押井守のサブぃカルチャー70年「YouTubeの巻 その21」 【2022年1月号 押井守 連載第56回】

今回は「YouTubeにおけるテロップとナレーションの力」後編をお届け。監督として、映画における字幕についてはかなり考えてきたという押井さん。YouTubeチャンネルでも、やはりテロップやナレーションをうまく使いこなした演出力が高いものが気になるようです。さて、一体どんなチャンネルなのでしょうか?

取材・構成/渡辺麻紀
撮影/ツダヒロキ

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<新刊情報>
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『押井守のサブぃカルチャー70年』が発売中!

当連載がついに書籍化しました。昭和の白黒テレビから令和のYouTubeまで、押井守がエンタメ人生70年を語りつくす1冊。カバーイラスト・挿絵は『A KITE』(1998年)などを手掛けた梅津泰臣さんが担当し、巻末では押井×梅津対談も収録。ぜひお手に取ってみてください。

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押井守/著
『押井守のサブぃカルチャー70年』
発売中
発行:東京ニュース通信社
発売:講談社
カバーイラスト・挿絵:梅津泰臣
文・構成:渡辺麻紀

先人たちのチャレンジによって、YouTubeにも経験則が蓄積され始めた。

――押井さんにはYouTubeにおけるテロップやナレーションの役割についてお話を伺っています。前回はなぜかテロップからシンタックスの話になっちゃったんですが、押井さんはテロップやナレーションには説得力があるとおっしゃってました。

とりわけ洋画ファンは字幕(テロップ)に説得されやすい傾向にあるって話をしたんだよね?

――そうです!

私は字幕派だから、日本語吹替えの回はパスして観るくらい。BBCのTVシリーズを日本語吹替えで観る気はしないじゃない?

――英国ものは、あのクィーンズイングリッシュで堪能したいです。

それが日本語になっちゃうと「違う」という感じがとても強くなる。もう別の作品と言ってもいいくらい違う。でも、不思議なことに文字だとまるで気にならない。

私もテロップについては映画で随分、学んだんですよ。なぜ字幕があるのか? 字幕は本当に必要なのか? 吹替えとはどう違うのか? そういうことをかなり考えた。

で、結果として日本映画でも字幕を入れたほうがいいと思うようになった。自分の映画でも絶えず字幕を入れたいと考えたくらいだけど、許してもらえなかったんだよね。ビデオになれば大丈夫だろうと思って交渉しても、それはそれでまたお金がかかるからやっぱりダメって。

――録音に難アリの昔の日本映画や、方言の強いセリフだったりしたら字幕、欲しくなりますけどね。

ジャンルにもよるんだよ。やっぱりSF系や戦争系は文字のほうが頭に入るので、字幕のほうが合っていると思う。専門用語も多いから絶対、字幕があったほうがいい。私が自作に字幕を入れたいと思うのも、このジャンルの作品ばかり作っているからだ思う。

――それは絶対にありそうですね。

YouTubeがいくら映像に特化したメディアだといっても、言語と無縁ではいられないんです。たまに映像だけというチャンネルもないことはないけど、これは基本的にとても退屈。やはり、何がしかのテロップが流れないと続けて観られない。だからみんな、テキスト(テロップ)とボイスロイドと生声の3つを駆使して作っている。これはかなり高級な演出ですよ。日本の少女漫画の吹き出しくらいに高級。

――それって「少女漫画」に限るの?

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