吉村界人インタビュー 人気YouTuber・チョレイ役を演じる映画『神は見返りを求める』の撮影で感じたこと「偉いと思われているものでも、実際は滑稽だったりする」

『ヒメアノ〜ル』や『空白』で知られる𠮷田恵輔監督の最新オリジナル映画『神は見返りを求める』が、2022年6月24日に公開を迎える。 

                        

予告動画

人気が取れない底辺YouTuberのゆりちゃん(演:岸井ゆきの)は、イベント会社勤務の田母神(演:ムロツヨシ)と合コンで出会い、彼のバックアップで人気上昇を狙う。だが、人気YouTuberのチョレイ(演:吉村界人)とカビゴン(演:淡梨)やデザイナーの村上(演:柳俊太郎)と出会いブレイクしてしまったゆりちゃんは田母神を邪険に扱い始め、田母神は暴露系YouTuber「ゴッティー」として復讐を開始する……。 

                       

TV Bros.WEBでは今作『神は見返りを求める』を3日連続で特集。1日目に岸井ゆきの×𠮷田恵輔監督による対談、2日目は栁俊太郎、3日目は吉村界人の単独インタビューを公開する。また6月24日という梅雨時期に公開される今作にちなんで、それぞれの「雨」にまつわるエピソードを展開。最終日となる本日公開の吉村界人のインタビューでは、YouTuberを演じる難しさをどうクリアしていったかに始まり、自身の演技論や印象的だったセリフにも言及。雨トークにおいても、彼らしい言葉を紡いでくれた。 (インタビューの最後には直筆サイン入りポラの抽選プレゼント企画も実施中。詳しくは【プレゼント情報】欄をご覧ください。)

                       

取材・文/SYO
撮影/倉持アユミ

■『神は見返りを求める』3日連続特集

DAY1 岸井ゆきの×𠮷田恵輔監督
DAY2 栁俊太郎
DAY3 吉村界人

【Profile】
吉村 界人(よしむら・かいと)
●1993年2月2日生まれ、東京都出身。2014年『ほとりの朔子』(深田晃司監督)で映画デビュー。以降、数々の映画、テレビドラマに出演。2018年には『モリのいる場所』(沖田修一監督)『悪魔』(藤井道人監督)『サラバ静寂』(宇賀那健一監督)『ビジランテ』(入江悠監督)にて第10回TAMA映画賞 最優秀新進男優賞を受賞。またこのほか、今年は『遠くへ、もっと遠くへ』(いまおかしんじ監督)が8月13日公開予定、『人』(山口龍大朗監督)が8月26日公開予定。

                                         

                    

雨降らしのシーンで感じた
「映画づくり」の地道さと滑稽さ


――吉村さんが今回演じられたチョレイは、ゆりちゃん(岸井ゆきの)を変える人物です。ゆりちゃんを成功に導く一方、田母神(ムロツヨシ)との軋轢が生まれるきっかけにもなる。ある種、救世主でもあれば悪役にも見える微妙な塩梅を、どう演じていきましたか? 

吉村界人(以下、吉村):実は、そんなに「見え方」においては気にしていないんです。観る人が何を感じるとかどう思うとかは個人個人によると思うので、僕は重要視していません。それより、YouTuberを演じる方が難しかったですね。 

僕自身が普段そこまでYouTubeを観ないこともあるのですが、YouTuberさんって人によってタイプが違うし、とらえどころがない。ちょっと“パリピ”感があるじゃないけど「自由そう」「生きていることが楽しそう」というイメージがあるので、そこを根幹に置いていました。 

『神は見返りを求める』サブ④

――ただ、そう「見せてる」かもしれないからなかなか難しいですよね。 

吉村:そうなんですよね。だから余計に「とらえどころがない」という感覚になりました。そういうのもあって、頭をあまり使わずに感情を動かしまくる方がいいと思ったんです。 

――なるほど! あともうひとつ、本作を観賞して言葉の“こわさ”も感じました。上に引っ張り上げる力にもなるし、誹謗中傷みたいに引きずりおろす使い方をする人もいる。吉村さんご自身は、“言葉”の力についてどのようなイメージをお持ちですか? 

吉村:ポジティブなところだと、所属事務所の方や俳優の先輩の方から勇気の出る言葉をもらったことは自分の力になっています。「吉村くん、そのままで頑張って生きてね」とか「託したよ」「(芸能界を)サバイブしていって、あなたが変えてよ」とか……。 

――素敵な言葉ですね。逆に、吉村さんから誰かに言葉をかけることは? 

