DADARAYによる祝祭がいま始まる。アルバム「ガーラ」発売記念インタビュー

ゲスの極み乙女。などで活躍中の休日課長が率いる3人組ユニットDADARAY。川谷絵音プロデュース・作詞・作曲による楽曲を休日課長のベースが重厚に支え、REISとえつこというダブルボーカルが圧倒的な表現力で楽曲を輝かせる。そんなDADARAYが約4年ぶりにフルアルバム『ガーラ』をリリース。今回はメンバー3人に、この2年間を経てのバンドの変化などについても聞いてみた。

取材&文/小林千絵 撮影/飯田エリカ

──配信シングルは発表していたものの、フルアルバム「ガーラ」をリリースするのは「DADABABY」以来2年ぶりとなります。この2年間はバンドにとってどんな2年でしたか?

 

休日課長(Ba) コロナ禍でツアーが中止になったこともあり、制作中心でした。自分たちの曲をリモートでリアレンジして「home ver.」としてYouTubeに発表していたのですが、これによって3人の新しい関係性も構築されて。

 

えつこ(Key) もともと友達同士で始まった3人ではないので、これまでは連絡を取るのは業務的な内容だけだったんです。でもリモートでやりとりするなかで、だんだんフレンドリーになっていって。

 

REIS(Vo, Key) 変なスタンプを送り合ったり(笑)。そういったラフなやりとりができるようになってからは、制作の場でもお互いの個性の出し合いが潤滑になった気がします。

 

休日課長 あとは、えっちゃんが宅録のスキルを手に入れたりと、それぞれがパワーアップした期間でもありましたね。

──それこそ、昨年12月に配信リリースされた「恋してばかり」では川谷絵音さんと共作という形で、初めてえつこさんが作曲に携わっていますね。

 

えつこ “DADARAYは川谷絵音が全曲作るのが当たり前”という流れに、いきなり私が関わることになって初めは不安でした。でもだからといって“川谷絵音っぽい感じ”に寄せるのも違うし。なので、不安だけどちゃんと自分を持って作りたいなと思いました。

 

──おふたりは「恋してばかり」を聴いたとき、どう感じました?

 

休日課長 僕はシンプルにめちゃめちゃ好きでした。

 

REIS 私は、自分もピアノを弾くというのもあって、まずピアノのコード進行に安心感を覚えました。もちろん川谷くんの作るギター進行も新鮮で面白いのですが、それとは違う感動があって。ちょっとメロウで、今までのDADARAYにない感じ。いつもと違う分、ニュアンスや表情も変えられて楽しかったです。

──休日課長のレシピ本を原案としたテレビドラマ「ホメられたい僕の妄想ごはん」の主題歌として書き下ろした「Ordinary days」では、REISさんがDADARAYでは初めての作詞を担当されました。

 

REIS えっちゃんと同じくDADARAYの世界観を壊さないかというのは不安でもありましたが、託されている気がしてうれしかったです。台本とドラマの概要を元に私もちょっと妄想して(笑)、言葉を選んでいきました。

 

えつこ 川谷絵音が描く女の人って、いい意味で重々しいんですよね。でもREISの歌詞は、意図的なのか無意識なのか、その重々しさが削がれていて。その温度感がちょうどよくてスッと入ってきました。

 

REIS 確かに重々しさはまったく考えずに書いたかも。

 

休日課長 読むたびに解釈が変わるというか。そのときどきでいろいろな連想ができる歌詞ですごく好きです。あとは聴いた人に自由に解釈してもらえればと思います。

 

REIS この曲ではサポートギタリストに真壁陽平さんを迎えているのですが、真壁さんは私がコロナ禍に出会った方で。自分の繋がりをきっかけにDADARAYのレコーディングに来ていただくというのも初めてだったので、うれしかったですね。

 

休日課長 真壁さんのギター、カッコよかったよね。

 

えつこ 特に2番のサビ終わりから真壁さんのギターがすごく吠えていて。課長も弾き倒して、からのREISのラップ。あのカオスゾーン、お気に入りです。

 

──最後に収録されている「イキツクシ(HOME VER.)」は、それこそコロナ禍のやりとりから生まれたものですか?

