賀来賢人×柄本時生×落合モトキ ドラマ『錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜』同世代”リアル友達”インタビュー

ドラマ24『錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜』(テレビ東京系)で、柄本時生が初のプロデュース業に挑戦する。キャストは、賀来賢人、落合モトキ、岡田将生という親友たち。そこで今回は柄本、賀来、落合に作品への想いを語ってもらった。

 

撮影/倉持アユミ 取材&文/横川良明

 

 

自分でプロデュースした作品は子どもみたいな存在になる(賀来)

 

――今回、柄本さんがプロデュースに初挑戦されました。

 

柄本時生 プロデュースに挑戦したことがないので、何もかもが初めてだらけです。衣装合わせ一つとっても、役者だけなら自分の衣装を着終わったら帰るんですけど、プロデューサーをしていると全員の衣装をチェックしなくちゃいけない。知らなかった制作の中身を初めて知ることができて、そこに感動とやりがいがありますね。

賀来賢人 僕もNetflixの『忍びの家 House of Ninjas』でプロデュースをやったからわかるんですけど、最初に自分の名前が出るって大きいんですよね。柄本時生プロデュースって出たら、作品のすべてが柄本時生の感性。正直、めちゃめちゃ恥ずかしいというか、言い逃れができなくなる。

柄本 あのね、めっちゃわかる(笑)。

賀来 責任を負う以上、自分の感性を貫き通さなきゃいけない。その分、それが世間様に伝わったときの感動は俳優部だけで参加する作品とはまったく違うよね。もう自分の子どものような気持ちになるし。

柄本 なる。(お腹に手を添えて)ここにいるんだよね。

賀来 現場で一緒にやってても感じるけど、めちゃめちゃ楽しそうなんですよ。僕がある女性キャストと真剣なシーンを撮影しているときも時生がいて。まあ、僕からすると邪魔だったんですけど(笑)。1秒でもいいから現場にいたいみたいな感じが伝わってくる。

柄本 今回、プロデュースをやろうと思ったのは、かっちゃん(賀来)の影響が大きかったんですよ。これだけ身近な人がやりきっているのを見て勇気が持てた。

賀来 時生はこう言ってくれてますけど、僕からアドバイスしたことは何もなくて。何度か謎の電話はもらいました、「かっちゃん、プロデュースって大変だね。よくやったね」って(笑)。でも、本当それくらい。これだけ素晴らしいチームを率いて作品をつくっている姿を見て、すごいなと思っています。

――落合さんから見るとどうですか。

 

落合モトキ そうですね。僕が初めてプロデュースしたのが……。

賀来 してない(笑)。

柄本 してないだろ(笑)。

落合 (笑)。覚えているのが、クランクインが3人一緒だったんですよ。で、メイクの最中に、賀来くんが時生に「本当におめでとう。ここまで準備しても撮影中止になる現場もあるから」みたいな話をしていて。そういうのを聞いて僕も、良かったなってしみじみ思いましたね。

柄本 本当、無事にここまで来られて良かった!

賀来 まあ、まだ放送されるかどうかはわかんないけどね。

柄本 え? うそ? 降りる可能性ある?

落合 それはわからない。

柄本 怖いよ。ここで急に降りられたら。

賀来 今日もここにマーくん(岡田将生)いないし。

柄本 あいつ、忙しいんだよな。え? マーくん、本当に降りるのかな?

賀来 やめろ(笑)。

落合 降りないよ(笑)。

 

俺ら大人になったんだなと思えたことが良かった(柄本)

 

――そんな記念すべき初プロデュース作品を、10代の頃から一緒だった4人で実現しました。

 

柄本 情報解禁の日はもう胸がいっぱいでしたね。それまではストレスなのか何なのかわからないですけど、蕁麻疹が出るくらいボロボロだったんですよ。でも、この作品のニュースがネット記事に出ているのを見て、本当にやれるんだって感動して、すごくうれしかったのを覚えています。

落合 撮影中は毎日が感慨深いよね。毎朝メイクしてたら時生ちゃんが入ってきて「おはよう」って言って。そしたら次はかっくんが入ってきて、今日も始まるんだなっていうのを感じて。

