大阪で伝説とも言える人気を誇り、鳴り物入りで上京、〝漫才道〟を歩み続けて30年。年に一度の開催を続けてきた100分間漫才『百式』は20回を超え、まさに2丁拳銃が生きてきた道そのものとなった。コンビ結成30周年での『百式』を控え、これまでの、そしてこれからの2丁拳銃を聞いた。
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企画・編集/OWARAI Bros.編集部
取材・文/粟野亜美
撮影/大槻志穂
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――結成30周年、おめでとうございます。
修士 ありがとうございます。30年いろいろありましたけど、あっという間でしたね。
小堀 ベタにここ最近、とくに早い。20年超えてからめっちゃ早いような気がします。
修士 2000年に東京に来たので、もう大阪よりも東京での生活のほうが長い。振り返ってみたら関西おったときのほうがちょっとでしたね。
――30年間続けられた理由は何だと思います?
修士 漫才がイヤになったことはないんですよね。これって、僕の中でも珍しいことで。『百式』が始まったのが、僕らの『M-1グランプリ』(ABC・テレビ朝日系)ラストイヤーの1年前。2002年から始めて、2003年が『M-1』ラストイヤーだったんですけど。なので、最初は漫才のイメージをつけたいみたいな気持ちはあったと思います。でも、『M-1』で優勝して燃焼しきって死ねたらいいんですけど、燃焼しきらないし死なないし、普通に人生は続くんだっていう感じで。『百式』は結局、そういう意味合いのものになっている気がします。
小堀 僕はタイプ的に音楽とかほかにも活動があるから(漫才を)続けているというか。「家に帰らへんから嫁と仲いい」というのと同じで。
修士 いや、「音楽もやって、いろんな創作活動しながら軸には漫才があって、だからこそ僕はバランスが取れているんです」って。……は? むちゃくちゃしている奴はええように言うてるだけやから! びっくりするわ、ほんまに。「なるほど」ってちょっとでも思った人、もう一回よく考えて。こいつ、悪いことしてるやんってことですから!
小堀 ……もう。魔法解かんといてよ(笑)。
修士 (小堀は)音楽雑誌とかでアーティストが言いそうなこと、得意なんですよ!
小堀 僕はね、誰も不幸にしていないんですから!
修士 そんなことないで!
100分ノンストップ漫才『百式』
――『百式』はどんな経緯で始まったんですか?
修士 それまではコントもやっていたんですけど、漫才一本でやってみようかという意識があってスタートさせたもので。だいたい漫才って1本あたり10分。それを出て袖にはけて、出てはけてとするのも面倒だなと。だから、一度出たらずっと舞台に出っぱなしにしてみよう。それなら感覚的にもタイトル的にも100分がいいんじゃないかとなって。僕ら世代にとっては「百と言えば、ガンダムの百式ちゃうか」とお互いになって「100分間ノンストップ式漫才」とつけて、それを略して“百式”ということにしたんです。
小堀 作る段階で100分というのに不安はあったけど、よう考えたら今まで作ったネタを10~11本つなげたらいけるなと。漫才は立ち話とよく言われますけど、そう考えたらまぁ100分くらいいけるやろと。
修士 最初はお互いにそんなにプレッシャーにはならなかった。「できるやろ」と思ってたので。僕もあんまり焦ったりもしなかった。でも、アンケートで「100分ノンストップしんどい」という意見が1枚でもあったらやめようというルールにしてたんです。蓋を開けてみたら、そんなんは1枚もなくて。なんなら「もうええわ。ありがとうございました!」と言ったら「え! もう100分?」という顔をしていた。お客さんも僕らも100分があっという間でお互いにWin-Winだったと思います。
小堀 100分あると「これウケへんけどこれだけ言いたい」とか「最初に入れておきたい」とかあって。でも、競技用というか賞レースのためにはそういうのはまったくいらない。ライブの中ではそういうんも入れておけるので、ウケの具合がわかるのも楽しくて。逆にウケへんおもてたら意外とウケたりもあるし。
修士 「想定通り全然ウケへんやんけ!」っていうのも多いですけどね(笑)。
起爆剤となった『THE SECOND』
――競技用という点では、今年行われた『THE SECOND』(フジテレビ系)はベテランたちの大会で。惜しくもベスト16で敗退となりましたが、振り返ってみてどうでしたか?
修士 芸歴15年以上が出られる大会で僕らは芸歴30年なので、出てるいちばん若いやつ(芸歴16年目)と比べると、15年も離れてるんです。なので、僕らからしたらベテランの大会と全然思ってなくて、逆に「若い子、多いな。俺ら全然おっさんやん」となってました。
小堀 戦い方もトーナメント制なので相手にもよるんですよね。相手によってはポップを意識したネタとか、ちょっと若手っぽいヤツに変えたりとか。
修士 歳重ねてきて、やっと歳重ねていくのもええなぁと思えるようになってきたときに、この大会ができて「やっぱり若いほうがええな」と思いました(笑)。
――この大会が始まると聞いたときの心境は?
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