猫のつまらない話 第22回【能町みね子 連載】

 

すっかり不定期連載になってしまった「猫のつまらない話」ですが、能町さんがやる気を出してくれました。

文&題字イラスト/能町みね子 写真/サムソン高橋

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ウチの猫について書くことはもう何もない。

とさんざん書いてきたけれど、これは、本当は噓であります。
本当は書くことがたくさんあるのに、事件らしい事件を書くのは意図的に避けていたところがあります。ごめんなさい。
だって、ちゃんと時系列を考えたり事実を思い返したりしながら記録的に書くのはね、あんまりねえ……ちょっとめんどくさいというのがある。

なんて奴だ。執筆業に致命的に向いていない。ノンフィクションとか絶対書けないタイプである。
でも、こと、この猫の連載に関しては、何も考えず何も調べず、指が猫の導きにより勝手に動くのに任せて(オカルト的に言うと自動書記といいます)、思いついたことを思いつくままに書いているようなところがありますから、あの出来事についてはあの年月で、背景および状況がこうなっていて、地球が何回回ったときで、原因はこう、反省点はこうであるーーとレポートするのは私の体質に合わないのだ。

うん、でもね、この連載でそんなに厳しく書かなくてもいい。分かってる。事実がちょっと違ったってファクトチェックされない聖域で私は書いている。そうだ、事件の経緯を書くことすらめんどくさいというのはもう末期だ。末期にはなりたくない!書くぞ、事実を!

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