 

えつこ そうなのですが、コロナ禍にSNSに上げたものとはまったく別のアレンジです。「イキツクシ」はこれまでにもリミックス含めていくつかアレンジのバージョンが音源化されているので、せっかくなのでYouTubeに公開している「イキツクシhome ver.」も音源化しようということで、改めてアレンジし直しました。課長がエンジニアにもなってくれて、完全に3人で作りました。

──冒頭でもおっしゃっていましたが、本当にコロナ禍での「home ver.」作りは、DADARAYにとって本当に大きなものだったんですね。

 

休日課長 はい。「home ver.」は、えっちゃんからアレンジしたものが届いて、僕がベースを考えて、REISが歌を入れて……という工程で進めていたんですが、お互いのアレンジを聴く時間がしっかりあって。お互いの音やアレンジに向き合うこともできてよかったです。

 

えつこ それぞれが全然違うことをやっていたりもして、データを確認するのが楽しみでしたね。

 

──3人それぞれ引き出しが多いからこその化学変化というか。

 

休日課長 自分のできないことを、ふたりのどっちかは絶対にできるみたいなところがあって。本当に頼れるんですよ。

 

えつこ それはあるかも。足りないところを補ってくれる存在です。

──祝祭を意味する「ガーラ」がタイトルに冠されているだけあり、アルバムにはお話を伺った曲以外にもバラエティ豊かな楽曲が収録されています。改めて、このアルバムがどういうものになっているかを聞かせてください。

 

休日課長 もともとDADARAYは振れ幅の大きいバンドだと思いますが、今回は特に凝縮されていて。「次の曲はどう来るんだろう」というのがまったく読めない、最後まで予測のつかない「ガーラ」になったと思います。

 

えつこ 川谷絵音が自分で歌わないプロジェクトということもあって、DADARAYはわりと実験的なこともやっていてバラエティに富んだ作品が多いですが、「ガーラ」はその中でも3人の個が光っていて。各々の音楽面での成長も感じられる作品になっていると思います。

 

REIS 喜怒哀楽がすべて入った、すごく表情豊かなアルバムだなと思います。社会的にもみんなが経験したことのないストレスを抱えるような今の時代に、すべての感情を受け止められるような作品になっているんじゃないかな。そのときどきで自分にフィットする楽曲を見つけて聴き込んでもらいたいです。

 

休日課長 サポートの方々もかなり個性豊かで豪華なラインナップなので、ぜひクレジットも見てもらいたいですね。

 

──ちなみに、休日課長さんのレシピ本「ホメられるとまた作りたくなる! 妄想ごはん」がドラマ化されましたが、皆さん、“私だったらこんな本を出せる!”という興味のある事象はありますか?

 

えつこ えー、何だろう。

 

REIS えっちゃんはヘアカタログ出せると思う! 髪の色も長さもアレンジも、いっつも違うんです。

 

えつこ 確かに。子供の頃から、友達がお母さんに結ってもらっているのを見て真似していたんです。それがキッカケなのかも。髪が長かったときはピンを使ったり巻いたり、いろんなアレンジをしていましたね。髪色に対しては最近タガが外れてオレンジや緑、ピンク、黄色にし始めちゃって(笑)。ヘアカタログいいかもしれないですね。 REISはどうする?

 

REIS みんなで考えよう!

 

えつこ オーガニックについての投稿をよくしているから、そういうのがいいんじゃない? エシカルとかサスティナブルとか。

 

REIS いい! 産地の農家さんとかインタビューしたい!

 

──環境問題に興味を持ったのはどうしてだったんですか?

 

REIS 海外旅行をしたときに、あまりの地域の差の大きさにショックを受けたんです。それからいろいろ調べて「エシカル」というワードにたどり着いて。自分がモヤモヤしていたことがそこにすべて凝縮されていた。今はいろいろと勉強をしています。

 

休日課長 僕は本物の課長と対談して、それを集めた本を作りたいですね。

 

えつこ・REIS いいね!

 

──“課長”と何を話しますか?

 

休日課長 仕事での悩みや日々の鬱憤を(笑)。あとは課長から見た会社の話も聞きたいです。ただただ気楽に話して、面白いところだけ編集する形で。あとは課長をめっちゃカッコよく撮った“課長グラビア”も後ろのほうに入れたいですね。

 

えつこ その一環で休日課長もいろんな職種のコスチュームを着てみるのも面白そう。

 

休日課長 職種を渡り歩くみたいな? それもいいね。いつか本当に3人が全く違う本を出すかもしれないですね。それにしてもヘアカタログの発想はなかったなー(笑)。

 

えつこ ね。考えてくれてありがとね。やっぱり足りないところを補い合う3人なんです。

DADARAY●休日課長が率いる3人組ユニットDADARAY。川谷絵音プロデュース・作詞・作曲による楽曲を休日課長のベースが重厚に気持ちよく支え、REISとえつこから成るダブルボーカルで魅せる表現力は音源のみならずライブでも高い評価を得ている。2018年12月には2曲入りのデジタル作品『tandoor』をリリースし、全国9箇所を巡ったワンマンツアー“場末で会いましょう”を開催するなど、着実に活動を続けてきたDADARAY。1st Full Album『DADASTATION』以来、約2年ぶりとなるCD作品4th Mini Album「ガーラ」をリリースする。

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