吉村:あるんですが、あんまり覚えていないんです(笑)。結構無責任に発言しちゃうタイプなので、後から「あれ、そんなこと言ったっけ?」って思うことも多くて。 

――チョレイを演じる際の「頭よりも感情で動く」に、ちょっと通じるところがあったり……。 

吉村:確かに、お芝居をしているとそういうのは結構あるかもしれません。僕自身、考えてきたものを出すというよりその場での自分の心の“揺れ”を大事にしています。心や体が自然に動いた方が正解なんじゃないかと思います。 

――その方法論は、お芝居を始められたころから変わらないものなのでしょうか。 

吉村:そうかもしれないですね。ちょっとは考えますが、予測できないことや「こういう感じなんだ」と思うことが現場にはたくさんある。だったら頭を使うんじゃなく、心を開放していく方がいい。いつでも「受け入れ態勢」にしておく方がやりやすいんです。 

――ある種、感性で演じていくと苦しくなってしまったりする瞬間はないですか? メンタルの状態に左右されてしまったり。 

吉村:僕はあんまりそれがなくて、一度決めたことに対してまっすぐ進んでいくタイプなんです。たとえば「もう無理だな」って思ったときでも「しんどくてもやるんだよ」と立ち直ったりする。そういう風に思うようにしていると、苦難が来ても「頑張ろう」という状態に持っていけます。 

はっきりと「やりきる」と決めちゃうとプレッシャーにもなっちゃうだろうから、「駄目だと思わないようにする」くらいの感じでしょうか。何にでも、“新しい価値観”ってあると思うんです。いいところじゃないけど、そういうところを探すようにしていると「あれもこれもダメだったけど一ついいことがあればOK」と思えるし、それってすごく豊かだと思うんです。 

――ありがとうございます。今作の公開日が6月24日=梅雨ということで、ここからは「雨」をテーマにお聞かせください。吉村さんが「雨」と聞いて連想する作品はありますか? 

吉村:沖田修一監督の『キツツキと雨』ですね。雨の使われ方が印象的でした。 

――いい映画ですよね。雨にかかわらずお好きな映画だと? 

吉村:『ムカデ人間 3』や『DEAD OR ALIVE』です。「個人的な気持ちで撮っているんだろうな」と思える映画が好きですね。何なんだこれ⁉の中に、作っている人たちの個人的な思いが宿っている作品には、国内・国外問わず惹かれます。 

――吉村さんご自身は、雨の日はどのように過ごされていますか? 

吉村:家で絵を描いたり言葉を書いたり、創作の時間に使うことが多いですね。 

――素敵ですね。ちなみに俳優業の中で、雨にまつわる印象的なエピソードはございますか? 

吉村:岸井ゆきのさんと共演した『太陽を掴め』という映画で“雨降らし”のシーンがあったんですが、ホースで雨を足していたんです。それを見て、「俳優って偉いもんじゃなく滑稽なんだな」と思いました。画面の中では雨に降られているけど、実際は目の前にホースがあって、そこから水が出ている中で一生懸命演技をしているわけですからね。 

それこそ『神は見返りを求める』の中でゆりちゃんの「残るものがそんなに偉いんですか?」というセリフを聞いたときに、そのことをちょっと思い出したりしましたね。どうしても映画をやっていると「残す」を大事に考えがちだけど、確かになぁ……と思いました。「偉い」と思われているものでも、実際は滑稽だったりするんですよね。 


【映画情報】

『神は見返りを求める』ポスター

©2022「神は見返りを求める」製作委員会

『神は見返りを求める』

2022年6月24日公開

出演:ムロツヨシ 岸井ゆきの
若葉竜也 吉村界人 淡梨 栁俊太郎
田村健太郎 中山求一郎 廣瀬祐樹 下川恭平 前原滉

監督・脚本:𠮷田恵輔

主題歌:空白ごっこ「サンクチュアリ」 挿入歌:空白ごっこ「かみさま」(ポニーキャニオン) 音楽:佐藤望

企画:石田雄治 プロデューサー:柴原祐一 花田聖

撮影:志田貴之 照明:疋田淳 録音:鈴木健太郎 美術:中川理仁 装飾:畠山和久 編集:田巻源太 VFXスーパーバイザー:白石哲也

衣裳:松本紗矢子 ヘアメイク:杉山裕美子 スクリプター:増子さおり 音響効果:渋谷圭介 キャスティング:川口真五 助監督:松倉大夏 制作担当:森田勝政 

音楽プロデューサー:杉田寿宏 ラインプロデューサー:島根淳 宣伝プロデューサー:宇佐美梓 

配給:パルコ 
宣伝:FINOR 
制作プロダクション:ダブ


【プレゼント情報】

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