番組がまさかのドラゴンストップ!?“ドラゴン”藤波辰爾が登場!【連載『神田伯山の“真”日本プロレス』#7延長戦!】

講談師・神田伯山とアナウンサー・清野茂樹が日本のプロレス史を語り尽くす『神田伯山の“真”日本プロレス』(CSテレ朝チャンネル2)が、今夜ついに最終回。1988年「飛龍革命」(注1)から、第1回「G1 CLIMAX」が開催された1991年までの新日本プロレスについて取り上げられた。そして、最終回にふさわしく、ゲストには新日本のレジェンド中のレジェンド、藤波辰爾が登場。これは、あの「飛龍革命」について本人に話を聞ける千載一遇のチャンス! と、延長戦にも参加してもらい、番組では聞けなかったいろんな質問をぶつけさせていただきました。あのプロレス史に残る名場面を思い浮かべながら、お読みください!

そして、みなさん。全7回の放送で1972年から1991年までの歴史を語ったところで、一旦、この番組は幕を下ろすことになりましたが、本当にこれでいいんでしょうか? 2人に語ってほしいことはまだまだありますよね? そんな思いは“#真日本プロレス”を付けて、是非、つぶやいてみてください。「てめぇらの力で勝ち取ってみろ!」(アントニオ猪木)の精神で行きましょう!

取材・文/K.Shimbo(もう一度掘り下げてほしいのは、全日本プロレスが参戦した1990年の東京ドーム大会。ハンセン×ベイダー戦を!)
撮影/ツダヒロキ(同じく、1990年代の繁栄を支えた馳浩を。バイプレーヤーぶりをもっと詳しく知りたい!)

注1・飛龍革命 1988年4月。沖縄での試合後、控え室で藤波が師匠である猪木にビッグバン・ベイダー戦を直訴。新日本の現状に不満を抱き、メインイベントを譲るよう直談判してきた藤波と猪木のやり取りは次第にヒートアップ。猪木の平手打ちに対し、藤波も強烈な平手打ちを見舞った。さらに、藤波は控え室にあったハサミで自身の髪を切り落とし、決意の強さを見せた。

https://tvbros.jp/%e3%80%90%e9%80%a3%e8%bc%89%e3%80%8e%e7%a5%9e%e7%94%b0%e4%bc%af%e5%b1%b1%e3%81%ae%e7%9c%9f%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%83%97%e3%83%ad%e3%83%ac%e3%82%b9%e3%80%8f%e3%80%91%e8%a8%98%e4%ba%8b/

 

<プロフィール>
神田伯山(かんだ・はくざん)●1983年東京都生まれ。日本講談協会、落語芸術協会所属。2007年、三代目神田松鯉に入門し、「松之丞」に。2012年、二ツ目昇進。2020年、真打昇進と同時に六代目神田伯山を襲名。講談師としてもさることながら、講談の魅力を多方に伝えるべく、SNSでの発信やメディア出演など様々な活動を行っている。現在は『お願いランキング・太田伯山ウイカのはなつまみ』(テレビ朝日)、『問わず語りの神田伯山』(TBSラジオ)などに出演している。
清野茂樹(きよの・しげき)●1973年兵庫県生まれ。広島エフエム放送(現・HFM)でアナウンサーとして活躍。『ワールドプロレスリング』(テレビ朝日系)で数々の名実況・名言を生み出した古舘伊知郎アナウンサー(当時)に憧れ、宿願だったプロレス実況の夢を実現すべく、2006年フリーに。2015年には新日本プロレス、WWE、UFCの実況を行い、前人未到のプロレス格闘技世界3大メジャー団体を実況した唯一のアナウンサーになる。『真夜中のハーリー&レイス』(ラジオ日本)のパーソナリティーとしても活躍。
藤波辰爾(ふじなみ・たつみ)●1953年大分県生まれ。アントニオ猪木に憧れて日本プロレスに入門し、1971年にデビュー。その後、猪木と行動を共にし、1972年の新日本プロレス旗揚げにも参加。ドラゴン旋風を巻き起こしてジュニア戦線で活躍したのちに、ヘビー級に転向。IWGPヘビー級王座や第3回G1 CLIMAX優勝など第一線で華々しい活躍を見せる。新日本プロレス社長などを経て、ドラディションなどを主宰。レスラー人生50年を経てもなお現役を貫き、様々なリングで活動している。2015年、世界最大プロレス団体WWE殿堂入り。

 

『神田伯山の“真”日本プロレス』
CSテレ朝チャンネル2 毎月第3土曜 午後11・00~深0・00
出演 神田伯山 清野茂樹(実況アナウンサー)
“最もチケットの取れない講談師”の神田伯山と、プロレスに魅せられた実況アナウンサーの清野茂樹が、テレビ朝日に残された貴重な映像を観ながら、プロレスの歴史をマニアックに語り尽くす。そのほか、当事者を招いて真相を探る「真のプロレス人に訊け!」や、現役プロレスラーの魅力を深掘りする「最“真”日本プロレス」といったコーナーも。
番組HP:https://www.tv-asahi.co.jp/ch/recommend/hakuzan/

今では猪木さんに、ものすごく申し訳ないことをしたなと思っています(藤波)

――「飛龍革命」はいつかやってやろうと、それ以前から思っていたのでしょうか?

