さてさてゴールデン・ウィークがやって来ました! 映画界も話題作が次々と公開され、ゴールデンな気分いっぱいです。そんななか、最強の和製アニメに交じって大健闘しているのが『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』。シリーズ3作目を迎え、佳境に突入した本作を支えた人といえば、やっぱり監督のデイビッド・イェーツ。『ハリー・ポッター』シリーズから数えると、本作でなんとこの魔法映画7本目となるイェーツに、彼の目を通したキャストのこと、語ってもらいましたよ!
文/渡辺麻紀
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目次
TV Bros.5月号では『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』を大特集!
エディ・レッドメイン、ジュード・ロウ、マッツ・ミケルセンのインタビューをはじめ、3名の関係性をプロデューサー、デイビッド・ヘイマンの証言を通して解剖する企画や、タイトルにある「秘密」に徹底的に迫った関係者インタビュー、かわいい(けれどちょっと怖い)魔法動物特集など、本作をより深く楽しむための情報が満載です。
『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』
●魔法動物を愛するシャイでおっちょこちょいな魔法使いニュートが、ダンブルドア先生や魔法使いの仲間たち、そしてなんとマグル(魔法使いではない人間)と寄せ集めのチームを結成。魔法使いが人間の世界を支配するという野望を持つ、史上最悪の黒い魔法使い・グリンデルバルドに立ち向かう。そして明かされる、ダンブルドアとその一族に隠された誰も知らない秘密とは。
(2022年/アメリカ)監督/デイビッド・イェーツ 脚本/J.K.ローリング プロデューサー/デイビッド・ヘイマン 出演/エディ・レッドメイン ジュード・ロウ エズラ・ミラー ダン・フォグラー アリソン・スドル カラム・ターナー ジェシカ・ウィリアムズ キャサリン・ウォーターストン マッツ・ミケルセンほか
全国公開中
配給/ワーナー・ブラザース映画
© 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. Harry Potter and Fantastic Beasts Publishing Rights ©J.K.R.
<プロフィール>
デイビッド・イェーツ●1963年イギリス生まれ。『ハリー・ポッター』シリーズの第5作目『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(2007年)以降、『ハリー・ポッター』シリーズや『ファンタビ』シリーズを手掛ける。そのほか手掛けた作品に『ターザン:REBORN』(2016年)など。
エディがまるでチャップリンのように見えた
――あなたは『ハリー・ポッター』シリーズの第5作目『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』からずっと、大人気の魔法ワールドを創り続けています。この最新作に取り掛かるとき、真っ先にやったのはどんなことでしたか?
この作品に限らず、必ず考えるのは「次に何をやろうか」と「どうしたらもっといい映画になるか」なんだ。本作に関しては、前作より気まぐれで、ユーモアがあり、遊び心のあるストーリーを目指そうというところで、みんなの意見が一致した。その「遊び心」のなかには、『ハリー・ポッター』の世界を意識した要素を入れるということも含まれているんだ。
――なるほど! では、役者についてお伺いします。今回、大活躍するダンブルドアことジュード・ロウとの仕事はいかがでしょう?
ジュードとの仕事はとても楽しいし刺激的なんだ。たとえば彼に演技に関したようなメモを渡してみると、彼はそういう演技についてより掘り下げたミーティングを求めてくる。おかげで、演技がより深くなるのは言うまでもない。それに彼は、ダンブルドアを愛していて、どういう役作りをすればファンが喜んでくれるのか、そういうことをちゃんと考えて演じてくれる。チームプレイヤーとしても申し分ないし、素晴らしいと思うよ。
――では、主人公のニュート・スキャマンダーを演じるエディ・レッドメインはいかがでしょう? 彼はこのキャラクターに何をもたらしてくれましたか?
エディは、本当によく働いてくれる。完璧主義者と言っていいくらいの仕事人なんだ。いいところは数えきれないくらいあるんだが、そのなかで私がもっとも気に入っているのは、変幻自在なところだよ。
それに気が付いたのは1作目の衣装合わせのときだった。ニュートのコスチュームを着こんだエディを歩かせたり、座らせたりしながらカメラを回していたんだけど、そのプロセスのなかでエディがまるでチャップリンのように見えたんだ。とても驚いたよ。なぜって、実は私は、このニュートの役にはチャップリンのような演技が欲しいと考えていたからなんだ。チャップリンは、彼の方法で動き、彼の方法で空間を支配する。エディに同じような才能が備わっていることを、そのとき確信したんだよ。
そうやって仕事人間であり、完全主義者にもかかわらず、彼は本当に優しいんだ。誰にでも優しく接してくれる。そこまで徹底しているのに、優しいって凄いことだよ。
――マッツ・ミケルセンはいかがですか? 彼の演じる新しいグリンデルバルドについて教えてください。
私が新しいグリンデルバルドに求めたのは、何層にも及ぶ切なさと弱さをにじませつつも、見ている人を地獄のように怖がらせることが出来る役者だった。間違いなくマッツにはその才能がある。そして実際、彼の演技には、モンスターである怖さと、人間的な弱さを感じさせる瞬間が確かにあった。なぜ、そういう要素が重要だったかと言えば、グリンデルバルドの怒りや痛み、執念深さを観客にある程度理解させ、それがどこから来るのかにも気づいてもらいたいからだよ。マッツは本当に並外れた役者だと思っている。
J.K.ローリングらと笑いあったことが最初に思い出される
――最後にやはり、お伺いしておかなければいけないのは、この物語の創造主、J.K.ローリングについてです。彼女の凄さはどこにあると思いますか。
愛らしく、親しみやすく、一緒に過ごすことが楽しくなるようなキャラクターをクリエイトする能力にまず、脱帽してしまう。さらに、世界観で言うと、みなさんの非日常的なことをやってみたい、観てみたい、そういう願望を具現化する能力も素晴らしい。この映画を観たら誰でも、魔法の杖を振ってみたいと思うからね。
また、ストーリーについて話すと、彼女が紡ぐ物語にはとてもポジティブな要素がある。他人を受け入れることを祝福し、忠誠心や愛情、友情の大切さを教えてくれる。だからといって、ジョーは権威主義や不寛容等、より厳しいテーマを扱うことを避けているわけではない。それは、これまでのシリーズを観ればわかること。そういうことにもちゃんと挑んでいるからだよ。
本作の脚本を書くとき、『ハリポタ』シリーズをずっと手掛けていたライターのスティーブ・グローブスが参加し、私とジョー、そしてスティーブと3人でいる時間が長かった。そのなかでよく憶えているのは3人で笑いあったことだ。とても大変な作業で、辛いことも多かった。でも、やはり3人で笑ったことが最初に思い出されてしまう。やはり楽しい仕事だったんだよ(笑)。
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