magora(マゴラ)として初めてのワンマンライブ“ubugoe”から約1年、初のツアー“kotohogi”を京都、東京で開催。着実にステップアップしてきたアーティストは、YouTuber「Kevin’s English Room」やまちゃんとは別の顔を見せ、観客と一体となった多幸感溢れる空間をつくった。昨年の1stワンマンライブに続き、今回も本誌はmagoraライブレポートをお届けする。
>>>Kevin’s English Roomやまの連載「言葉とリズムと」
撮影/近藤誠 取材・文/四戸咲子
なんとあの場所からmagoraが登場!
「Hello, and welcome to my first tour “kohotogi”.」
開演を待ちわびる拍手の中、始まりを告げるmagoraのアナウンスが聞こえてきた。
「…Are you ready?」
高鳴る鼓動のごとく刻むバスドラム、ピアノ、ハミング……さまざまな音が一瞬にして止むと、ハッピーな歌声と弾むようなメロディーで始まる『愛し愛され』で華やかにスタート。
しかし会場に響くのは歌声のみ。観客は拍手でノりつつも姿を探してあたりを見回す。すると、会場の最後方からスポットライトを浴びたmagoraが登場!
「僕はここにいます!」と手を広げた彼を大きな歓声と拍手が歓迎。手を振ったりハイタッチしたり、花道を通るかのようにファンと交流しながらステージへと向かい、バンドメンバー(ベース:山本連、ドラム:澤村一平、ギター:ウインナーボーイJAPAN、キーボード&バンドマスター:大樋祐大)と合流した。
チルソング『スロードライヴ』、今年リリースされたゴキゲンなナンバー『昂って』を披露し終えると、「“kotohogi”ツアーファイナルへようこそ! 僕の初めてのツアーのファイナルです!」と改めて観客に挨拶。
アルバム『kotohogi』(=言祝ぎ)の意味を噛みしめるかのように、「出してきた曲がまとまって、アルバムが作れたこと、こんな素敵なミュージシャンたちと出会えたこと、そして今日みんなの前で歌を歌えること、最高です! みんなでお祝いの一日にしましょう!」と語りかけ、会場が一体となった。
ミディアムバラード『この夏が過ぎれば』に続いては、スローバラード『隣』を。切なくも温かいメロディーに清らかなファルセットがベストマッチ。思わず聴き惚れていると、『爽やかな風に』のイントロで、「爽やかな風を感じるね! ホールの11階だけど(笑)!」とユーモラスなひと言が飛び出した。
途中からジャケットを着たのは……
曲中は観客にも口ずさんでくれと促し、その様子を見て「いい日だ!」と満足げにニッコリ。そして再びスローバラード『あなたに』で柔らかな美声を響かせる。ラストの「Na na na na……」は、コーラスする観客に合わせてハミングしながら、つかの間のセッションを楽しみ、「ありがとう。Beautiful!」とつぶやいた。
MCタイムに突入すると、嬉しそうに「はぁ~」と感嘆の息を漏らすmagora。袖に一瞬はけ、ジャケットを羽織って再登場すると、オープニングで会場後列から登場することに緊張してジャケットを着忘れてしまったというチャーミングな告白を。
さらに「(登場時)みんながパッと振り返ると思っていたんだけど……4人ぐらいだったかな、振り返ったの(笑)」と思わぬリアクションだったことを話すと会場は笑いに包まれた。そんな和やかな会場の雰囲気をしみじみと味わいながら、「夢のような舞台に立てて幸せです」と感慨深げに見渡した。
そして、「初のチャレンジなんですけど、ギターを弾きながら歌いたい」と言うと会場から歓声と拍手が沸き起こった。スツールに腰かけ、弾き語りしたのは『ゆれる』。月や星を思わせる照明が創り出す幻想的な雰囲気の中、話しかけるように歌う落ち着いたハスキーな声が優しく、心地いい。
続いて、きらめくような繊細なピアノとあたたかな歌声が胸に沁みる冬の歌『Pearl Blues』、そして『月と私』をしっとりと聴かせた。バラードは歌声が際立ち、magoraの声色の多彩さに改めて驚かされる。