藤波 いや、全然思っていないです。あの時、とっさの行動です。当時、前田や長州など選手の出入り(注2)があって、自分もそういう気持ちがないわけではない。だけど、自分は新日本に最初からいるというのがあるから振りきれないという部分と、声をあげたいけど、あげる場所がないというか。そんな中で、自分が納得のいかない試合をしてしまった。思い切って体が動いていない。それが一番大きな原因だったかな。

――猪木さんを藤波さんが平手打ちするという場面は衝撃的でした。

藤波 今では猪木さんに、ものすごく申し訳ないことをしたなと思っています。猪木さんに対してのうらみはまったくなかったんです。新日本が抱えていたいろんなものと、自分のワガママであの行動に出たので。あの頃の新日本の選手たちはみんな、それぞれが自分の主張を持っていて、ある人間はそれを行動に移して、新日本を出て行ってしまう。僕はさっき言ったように、新日本を出たいというわけではないんだけど、このままじゃいけないという不満があった。

――視聴者だった清野さんは「飛龍革命」をどう受け止めましたか?

清野 藤波さんは猪木さんのそばに一番長くいた方だし、反抗的な態度ってなかったと思うんですよね。その藤波さんが猪木さんに弓を引いたというのは、見ていて驚きましたね。

――伯山さんはリアルタイムでは見ていないと思いますが、どんな印象を持っていますか?

伯山 何か不満がある時に、僕らの世界では高座で言うんですよ。僕らの世界というか私だけかもしれませんが(笑)。そうすれば、全部シャレになるんですね。誰かを批判するにしても、高座で言ったことだからと。それは半分本気だし、半分シャレで、その比率は日によって違うんですけど。レスラーの方も裏でやるんじゃなくて、リングの上だったり、記者の方がいる時に、ああいう風に不満を出すというのは、似ているなと思いましたね。

――今、振り返ってみて、藤波さんは「飛龍革命」をやってよかったと思いますか?

藤波 よかったですね。結果的には横浜の試合(198888日横浜文化体育館・注3)につながっていったので。新日本は何かトラブルが起きると、普通だったら止めなきゃいけない、抑えなきゃいけないことでも、マッチメイクにしてしまう。それが新日本のすごいところですね。長州の時(注4)もそうだったんです。あれは僕が大人の対応をしてしまったら、長州の僕に対する発言だけで終わってしまう。それに僕がかみついていくことで、長州との長い戦いになっていく。藤原(注5)もそうですよね。あったことをそのままマッチメイクにしてしまうというのが、当時の新日本です。それは絆、信頼があるからできることで、なかったらケンカ別れするだけで誰も得しない。ただバラバラになってしまうんだけどね。どこかで信頼しているから、試合につながっていく。

注2・前田や長州など選手の出入り 前田日明が1988年2月に新日本を解雇され、第2次UWFを旗揚げ。長州力は1984年に全日本プロレスに戦場を移すが、1987年には新日本に復帰。その一方、藤波は1972年の旗揚げから在籍し、2006年に退団するまで新日本一筋だった。

注3・横浜の試合 「飛龍革命」の約3カ月後。198888日横浜文化体育館で、IWGPヘビー級王者となっていた藤波に猪木が挑戦。60分、時間切れで引き分けという名勝負を繰り広げた。

注4・長州の時 1982年。試合中にタッグパートナーだった藤波と長州が仲間割れ。それをきっかけに、2人は「名勝負数え唄」と言われるほどの熱い試合を連発した。

注5・藤原(喜明) 1984年。藤原喜明が藤波との試合に臨む長州を花道で襲撃。長州は血だるまとなり、試合も不成立となった。中堅選手だった藤原はこの事件をきっかけに“テロリスト”として注目を浴びた。ちなみに、長州との対決に燃えていた藤波は「こんな会社辞めてやる!」と怒りをあらわにして会場を後にした。

 

“シーズン2”があるなら、清野さんに平成編をじっくり引き延ばす感じでやってほしい(伯山)

――ファンとしては、藤波さんと長州さんの関係もすごく気になります。

藤波 長州との戦いがなかったら、僕はどこかで尻すぼみして、ジュニア時代の華やかな部分(注6)だけで終わっていたんじゃないかなという気もします。あの頃、長州とは何年間かまったく口をきかなかったんですよ。

清野 会うのはリング上だけですか?

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