56歳でも「Yes、we can!」オバマものまねで大人気になったデンジャラス・ノッチが辿り着いた健やかな働き方

ものまね芸とは、真似する側と真似される側の双方がいて初めて成立する特殊なお笑いだ。世相を反映する鏡として、これまで多くの有名芸能人やスポーツ選手、文化人たちがものまねをされてきたが、ひょんな事情でそんな対象の存在が揺らいだとき、そのものまねを得意とする芸人たちは何を思うのか。 

 

第一弾の井上小公造、第二弾の小石田純一に続いた本企画の第三弾に登場するのは、2017年にバラク・オバマ元米国大統領が任期満了を迎えて早5年。近年は、恐妻家キャラや、長女のお受験挑戦など、ファミリーでのメディア出演も印象的なデンジャラス・ノッチに直撃インタビュー。最近のオバマものまね事情や、オバマ元大統領への想い、これからの方針について聞いた。 

             

撮影/倉持アユミ
取材・文/森野広明

                 

【Profile】  
デンジャラス・ノッチ(のっち)  
●1965年7月26日生まれ、愛媛県出身。いくつかの小劇団に所属したのちの1988年3月に、安田和博とお笑いコンビ・デンジャラスを結成。1990年代に『タモリのボキャブラ天国』シリーズで、ノッチのキャラクターが注目を集める。2008年にご本人公認のオバマ大統領ものまねで再ブレイク。現在は、夫婦でのメディア出演や、アスリート芸人としてマラソンやトライアスロンに挑戦、バイク特化型YouTube「ノッチちゃんねる」など、活動の幅を広げている。 
公式ブログ

        

オバマものまね」誕生秘話


ーーオバマ元大統領のものまねでメディアに出られたのはいつぶりですか? 

この3月に入ってからもありますし、『クイズ!脳ベルSHOW』(BSフジ)にもこの格好で出演させていただいたばかりです(笑)。「オバマでお願いします!」というオファーではなかったのですが、この格好で行くと「ありがとうございます!」と言ってもらえるので、(オバマ元大統領を)期待されているんじゃないかなと思って、あえて自分からやっていますね。 

 ーー今でも、オバマさんでのお仕事は多いんですね。 

ロケ番組なんかは、いまもほとんどこの格好ですね。襟付きのジャケット姿だから、ロケのときも初対面の方に失礼がなくていいんですよ。以前はパーカーやMA-1を着てロケをやってんですけど、「いくらアメカジが好きだからって、テレビでMA-1はやめたほうがいいよ」と注意されたこともあったので(笑)。 

それに、このスタイルなら「ちょっとオバマさんやめてもらっていいですか?」と言われたときは、バッジを外すだけでただのスーツ姿のおじさんになれるので、すごく便利なんです。 

ーー改めてノッチさんの芸能活動を振り返ります。ノッチさんが、オバマさんのものまねで再ブレイクを果たしたのは、2008年頃ですよね。 

いやぁ、ありがたかったですね。それ以前は『ボキャブラ天国』(フジテレビ系)のブームがあったり、PRIDEブームの頃にアントニオ・ホドリコ・ノゲイラのものまねをやったりと、ちょこちょこ露出はさせていただいていたんですけど、アメリカ大統領になるかもしれないオバマさんという人に似ているということで、再び「ドン!」ときたんです。 

ーーものまねを始めたのは、オバマさんがまだ大統領選の候補者だったときでしたよね。  

そうなんですよ。ボキャブラブームも過ぎ去って、仕事の状況的にはあんまりよくない時期だったんですけど、ある日、「あなたに似てるオバマっていう人がいるよ」と奥さんに言われて。アントニオ・ホドリコ・ノゲイラのものまねも奥さんのアドバイスがきっかけだったので、また新しく出てきた格闘家かな?と思ってたんですが…。その頃は、大統領にはなれないかもしれないけど、注目されているアメリカの政治家という存在でした。  

――最初にノッチさんがオバマさんのものまねをお披露目されたのはご自身のブログでした。 

はい。奥さんに写真を撮ってもらって「Yes、we can!」ってポーズをつけて。そうしたら、翌朝から電話がいっぱいかかってきたんです。後輩から「ノッチさん、大変なことになってますよ!」って連絡がきたから、「俺なんか悪いことしたかな?」と思ったら 、ヤフーのトップニュースになっていて。事務所にも、いろいろなメディアから連絡が殺到しました。たしか最初の仕事は雑誌「週刊プレイボーイ」(集英社)の見開きカラーページで。スーツがなかったから喪服姿で取材に行ったのを覚えています。 

ーーオバマ期とボキャブラ期ではどっちが最大風速は大きかったんですか?  

最大風速でいえば『ボキャブラ天国』ですね。当時は若さもありましたし、ほかのキャブラー(『ボキャブラ天国』に出演していた芸人の総称)もいたから、その波に乗ってぐわ〜っといけたんです。 

ーーボキャブラブームの頃は、高級車を買うなど豪勢なお金の使い方をしていた芸人さんたちも多かったと聞きますが、ノッチさんも派手な暮らしをしていたんですか?  

僕はもう結婚していたので派手ではなかったですね。ライブが終わったら、そのまま家に帰って、またボキャブラのネタ作るみたいな毎日でした。キャブラーの中でも、僕ら(デンジャラス)とBOOMERと爆笑(問題)さんはだいぶ先輩だったので、独身のみんながワイワイやっているところに誘われないっていう状況が多かったです(笑)。  

ーーボキャブラブームが去った後は、どんな状況でしたか? 

まったく仕事がなかったですね。先輩の仕事が終わるのを待って、夕方から夜中までおごりで飲み食いさせてもらう毎日を過ごして、体重が86kgくらいにまでなったんです。あるとき、ボキャブラ時代のディレクターさんに「もやしっ子の役が必要だから、よかったらノッチおいでよ」って小さなロケの仕事をもらったんですけど、86kgのジジイが現場に来たもんだから、「うわっ」となって(笑)。

壁と壁の間に隠れてもやしっこに見えるようになんとか撮影はしたんですけど、 家に帰って奥さんにそのことを伝えたら「もうダメだ、痩せろ!」と言われて、ランニングをはじめたんです。やることがないからとにかく走って、走って、走って、15kgくらい体重が落ちたときに「あれ?オバマに似てるよ」って奥さんに言われたんですよね。 だから、オバマさんのものまねを発見できたのは、ランニングのおかげでもあるんです。  

        

本人お墨付き?
「You are Obama !」


ーー当時、TBSで放送された『悪魔の契約にサイン』(TBS系)のアポ無しロケで、オバマさんご本人とお会いしていますよね。 

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