グルメ漫画大好き芸人・GAG福井俊太郎が選ぶ “旨旨旨”な絶品グルメ漫画アラカルト

グルメ漫画をこよなく愛し、『アメトーーク!』の企画「グルメ漫画サミット」にも出演したGAG・福井俊太郎が、“ 食欲の秋” におすすめの漫画をセレクト。シチュエーション別に堪能できる絶品グルメ漫画を紹介してくれました! コントの作風や、芸人としての活動などにおいて「全部を教えてもらった」という福井さんの、グルメ漫画愛に迫ります。

取材・文/釣木文恵 撮影/武石早代


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『ミスター味っ子』
『クッキングパパ』に
衝撃を受けた学生時代

── 福井さんがグルメ漫画を読むようになったきっかけを教えてください。

 小学1、2年生の頃、本屋さんに漫画を買いに行ったら、お目当てのものがなかったんです。そこで代わりにジャケ買いしたのが『ミスター味っ子』の1巻。それ以来、周りの友達が『ドラゴンボール』とかを読んでいる中、ひたすら『ミスター味っ子』を読む子供になりました。

──そんなにも福井さんを魅了した『ミスター味っ子』の面白さとは?

 家の料理が健康志向で薄味だったこともあって、子供の頃は食への興味が薄かったんです。それが『ミスター味っ子』に出てくる(豚ロース肉を二度揚げした)「超極厚カツ丼」というメニューを見て、初めて「これが食べたい!」と思った。「こんなおいしそうな食べ物を食べていいんだ!」という、自分の中の食に対する思い込みやルールを破ってくれた作品ですね。そこからグルメ漫画自体が好きになって、高校~大学くらいで『クッキングパパ』も読むようになりました。

──『クッキングパパ』を楽しむ10代も多くはなさそうですが……。

 これも周りに読んでいる友達はいなかったですねぇ(笑)。『ミスター味っ子』のような対決要素もない、ただただ家族愛を描いている作品で、自分でも「これは学生が読む漫画ではないんだろうなぁ」と思いながら読んでいました。

──以前、「GAGのコントは『クッキングパパ』の影響を受けている」とブログに書かれていましたよね。

 基本的に悪い人が出てこないところとか、劇的なことが起こらないところはすごく影響を受けているなと思います。『クッキングパパ』は160巻以上続いていますけど、何も起こってないといえば起こってないんですよね。それを読み続けていたからか、僕は映画でも極力何も起こらないものが好きで。


グルメ漫画は〝人生の教科書〟
全部を教えてもらった

──グルメ漫画によって、自分の考え方や好みが培われていったわけですね。

 そうですね。芸人としては『ラーメン発見伝』シリーズにも大きな影響を受けています。シリーズ第3弾となる『らーめん再遊記』の中で、ラーメン業界を知り尽くした芹沢さんという人が「店を流行らせたいんだったら家系ラーメンか二郎系ラーメンをやればいい」ということを、吐き捨てるように言うんですよね。それは芸人の世界でいうと、たとえば「すぐ結果を出したければリズムネタとか音ネタをやれ」というようなことで。漫画の中では「それでも道を極めたいんだったら自分が本当に好きなラーメンを見つけて追求しろ」という話になるんです。そうやな、本当に好きなネタを見つけるしかないなと。僕はいつも、ラーメンの世界を芸人界に置きかえて勉強しています。

── そんな読み方を!

『ラーメン発見伝』シリーズは、芸人に限らず、クリエイティブな仕事で悩んでいる方にも響くと思うんですよ。他にも、芹沢さんの「いつの間にかラーメンというジャンルも、退屈な本物になってしまった」というような内容のセリフがあって。自分が信じて苦心して生み出したはずのものが、続けていくうちに退屈になっていく。ものを作る人間にとってのある種の真実が書かれていることに痺れて、僕はこのコマを10秒くらい凝視してしまいました。

──『ラーメン発見伝』シリーズといえば、「ヤツらはラーメンを食ってるんじゃない。情報を食ってるんだ!」というセリフも有名ですよね。

 これも芸人の世界と似てるなぁと思うんですよ。自分たちのブランディング、見せ方、見た目とか雰囲気って情報じゃないですか。いくら味=ネタだけを追求しても、お客さんにわかってもらえないときもあると。もちろん味の追求は一番大事だけど、情報を食べている世界であることはわかっておいたほうがいいんだ、と思いました。

── 福井さんは、グルメ漫画からそんなにもいろんなことを受け取っているんですね。

 僕にとっては、グルメ漫画は人生の教科書ですね。グルメの知識とか、お酒の席での振る舞いといった実用的な面から、コントを書く上での物語の展開から、お笑いへの姿勢まで、全部をグルメ漫画に教えてもらっているんです。

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