magoraの由来、京都の思い出
ここからのMCでは、前週に京都公演を行った際の話を。
仕事を辞めて音楽で生きていきたいと決意した街・京都に“凱旋”できたことへの感慨、そしてmagoraの由来となった仏像・摩睺羅像に会うため、バンドメンバーも三十三間堂を訪れたというエピソードを明かした。
すると、「(メンバー4人も)仏像っぽい」と言い出し、「“仏像バンド”でお届けしています(笑)」と冗談めかして紹介し笑いを誘いつつ、「これから、なんて恐ろしい道に、でも喜びに満ちた道に進んでいくんだろうか、と思った京都の夜。あの日に書いた歌をお届けしたいと思います」と、原点ともいえる『ubugoe_ウチュウ(歓彩)』を披露した。
ライブはクライマックスを迎え、グッとギアを上げたmagora。
キラキラなパーティーチューン『DANCE DANCE DANCE』ではジャンプをしたり、「Put your hands up!」と観客をあおったりと、会場の一体感はより一層高まる。「まだまだ行くぜ!」との声で始まったのは『Ride on the Night』。観客のボルテージもグングン上昇し、magoraの音楽に身を任せて思い思いに楽しんでいた。
『Busking Song』では観客席へ降り、「みんな歌ってくれ!」と観客にマイクを向ける一幕も。一度ステージに戻るも、「あっち行っていないね!」と気づいて逆サイドに向かう姿からは気配りの性格が伝わってきた。
バンドメンバーの紹介では、エフェクターを踏んでみたり、キーボードを弾いてみたり……一人ずつと絡んで無邪気にはしゃぐ姿はまるで少年のよう。そして、「最高だ! 幸せだ! みんなでお祝いしよう!」という言葉とともに、満を持して新曲『kotohogi』を披露。サビで繰り返される「お祝いしなくちゃね」という歌詞を実に幸せそうな表情で歌い、本編を終えた。
来春のお楽しみを発表……!?
鳴りやまないアンコールの拍手に応えて登場したmagoraは、大樋と2人で『Water-repellent』を。アルバム『kotohogi』について、「僕と祐大が出会って一緒に音楽をやり始めてから今までの曲が入っている」と改めて紹介。山本から、しゃべりすぎて時間が大幅に押していることを告げられるが、「みなさんが盛り上げてくれて、楽しいから仕方ない!」とポジティブな言い訳を。
そして「ちょっとぼやっとしたお知らせなんですけど、来年の春頃、楽しいことしまーす!」とサプライズ発表し、観客は大いに歓喜した。
最後は、ささやかな幸せや喜びをつづった新曲『How was your day?』を披露。「みんなで最後、歌って帰ろう!」との掛け声で、会場が一体となって「ララララ……」と別れを惜しむように口ずさむ中、「いい1日だったなと思ってもらえていますように!」「明日からもみんなの人生が素敵なものになりますように!」と語りかけた。
拍手喝采の中、深々と丁寧に頭を下げ、そしてメンバーと繋いだ手を挙げて、「最高でした!」とライブを締めくくった。
ライブ中、何度も「ありがとう」「幸せだ」とあふれる思いを口にしていたのが印象的だったが、それは観客も同じ思いだろう。多幸感に満ちあふれたmagoraが紡ぎ出す音楽は、心を優しく鼓舞し、明日からの活力を届けてくれた。
ファーストツアーを成功させ、アーティストとしてまた一段、大きなステップを駆け上がったmagoraの今後の活躍に期待したい。
【セットリスト】
magora – 1st Live Tour “kotohogi”
- 愛し愛され
- スロードライヴ
- 昂ぶって
- この夏が過ぎれば
- 隣
- 爽やかな風に
- あなたに
- ゆれる
- Pearl Blues
- 月と私
- ubugoe_ウチュウ (歓彩)
- DANCE DANCE DANCE
- Ride on the Night
- Busking Song
- kotohogi
- Water-repellent
- How was your day?
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