「つけびの村」「逃げるが勝ち」の著者で「ロイヤルホストを守る市民の会」代表でもあるフリーライターの高橋ユキさんがお届けする、ブロス的社会派連載!
事件や報道を追う中で引っかかった“違和感”を、ロイホでひと息つきながら軽妙に綴ります。今回はテレビ局が運営するニュースサイトの見出しの変化に着目してます。
(マイブームメニューの紹介つき、みんなもロイヤルホストを守りに行こうね!)
写真・文/高橋ユキ
編集/西村依莉
毎回書いているが、私は主に刑事裁判を傍聴して記事を書くライターだ。仕事の場は、休刊・廃刊・部数減にともない、紙媒体から徐々にウェブ媒体へとシフトしてきた。そんなウェブ媒体には「こうすると読まれない」「こうすれば読まれる」といった、謎情報が蔓延る。
謎情報は多くが経験則と思われる。こっちをやってみたらダメだったが、こっちはうまくいった……そのようにして手探り、試行錯誤を繰り返す中でノウハウが蓄積され、また時代とともにその成功法則が微妙に変わる。
ひと昔前に、媒体問わず、よく耳にしたアドバイスは「なるべく短めに」。本文の文字数が1000を超えると「ウェブの読者は読んでくれない」ということだった。1週間続いた裁判員裁判の記事を1000文字以内にまとめるのは、なかなか骨が折れる。ほとんど全てを諦めて、要点のみをまとめるか、もしくは一番印象に残ったシーンだけを描写する……みたいなことをやっていた。ちなみに、この連載はひとつの記事がおよそ3000文字。時代は変わった。
「読まれる」記事のタイトルにもいろんな噂がある。タイトル決めは主に編集者の仕事だが、ライターである私でも知っているのは「タイトルに数字を入れると読まれる」という謎情報だ。
「2018年版!注目スイーツ10選」
「12月のうちにやるべき5つのコト」
「年収150万の45歳女性がどん底から逆転 年収10倍のルールとは」
適当に、いかにもありそうなタイトルを勝手に作ってみた。きっと内容にかかわらず、PVは爆上がりすることだろう。というのはだいぶ誇張しているが「タイトルに数字を……」という説はこれまで実によく耳にしてきた。おそらく一時やや流行し、現在ではウェブ媒体における常識になっていると言って差し支えないだろう。オピニオン記事には特にこの傾向が顕著である。どうやら人間は分かりやすい数字にとても弱いようだ。ウェブ媒体のみならず、SNSでもこの謎常識を踏襲したプロフィールが散見される。「1000人以上に取材」などといったように数を自慢するときに用いられがちだ。
個人的にはこのように数をやたらとアピールするプロフィールには、胡散臭さしか感じない。
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