極私的V6との思い出【大根仁 11月号 連載】

11月1日、幕張メッセにおけるライブ『V6 GROOVE』の最終公演をもって、26年間の活動に終止符を打ったV6。オレは配信で観ていたのだが、選曲もパフォーマンスも完璧で、メンバーも観客も解散ライブとは思えないほど笑顔に溢れていた。最後まで涙を見せない6人に負けぬよう、オレも楽しく観ていたが、一人一人の寄りのショットを観るたびに、6人と過ごした短いけれども濃密な時間を思い出し、何度か感極まる瞬間があった。

初めてV6と接したのは、師匠である堤幸彦が撮ったミュージックビデオ『GENERATION GAP』(1997)の現場だった。オレは手伝いで行っていたので、直接メンバーと話したり、コミュニケーションを取ったりすることはなかったが、撮影の合間に6人が過ごしている姿の自然さというか、素のカンジが良かった。あとPUMAのビッグサイズの上下ジャージというスタイリングを無理なく着こなす森田剛の存在感に「こんなジャニーズ見たことないな」と思った。

初めての仕事はV6とではなく、イノッチ・森田剛・国分太一・長瀬智也の4人と1998年のサッカーフランスワールドカップをメインに、フランスを巡る旅番組だった。確かスカパーの特別番組だったと思うが、4時間というやたらと長い放送枠で、10日間ほどのロケの間、4人とずっと過ごしたのだが、ロケの時もオフの時もずっと笑っていた記憶しかない。どこかの田舎町でエスカルゴ農場を訪ねたのだが、その案内をしてくれたおじさんがどう見ても酒浸りでおそらく風呂にも入っておらず、物凄い体臭を発していて、最初は我慢して撮影をしていたのが、途中で長瀬が「臭くないすか?」と言い出し、それをキッカケにみんなが笑い出して止まらなくなり、散々な結果になったことを覚えている。

ちゃんとV6と仕事をしたのは、『over』(1998)のミュージックビデオだった。それまでのV6のミュージックビデオは歌とダンスがメインだったが、オレは6人がキャッキャしている姿を撮りたいと思って、「かつてよく通っていたビリヤードカフェが閉店することになり、久しぶりに6人で訪れてキャッキャ遊ぶ」という設定を考えた。今考えるとザックリにも程がある内容だが、6人は瞬時にその設定を理解し、短い撮影時間にも関わらず完璧な仕事をしてくれた。岡田が鏡越しに微笑むソロショットがあるのだが、そのショットを現場モニターで観た時、なんだかすごくザワザワした。あのザワザワはなんだったのだろう?

1999年にはカミセンのイメージビデオ『?-question-』の撮影でニューヨークに行った。イメージビデオとはいえ、カミセン曲やそれぞれのソロ曲のMV、ダンス、観光、インタビュー、オフショットなどなどがゴチャ混ぜになった内容で、そのぶんスケジュールもハードで、とにかく朝から晩までずっと3人と一緒にいた。子供たちとストリートバスケをする撮影をしていた時に、一人の黒人の男の子が熱くなり過ぎて、白人の男の子に掴みかかったのだが、岡田がすぐに二人を離して、健が黒人の男の子を、剛が白人の男の子をなだめてくれた。英語もわからないのに、大声で喚く黒人の男の子の目をジッと見つめてうなづいている健の姿は今も忘れられない。その時撮った剛のソロ曲『DO YOU THANG』はゴリゴリのヒップホップで、あれDEV LARGE(ブッダブランド)と剛が一緒に作ったんだよな。めちゃくちゃカッコ良かったな。3人一緒の部屋に泊まっていて、4人でポルノ映画観たなあ。深夜にホテルを抜け出してクラブにも行ったよな。帰りの飛行機で3人はビジネス席、オレたちスタッフはエコノミー席だったんだけど、出発してすぐに「あっちつまんねえ」って3人が来て、成田までずっとエコノミー席にいたっけ。あの時、岡田に聞いた恋バナはオレがいくつか持っている「墓場まで持っていく案件」にエントリーされている。

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