちゃハマってた時期はないんですけど、むしろあれで新規ファンになっちゃいました。最近は1人で電車乗りながら毎日2NE1の「Go Away」を聴いて号泣しそうになってます良い曲すぎる。

ケイタ:ヨージさんは「Feel My Rhythm」聴きました?

ヨージ:聴いてないです。

レイジ:聴いて、今すぐ(笑)。この曲はサビのドラムパターンがまじで『Dipset Trance Party』だから。トラップになる前のダーティーサウスっぽいというか。

Red Velvet 레드벨벳 ‘Feel My Rhythm’

 

ヨージ:(MV視聴中)ヴァースのリズムはハイパーポップっぽいね。

レイジ:てかこのMV最高だな。ここのジョイの顔が……(サビに突入)聴いてほしいのはここ。このリズム。抑揚なくチキチキ鳴り続けるハットがめちゃaraabMUZIKっぽい。(トラップの代名詞である)3連にならない。

ヨージ:あー、なるほど。このハットは今(のメインストリームでは)やらない。Lil Wayne全盛期のサウスの感じ。

レイジ:そう。リズムだけをよく聴くと古めかしい。一般的にはもっと細かくハットを刻むじゃない? 実はこの曲が出る前にヨージと「2000年代のJUST BLAZEが今かっこいいよね」みたいな話をしてたとこだったんですよ。そこに「Feel My Rhythm」がこういうリズムパターンで来たからもうぶち上がっちゃって。

ケイタ:個人的には「おかえりアイリーンさらんへよ」だし、この曲でイェリとジョイのパートもめっちゃ増えた。超好き。

レイジ:ジョイといえば、この曲って構成がめっちゃ変で。普通のK-POPって「Aメロ、ビルドアップ、サビ/Bメロ、ビルドアップ、サビ」からコードと歌だけになりメインヴォーカル系の「あぁぁぁーーーーっ!」って絶叫になりますよね。

ケイタ:サビ前の絶叫はK-POPの愛すべきテンプレ。

レイジ:今回も最後のサビ前でウェンディの「あぁぁぁーーーーっ!」が入るんですけど、その前にジョイの謎の語りみたいなパートがあるんですよ。

ヨージ:そこ気になった。語りにしてはちょっと長くない?

レイジ:そうなんだよ。しかもよく聴いたらここ3小節なの。だから違うパターンのサビが来ると思ってた。

ヨージ:J-POPならこのパートのあとは半音上がったり、いわゆる大サビになっていくよね。

レイジ:「Feel My Rhythm」はそうならない。まじで最高。俺の落ち気味だったK-POPへの情熱をRed Velvetに戻してもらえたってことも幸せ(笑)。

 

IVE、ウンビ、ルセラからの「PRODUCE48」が今さらホット

 

ケイタ:俺はIVEにめちゃくちゃハマっちゃった。

レイジ:レイちゃんですか?

ケイタ:レイちゃんきっかけだったけどもう箱。「LOVE DIVE」をアホのように聴いてる。でもなんでこの曲をこんなに好きなのか自分でもよくわらない(笑)。

レイジ:デビュー曲の「ELEVEN」はヨージに何度も聴かせてるはず。サビ前にリット(遅くなる)するやつ。

IVE 아이브 ‘LOVE DIVE’ 

 
 

ヨージ:この曲もかっこいいですね。Aメロは大箱系だけどサビは引くんですね。

レイジ:そうなんだよね。バッチリ決めてくる。

ケイタ:IVEにハマりすぎて、ユジンとウォニョンがいたIZ*ONEにたどり着いて、さらに「PRODUCE48」が今さらホット(笑)。ウンビの「Glitch」もクソかっこよかったし。あとさくちゃん(宮脇咲良)、ひぃちゃん(本田仁美)、なこ(矢吹奈子)へのリスペクトがヤバい。俺の中でアイドル新時代が到来してる。今はさくちゃんとチェウォン、さらに「PRODUCE48」で落ちちゃったユンジンまでいるLE SSERAFIMが好きでならない。

レイジ:ケイタさんも今一番楽しい時じゃないですか! 「Feel My Rhythm」で俺自身がK-POPにカムバした時も思ったけど、まじでこれを何回繰り返すんだって気持ちになりますよね。

ケイタ:なる。ヨージさんはアイドル聴かないの?

