自分で自分を褒めるその時が来るまで【藤田菜七子 2022年11月号 連載】

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競馬にかぎらず、野球、サッカー、バスケット、バレー…あらゆる勝負ごとにおいて、『勝つことがなによりの薬』と言われていますが、この1ヶ月で3つの勝ち星を挙げることが出来た今、「うん、確かにそうだ」と、うなずいてしまう私がいます(笑)。

 

スタートは、10月23日、新潟の最終12R芝1000mのレースでした。

「千直は外枠が断然有利。外枠が欲しい」。

そんな願いが競馬の神様に通じたのかもしれません。私とディアナグランが引き当てたのは大外15番。馬が左にもたれるのをこれまで培ってきた技術と強い気持ちで懸命になだめながらのレースになったことを除けば、人馬ともに、合格点をつけられるレースでした。

調教では左にもたれることがなかったので、一瞬、「えっ!?」と思いましたが、こういうのは競馬ではよくあることです。勝ち負けはもちろん、大きく左にもたれると事故につながることにもなるので、頑張ってくれた馬に感謝です。

 

2つ目は、1週間後の10月30日、新潟8Rダート1200mに出走したナツイチバンとのコンビで挙げた勝利です。

「前半は好位につけて、直線勝負!」

レースは、ほぼ私が思い描いた通りの展開で進みました。唯一見誤っていたのは、ナツイチバンの気性面です。過去のレースを何度も見返して、ガムシャラに前に進みたがる馬なのかなと思っていましたが、それは私の思い違いで。すごく素直で、操縦性もバツグン! そのおかげで、最後の直線では、ギリギリまで待ってから追い出す余裕がありました。

会心の勝利と言ってもいいと思います。

 

3つ目の勝利をプレゼントしてくれたのは、11月19日、福島の最終12R、芝2000mのレースでコンビを組んだエニシノウタです。

「最後の末脚勝負になったら不利だから、先行抜け出しで行こう」

レース前に思い描いていたのは、こんな作戦でした。

ところが。向正面あたりから徐々に進出するはずが、前も横も塞がれて、身動きが取れません。

最後の直線、どうしようか? 悩んだのは一瞬です。

わずかな隙間をこじ開け、進路を外へ。すると、エニシノウタは私の想像を遥かに超える末脚を繰り出し、みるみる間に先頭に迫ります。

「勝った!」と思えたのは、ゴールとほぼ同時。気持ちのいい勝利に、心の中でガッツポーズをしていました。

 

もしかすると、3レースとも、見てくださる方の目には、あっさりと勝ったように映っているかもしれません。私自身、勝つときというのはこういうものなのかなぁという気持ちもあります。

なかなか勝てずに苦しかった時期と比べて、思いもレースに臨む準備もレース中にやっていることも、何ひとつ変わっていません。むしろ、デビューした当時や、2年目、3年目の頃と比べたら、技術もハートも一回り二回り進化しているという自負があります。

それなのに、勝てないときはどうやっても勝てない。結果が残せないことに忸怩たる思いがありました。

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