賀来 初日に監督の廣木(隆一)さんが「自由にやってみて」と言ってくれて、本当に自由にやってみたんですよ。そしたら、もう普段のまんまの関係性がお芝居に出て。それがめちゃくちゃ楽しかった。19(歳)ぐらいから知っているみんなとのただの会話をお芝居に昇華して垂れ流せる幸せを感じたというか。

落合 撮影の待ち時間にかっくんと路上でボーッとしていたんですけど、思わず「こんな時間ってなかなかないよね」という話をして。

賀来 本当ないよね、こんな時間。

落合 やっぱりこの年になって昼間から会おうとすると、一緒にコストコに行くとか何かしら予定を立てると思うんです。それが、ただただ路上のベンチで何でもない話をして。そういう時間の流れ方が久々というか、後にも先にももうないんだろうなと。それこそ20代前半くらいまでは4人で毎週会ってたじゃない? でも大人になって、昔ほど頻繁には会わなくなって。離れていた時間を埋め合わせるように、現場ではとにかくずっと話してる。

賀来 僕はモトキくんがいると、スイッチが入るんですよ。僕にとって、昔を思い出させてくれる人。いろんなところで言ってますけど、芸能界で一番面白いんですよ、彼が。

落合 やめてくれ(笑)。

賀来 普段はすごく静かなんですけど、僕たちと一緒にいるときは素面でもマックスまでテンションを持っていってくれる。だから、彼といると僕はもうただただ笑わせていただいています。

落合 僕からするとかっくんはもちろん昔から知っている相手だけど、お互いそれぞれの人生を歩みながら今こうやって顔を合わせると、人生の先輩としていろいろ積み上げてるものを感じるかな。で、時生ちゃんは守ってあげたい人。

柄本 そうなの?

賀来 わかる。時生は本当に優しいから、利用されたら嫌だなって目で見ちゃう。詐欺とかにあわないか常に心配。守ってあげたい存在ですね。

柄本 ありがた! 俺はマーくん含め4兄弟で考えてた。長男がかっちゃん、次男がもっくん(落合)、三男が俺で、四男がマーくん。どう? 合ってる? 合ってるって聞かれても知らんか(笑)。

 

――思わず羨ましくなる関係ですね。

 

落合 だからこのメンバーでやれることは本当にありがたいんですけど、内輪の空気でただただ楽しいだけの作品で終わらせたくないなっていうのはあって。ちゃんとスタッフさんも巻き込んで、愛される劇団年一でありたい。そっちの方がみんなハッピーな気持ちになるんじゃないかな。

賀来 もっくんの言ってることに完全に同意という上でまったく逆のことを言うんですけど、本当に毎日がただ楽しいので。さっきも言った通り、こんな時間ってもうないんですよ。みんな大人で、僕も子どもが2人いるし、それぞれ仕事が忙しいし。こんなふうにみんなとお芝居ができて、お喋りもできる時間はきっともうないので、いかにこの時間を育むかを大切にしたいし、それが画面を通して観ている人に伝わればいいなと思っています。

落合 うちらカメラ回ってないときも喋ってるから。何ならそのときの方が汗かいてる(笑)。

賀来 疲れちゃうんだよね(笑)。

柄本 そうなんだよ、2人、ちょっと疲れてる(笑)。それくらいよく喋ってるんだけど、それも雑談だけじゃなくて、ちゃんと真剣な話もできて。現場で脚本について「ここはどうなの」という会話を何回かしたんですよ。そのときに俺ら大人になったんだなっていうのを感じて。その感覚になれたのが俺の中で良かったんですよね。そういう俺たちの空気をそのまま廣木監督が撮ってくださっているので、きっとそこがこの作品の強みなのかなと思います。

 

若い頃は朝まで遊んでかディズニーに行ってた(落合)

 

――ちなみに10〜20代の頃のみなさんはどんな感じだったんですか。

 

柄本 昔、誕生日のお祝いコメントを撮ってDVDをつくったことがあったじゃん? あれは青春の思い出として今も結構残ってる。

賀来 確かに。あれはあの頃ならではだね。

柄本 俺はスパイダーマンの格好して、当時の友達と一緒に下北沢を歩き回ったりしたんだけど。みんな全力でふざけてて楽しかった!

