【2023年10月号 大森靖子 連載】『大森靖子の超一方的完全勝利』

 高円寺にヴィレヴァンできたときに高円寺終わったなとか、火事になった飲み屋の近くで吠えていた。群れんな群れんな! カルチャーぶりやがって…何がカウンターだ、こっちはカウンターできるほど、どっこの文化にも所属できない何の影響も受けてない孤高でもなーんでもなくさ、全て大好きなのにどこにも入れてもらえないみたいな自意識が過剰だっただけなんだよこっちは。一緒にすんな! カウンターカルチャーとも文化人とも一緒にすんなと思ってる底辺なんだよ!!! 私は! 全然、メインカルチャー楽しみきれなかったからこそ、そのカルチャーを何よりも大切に思っちゃってる、しょーもないやつなんだよ! だいたい楽しく全部の良いとこ齧って流行りにのれてる人間よりも、それの楽しさを知った瞬間におぞましく執着しちゃう不器用な人種の、「私の特別とらないでよ」っていう惨めな、一番キラキラした気持ち、この感情に名前がついた瞬間に、きっとこの感情すら盗まれてしまうんだよ。だから嫌いだ、全部嫌いだ、ちゃんと全部嫌いだ!!! それを尖っているとかすら言われたくない! スキースノボキャンプサウナ釣りバイク夏フェスノーノーノーノー、ウィーアー暑い! 暑い! 暑い以上のこと考えてたまるか! 今さまた、全肯定の世代から嘲笑の世代に流れている空気をこっちは感じているけれども、そんな空気感じる鼻があったってあーそうですねってだけで、とぼけて生きて生きてぇんだよ私はーってか私のこととかどーーーでもいいいーーーー爆笑ばくわらばくわら。

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