一緒に暮らす愛猫5匹をきれいに撮りたいという思いから、昨秋、ミラーレスデジタルカメラを購入した亜生。カメラテクニックのレベルアップを目指して、このたび連載を始めることになりました。第2回では200mmのレンズを使って、自ら被写体によって撮りたいテーマを絞った亜生。第3回のテーマ「ボケ感を知る」では、ピントを合わせる際に不可欠な“F値”についてとことん学ぶことになりました。
編集=竹村真奈
取材・文=高本亜紀
撮影=大槻志穂
連載「感度ゼロからのスタート」過去記事はコチラから
目次
F値は撮り手の意思表示になる
亜生 今日もお願いします!
大槻 よろしくお願いします。まだカメラについて何も知らない読者のみなさんにも、亜生さんと一緒に学んでいただきたいなというところで、今回はボケ感を究めていきたいと思っています。
亜生 ボケ感……というのは?
大槻 連載第1回に亜生さんが話していた“F値”ですね。
亜生 DreamのAyaさんに「F値は大事やで!」って教えてもらったので意識して撮るようにはしてました。けど、なんでF値を設定するのかは全然わかってないです。この前はF値を4に設定してすべて撮りましたけど、どういうときにそうすればいいのかわからなくて。で、F値ってどうするんやったっけ?っていつも悩んじゃうんですよね。F値の大切さ、ほんまに知りたいです!
大槻 自分の目で目の前にある光景を見ているときって、すべてにピントが合っていますよね? けど、その中で自分が注目している視点をわかりやすく伝えるために大事なのがF値。たとえば、新築の家の前で家族写真を撮るとしますよね? その場合、手前の家族と後ろの家両方にピントが合うようにしてもいいし、楽しそうな家族の表情を撮りたければ後ろをぼかしてもいい。自分で撮りたいものを表現できるのが、F値なんです。
亜生 なるほど! F値は僕の意思表示になるってことや。
大槻 そうです。で、このF値なんですけど、図を見てもらえますか?
亜生 ややこしいんですよね、これ。数値が大きくなると閉じる……ということはボケる? ボケない? ここがいつもわからなくなるんですよ。
大槻 ボケないが正解です。背景までくっきりとするんです。
亜生 で、F値が小さいと開くから背景がボケるんか。ややこしい! ここがなかなか理解できないんですよね。
手作りF値強化セットでデモンストレーション
大槻 今からデモンストレーションして、詳しく説明していきましょう。私が撮影した『ミキ漫 全国ツアー2020』のアザーカットを使って、このセットを作ってみました。
亜生 F値強化セット! わざわざ作ってくれはったんですか? ありがとうございます!
大槻 まず、試しにやってみますね。一番手前にいる昴生さんを見せるために、まずF値を2.8にします。続いて、4……5.6……8……11……16……22。どうですか?
亜生 うわ、わかりやすっ! 4ではスライディグしてる僕にもピントが合ってきましたね。で、5.6になるとゴールキーパーみたいな仕草をしてる僕がよりはっきりとしてきました。8になるとそこまで完全にピントが合ってきましたし、11は真ん中にもきれいに! 16になったら後ろも……お兄ちゃんをパンチしてる僕がくっきりしてきて、22だと全部合ってる! うおーー! わかりやすい!
▼手前の昴生のみにピントが合っている(F値:2.8)
▼スライディングをしている亜生までピントが合っている(F値:4)
▼ゴールキーパーみたいな仕草の亜生までピントが合っている(F値:8)
▼全体にピントが合っている(F値:22)
大槻 写真の印象としてはいかがですか?
亜生 2.8のほうが多くいるような感じがします。で、22だと全体を見せたいんやなっていうのが伝わりますね。卒業アルバムの写真やと、22なんやろうな。
大槻 たしかに卒業アルバムでセンターがいるっておかしいですもんね。主役に注目を集めるとして、例えば一番奥の漫才をしているミキのふたりにF2.8でピントを合わせるなら、前をぼかせばいいわけです。
▼奥で漫才をしているミキにピントを合わせる(F値:2.8)
亜生 今、カメラは動かしてないですよね? どうやってピントを奥に合わせてるんですか?
大槻 カメラのオートフォーカス方式を変えればできますよ。今、亜生さんのカメラは瞳追随に設定されてるんですけど、一点プラス周りにもフォーカスを合わせられるようにすると、カーソルを移動してピントを合わせられます。
亜生 うわ、すごっ! 全然知らんかった。(カメラを覗き込みながら)こいつが喜んでますわ! こうやって撮ってたんや!
大槻 では、今説明した点を意識して、亜生さんも撮ってみてください。F値はどうしますか?
亜生 この感じやと、2.8か20どっちかですかね。2.8で撮るとより立体感が出ますね。雑踏の中に撮りたい対象だけがくっきりと出てくるっていうか。うわ、こういうことか! え、カメラってこんなに楽しいんですか? え、おもろっ!
次回は亜生が実際に「F値」を駆使した撮影に挑戦!
〜今日のまとめ〜
・F値は数値が大きくなると背景がぼやけず、逆に小さくなるとぼやける
・F値は撮影者の意思表示になる
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亜生(ミキ)
1988年7月22日生まれ、京都府出身。2012年、兄の昴生とコンビ結成。2020年『第5回上方漫才協会大賞』大賞受賞。毎週日曜『ミキの兄弟でんぱ!』(KBS京都ラジオ)、毎週月曜『ミキBASE』(MBS)、毎週金曜『ミキの深夜でんぱ!』(文化放送)など出演中。公式Instagramでは愛猫との生活が垣間見られる。
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