賀来 あの頃はバカなことばっかりしてた。それこそ誕生日会にみんな集まって。

柄本 それもここだけじゃなくて、何十人も。

賀来 すごい規模だった。中には全然知らない人もいたしね(笑)。

落合 いたね(笑)。

賀来 たぶん15人ぐらいは知らない人だった。何のゆかりもない人を誕生日会に呼んで。それも全部楽しかった。

落合 毎晩朝まで遊んで、でもちゃんとポカすることなく現場に行ってたところは今も変わらずエラいなと。まあ、当たり前のことなんですけど(笑)。

賀来 元気だったよね、やっぱり。今それできるかな。

落合 今やったら次の日の代償がすごいと思う。たぶん朝日を浴びた瞬間、やってしまったっていう後悔が湧いてる。あのときは朝日なんて浴びたら、逆に「よっしゃ! ここからどうする? ディズニーとか行っちゃう?」ぐらいのテンションだったけど、今はさすがにそれはできない(笑)。

賀来 年には勝てないんだよね。

柄本 朝まで遊んで、それからディズニーに行った話はすごかったな。俺、聞いたときびっくりしたもん。

落合 あれはひどかった。朝っぱらからいろんな人を叩き起こして、どんどんピックアップして、舞浜まで行きました(笑)。

賀来 でもあれが俺の中で過去1のディズニーだったな。

 

――きっと友情の形って年齢とともに変容するものだと思います。30代の友情の良さって感じますか。

 

柄本 俺は結構感じるな。一番でかいのは、連絡しなくても大丈夫なところ。

賀来 落ち着くところに落ち着いたんだろうね、関係性とか距離感とか。

落合 でも、いざとなれば「よっしゃ、今からそっち行くわ!」みたいな気持ちも全然残ってるし。年をとっても意外と根っこの部分は変わらないかな。

賀来 たぶん本当に気を遣わない関係になったのかもしれない。

落合 確かに。現場で4人でいても無言のときとかまあまああるもんね。午前中はしゃぎすぎて疲れたときとか(笑)。でも、そういうのも全然大丈夫な関係になった。

――まさにズッ友ですね。

 

賀来 まあ、ズッ友ですね。

柄本 ズッ友って恥ずかしいな(笑)。

 

 

ドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」

7月12日(金)毎週金曜深夜24:12〜24:42 テレビ東京ほかにて放送

各話放送終了後から、動画配信サービス「Lemino」「U-NEXT」にて第一話から最新話まで独占見放題

広告付き無料配信サービス「ネットもテレ東」(テレ東 HP、TVer)にて見逃し配信

【企画・原案】 柄本時生 今井隆文

【出演】 賀来賢人 柄本時生 落合モトキ / 岡田将生

Ⓒ「錦糸町パラダイス~渋谷から一本~」製作委員会

 

 

柄本時生(えもと・ときお)●1989年10月17日生まれ、東京都出身。2003年、映画 Jam Films S『すべり台』(05年公開)のオーディションに合格し、主演でデビュー。以降、配信ドラマ『4TEEN』(04年)、NHK大河ドラマ『いだてん』(19年)、ドラマ『真犯人フラグ』(21年)、ドラマ『消せない「私」―復讐の連鎖―』(24年)などに出演。

 

賀来賢人(かく・けんと)●1989年7月3日生まれ、東京都出身。2009年公開の映画『銀色の雨』で初主演を果たす。ドラマ『今日から俺は!!』(18年)、ドラマ『半沢直樹』(20年)、映画『新解釈・三國志』(20年)、ドラマ『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(21年)、ドラマ『マイファミリー』(22年)などに出演。企画・主演・原案を担うNetflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』(24年)が世界配信中。

 

落合モトキ(おちあい・もとき)●1990年7月11日生まれ、東京都出身。主な出演作としてWOWOW『4TEEN』(04年)、映画「ヒーローショー」(10年)、映画『桐島、部活やめるってよ』(12年)、映画「天空の蜂」(15年)、映画「AWAKE」(20年)、映画「FUNNY BUNNY」(21年)、映画「Gメン」(23年)、映画「鯨の骨」(23年)、NHK朝ドラ「らんまん」(23年)、舞台「サンソンールイ16世の首を刎ねた男―」(23年)、TX「やわ男とカタ子」(23年)、舞台「あのよこのよ」(24年)、映画『不死身ラヴァーズ』(24年)などがある。

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TV Bros.編集部
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