ヨージ:全然聴かないですね……。

レイジ:この人はめちゃ日本語ラップのヘッズなんですよ。きっと俺らのことを心の中で色々思ってる(笑)。

ヨージ:いやいやいやいや。そんなことはないけどね(笑)。

レイジ:ヨージにiPadを渡すとすぐ「大和魂」って書くんですよ。

ヨージ:酔っ払ってる時ね。

ケイタ:実話なの(笑)。

ヨージ:「富士山」とか「卍」とか、内に秘めてるものが出てきちゃう(笑)。

ディスコやアシッドハウスを22年の視点で再解釈した「スラップハウス」

ケイタ:ちょっと話は変わるんですが、最近レイジくんもよく一緒にDJしてるMonkey Timersがアルバム『KLUBB LONELY』を出したんですね。これがすごくカッコよくて。それで前にレイジくんとヨージさんがDiplo周辺でハウスをプレイする流れがあるって言ってたのを思い出したんです。

Monkey Timers – Less (featuring. Mr Ties)

 
 

レイジ:スラップハウスのことですかね?

ヨージ:Diploがちょっと前にHigher Groundってレーベルを作ったんですよ。ハウス自体はずっとクラブでかかってる音楽なんですけど、キックオフ会でも話した通り(https://tvbros.jp/hit/2022/02/12/29958/)ここ10年くらい、特に歌を聴かせるハウスに関してはビッグルーム系のEDMが主流だったんですね。

レイジ:「ULTRA JAPAN」でかかってそうな。

ヨージ:そうだね。音数が多くて派手な景気の良いダンスミュージック。一方でスラップハウスは音数がそれらのEDMに比べて 少ないんです。また、ディスコっぽい初期のハウスや80年代くらいのアシッドハウスを22年の視点で再解釈したような音源をHigher Groundから出してるんですね。

ケイタ:ヨージさんがDaokoさんと作ったEP『MAD』もアシッドな雰囲気があったよね。

おふたりからの誕プレ!

Daoko & Yohji Igarashi「MAD」

 
 
 

レイジ:ちょっと話がそれるけど、最近の若い子はアシッドを通り越して、サイケトランスみたいなのでめちゃくちゃ踊るんですよ。最高潮に盛り上げる時はBPM180くらい行きます。それで1時間とかぶっ通しで踊り続けてくれる。

ケイタ:ケミカル的な?

レイジ:それが現場はびっくりするほどクリーン。

ヨージ:この前、文化服装学院の子たちが主催するイベントにDJで呼んでもらったんですけど、やっぱり BPMの速いレイヴ っぽいノリがめちゃくちゃウケました。その時もすごくクリーンな現場でしたね。

ケイタ:2人のお客さんだから、ということではなくて?

レイジ:違うと思います。若い子たちが全体的にクリーンなんです。サイケトランスでモッシュみたいのが起こる感じ。

ケイタ:面白いなあ。Daokoさんとの『MAD』にはそういう雰囲気も影響してるんですかね?

ヨージ:そうですね。『MAD』は折衷なんですよ。そういう現場のノリからの影響もあるし、Daokoとの共作だから歌もしっかり聴かせたい。

ケイタ:なるほど。フロアではBPM180越えのサイケトランスっぽいノリがいま再び注目されていて、と同時にいわゆるクラシックなハウスの再解釈であるBPM120くらいのスラップハウスもプロデューサーたちから注目されている、と。前にレイジくんが言ってた通り、世界の音楽は細分化しているけど同時に影響を受け合ってもいるから、『MAD』のようなアウトプットも生まれうる、ということね。

ヨージ:そんな感じです(笑)。ちなみに『MAD』の雰囲気に直接影響を受けたのはImanbekというプロデューサー。SAINt JHN「Roses」のリミックスでグラミー賞とってました。スラップハウスっぽい曲だとAlan Walker x Imanbek「Sweet Dreams」(https://www.youtube.com/watch?v=SM-BT9cijI4&t=12s)かな。

レイジ:イントロのサンプリング、スキャットマン・ジョンじゃん。めっちゃ大ネタだね(笑)。「Feel My Rhythm」もそうだし、NiziUの「Chopstick」もそうだけど、最近大ネタを使う流れがあるんですよね。俺が一番びびったのはこれ。

Edot Babby – “GANGNEM STYLE” 


 

ケイタ:こんなにガラの悪いカンナムスタイルは初めて(笑)。

レイジ:許諾とってるのかどうかすごくグレーな気がする(笑)。たぶんこの子たちは「(大ネタ使っても)実際周りに怒られたやついなくね?」みたいなノリなんですよ(笑)。仮にサンプリング元に怒られたり、訴えられたとしても、ニュースになるからそれはそれでアリだし。

ヨージ:Tiktokでバズりそう(笑)。

 

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