まとまったお休み期間の年末年始。そんなゆっくりした時間に楽しみたい、コミック、配信、テレビなどなど、TV Bros.がオススメのコンテンツをご紹介する、TV Bros.2月号が12月23日(木)に発売! そこで今回は、少しだけ掲載内容をご紹介します。
第2弾は、米倉涼子さん、綾野剛さん、横浜流星さんが表紙を飾る、Netflixシリーズ『新聞記者』特集。本作の監督を務めた藤井道人監督のインタビューをお届けします。
日本では政治色の濃い映画は当たらないという定説を打ち破り、藤井監督が手掛けて大ヒットした映画『新聞記者』が、さらに厚みを増してNetflixシリーズとして全世界同時配信されます。
あの“国有地払い下げ”にまつわる一連の事件を、フィクションという強力な武器を駆使して全6話で描き切った渾身の1作となっています。
映画版とNetflix版で描き方を変えた部分があるのか、お話を伺いました。
取材・文/折田千鶴子
「君たちの世代で明るいラストが描けるように、そういうラストを書いてください」
――大きく映画版と違うのは、横浜流星さんが演じた“亮”という人物の存在です。彼に自己投影されたそうですね?
映画版は、撮影開始4カ月くらい前に招聘され、受け取った脚本もよく分からなくて、明快に記者が勝ったようなラストも違うと思ったんです。そこで、コンビニ店員の目線を入れさせてほしいと申し出ましたが、却下されて。映画では新聞記者・吉岡にも、官僚・杉原にも、どこかに自分を100%入れ込めはしなかった。でも今回はゼロからなので、自分の目線を、政治とは無縁の新聞配達員に入れ、彼が自分の“声”にどんどん対峙していくようになるストーリーにしました。自分の“声”は全然届いていなかった、いや、そもそも自分は“声”を出していなかった、と彼が知っていく物語にしたかったんです。
――映画版で、最初に渡された脚本の“記者が勝った!”にはせず、官僚・杉原が死んだ魚のような目になった表情で終わらせました。あのラストは強烈な印象を残しました。
やはり映画版としては、あの形がベストだったと思っています。問いかけて終わらせる以外に、映画の持つ力は出せなかったと思うので。ただ、本作において同じことはしたくなかった。実は尾道で映画を上映した際に、観にいらした80~90歳くらいのお爺ちゃんに、「映画は素晴らしかった。でも、こういう終わらせ方にさせてしまったのは我々の責任だ、申し訳なかった」と言われて、すごい感動したんです。同時に、「君たちの世代で明るいラストが描けるように、そういうラストを書いてください」と言われたことがずっと僕の中で残っていて、今回はそういう風にしようと決めていたんです。
さらに12月23日発売の本誌2月号では、「アクションを起こし続けることが大事」という、本作で世の中に伝えたいことや、出演した米倉涼子さん、綾野剛さん、横浜流星さんの3名についてなどを詳しく語ります。
<作品情報>
『新聞記者』
Netflixシリーズ
2022年1月13日(木)、Netflixにて全世界同時独占配信
監督/藤井道人 脚本/山田能龍 小寺和久 藤井道人
出演/米倉涼子 綾野剛 横浜流星 吉岡秀隆 寺島しのぶ 吹越満 田口トモロヲ 大倉孝二 田中哲司 萩原聖人 柄本時生 土村芳 小野花梨 橋本じゅん でんでん ユースケ・サンタマリア 佐野史郎
(2021/日本/全6話/制作プロダクション:スターサンズ)
2019年に大ヒットした映画『新聞記者』のドラマ化。東都新聞社会部記者・松田杏奈(米倉涼子)は、ある国有地払い下げ問題を取材していた。だがその証拠隠蔽のため、公文書改ざん行為も発覚する。そして隠蔽作業に関わったと思われる職員(吉岡秀隆)に松田はコンタクトを取るが、その後、彼が自らの命を絶ってしまう。彼の無念と遺志を感じた松田は真相究明に乗り出し、彼の妻(寺島忍)を訪ねるが――。国有地払い下げ問題に関係する官僚・村上(綾野剛)、新聞配達をしながら大学に通う就活生・亮(横浜流星)らも、それぞれの場所で必死に生き抜こうとしていた。
<プロフィール>
藤井道人(ふじい・みちひと)●1986年生まれ。東京都出身。伊坂幸太郎原作の映画『オー!ファーザー』(2014年)でデビュー。以降、『青の帰り道』(2018年)、『デイアンドナイト』(2019年)、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(2020年)、『ヤクザと家族 The Family』(2021年)などの作品を手掛ける。待機作に『余命10年』(2022年)などを控える。2019年公開の映画『新聞記者』では、第43回日本アカデミー賞で最優秀作品賞含む6部門受賞他、映画賞を多数受賞。
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