「あまちゃん」と「ウッチャン」2013年8/17号【あの頃ブロス】

TV Bros.のそれなりに長い足跡をたどる不定期企画「あの頃ブロス」がスタート。創刊時のメンバーにして、9代目編集長、現在無職の(袴)が、担当した特集や編集長時代の出来事を振り返ります。

今回は2013年の「あまちゃん」ブームにちゃっかり便乗した当時を、深酒しながら思い出してみます。

 

プロフィール

書き手(袴)●TV Bros.9代目編集長。ブロス創刊当初から編集参加(下っ端で)。ナンシー関が編集部で汗をかきながらブロス探偵団を書いていたのを目撃している数少ない1人。入社後すぐにブロスに配属された「人生」元メンバーのK3が、読者ページ・ぴぴぴ倶楽部で(袴)を名乗り好き放題下品ネタを書き散らかしたおかげで、名刺交換した初対面の人に「あなたが(袴)さんですか! ぎゃはは!」と指差されて笑われるという悲しい過去あり。

 

「あまちゃん」と「ウッチャン」

 

TV Bros.はテレビ情報誌の仮面をかぶったサブカル雑誌、という有難いような気恥ずかしいような評価をされていた頃、テレビ局にとってブロスは目の上のたんこぶだったろう。「面白い」と感じた番組はとことん掘り下げるが、つまらない番組はバッサリ。それでも幸いなことに、テレビ局からの取材拒否はなかったように思う。天下のNHKも取材オファーにはいつも快く応じてくれた。そしてNHKといえば、個人的には2013年の『LIFE!~人生に捧げるコント~』とのコラボが忘れがたい。

 

2013年は『あまちゃん』の年だった。宮藤官九郎さんが朝ドラの脚本を書く、松尾スズキさんやピエール瀧さんなどブロスと繋がりの濃い方たちが多数出演する、などブロス的な注目ポイントも多く、春の番組スタート前から追っかけ始めた。で、番組を見ているうちにドハマり。とりわけ能年玲奈さんの魅力にやられっぱなしな毎日だった。なので放送中はことあるごとに『あまちゃん』特集。9月の放送最終週直前の『あまちゃん』総力特集号は、ブロスには稀有な完売を記録した。

 

『LIFE!~人生に捧げるコント~』を取材したのも、『あまちゃん』パロディをやると聞いたから。同じNHKという放送局の中で、人気の朝ドラをどうパロディするのか興味があったし、宮藤官九郎さんがゲストで参加するというし。もちろんブロスの表紙も『あまちゃん』パロディにしたいとNHKに打診したところ快諾いただき、『あまちゃん』番組ポスターを能年さんに扮したウッチャンこと内村光良さんに演じてもらうことに。

ウニを手に持つ能年さんを真似て、亀の子タワシを手にキラッキラの瞳で微笑む内村さん。『あまちゃん』愛は相当深そうだ。ポスターに似せて何度も渾身のポージング。撮影が終わると「あとはそっちで上手いことやってね」と同席した表紙デザイナーに笑顔でジャブ。さすが、理想の上司ランキング、男性部門5年連続第1位。人をその気にさせるのが上手い。この取材中、局内にいた能年さんが遊びに来てくれるサプライズもあり(喫煙ルームでサボってた私はお会い出来ず痛恨)、NHKの意外な(すみません)風通しの良さを感じたり。

TV Bros.2013年8月17日号。

 

この時の内村能年2ショットは番組内でも使用されることになり、「写真提供テレビブロス」と放送画面に登場。そしてこの『あまちゃん』パロディの内村さん表紙号は、ありがたいことにNHK局内でも評判となり、番組のPRポスターにも採用され、渋谷駅などのデジタルサイネージにも起用される。

さらにこのご縁で、『LIFE!~人生に捧げるコント~』制作チームが深く関与する、年末のNHK紅白歌合戦のパロディ表紙も実現。この年の司会を務めた嵐の5人と綾瀬はるかさんの6人を起用したオフィシャルポスターを、『LIFE!』のコントに登場するキャラクターに扮した内村さんがパロディした画像がTV Bros.2013年の年末年始号の表紙となった。NHKからは広告の出稿も頂いて、このパロディ表紙をめくると、同じ絵柄の本物のNHK紅白ポスターが広告として掲載されているという、雑誌的になんともおいしい作りに。

近年はすっかりNHK紅白の顔となった内村さんが初めて紅白にがっつり関わった年、ブロスも内村さんの背中を少しだけ押せたような気がするが、それはたぶん100%勘違いだろう。

『LIFE!~人生に捧げるコント~』チームとの蜜月は、翌年のサッカーW杯特集の折にも全面協力いただくなどその後も続いた。ブロスと一番縁が遠そうなNHKとこんなに蜜月になれる日が来るなんて、人生捨てたもんじゃないな、と感じたものだ。

 

と、これを書いていたら、のんさんがNHK総合『おやすみ日本 眠いいね!』(7/10放送)にサプライズ出演し、宮藤官九郎さんと共演。うんうん、やっぱり人生捨てたもんじゃないな。舞台『愛が世界を救います(ただし屁が出ます)』、見に行かなくちゃ。(袴)

 

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