テレビブロス本誌で連載中のchelmico連載「キスがピーク」。第5回目にして初のゲストにお笑いコンビ・かが屋を迎えて同期同士のほぼ褒め合いのやさしいトークを誌上で繰り広げました(その模様は発売中のテレビブロス総集編特大号をチェック!)。ここでは、note版だけのスペシャル対談をお届けします!
取材&文/高木“JET”晋一郎 撮影/横山マサト 題字イラスト/小山ゆうじろう
目次
ダレン・シャンに血文字を書いちゃう派なchelmicoとかが屋
――chelmicoとかが屋は結成年が同じで、年齢もほぼ同世代ってことで、同期感のある対談になればいいなと。
かが屋 加賀:僕らが2014年に結成で。
Rachel:あ! 一緒だ!
加賀:初舞台が2015年の8月。
Mamiko:え! うちらのライブデビューとほぼ一緒じゃん!
かが屋 賀屋:世代も近いしね。
Mamiko:あれでしょ? 『上海ハニー』。
賀屋:ORANGE RANGEの!
Rachel:マミちゃんが冒頭を歌っ……。
Mamiko:(突然)「いいね快晴じゃん!」
Rachel:(すかさず)「雲一つないよ!」
加賀:反応が早い(笑)!
Rachel:前に会ったときにいきなりそういうくだりをやったら、かが屋の2人が即「『上海ハニー』だ!」って反応してくれて「あ! 同世代だ!」って。年上だと分かんなかったりするから。
加賀:いやいや、あれを年上の人の前でやんな!
賀屋:そんで会話中に急に歌い出すな!
Rachel:アハハ。あとマンガの話とかも合うよね。
加賀:好きなものも似てる感じがする。
Mamiko:ダレン・シャンとか読んでた?
加賀:読んでた! ラジオ(『でも、まだ土曜日』)で、レイチェルがダレン・シャンの本の最後に、血文字を書いてたって話は意味分かんなかったけど(笑)。
Rachel:ラジオ聞いてくれたんだ! ハリー・ポッターの魔法も超練習したし!
Mamiko:私も杖作った!
加賀:そういう近い景色を見てきた感じがする。だし、血で文字書いちゃう派か、書かない派かに分けると、かが屋は書いちゃう派な気もする(笑)。
Rachel:以前お会いした金属バットさんとはちょっと話がすれ違っちゃったもんね。対談が終わった後、お互いちょっと謝りあったもん(笑)。まあ、世代が違うからね。
加賀:いや、それはたぶん世代じゃなくて……。
賀屋:金属バットさんだからだと思う(笑)。
Mamiko:アハハ! でも、かが屋は世代もそうだし、波長が一番合う感じがする。
Mamikoがかの有名な岡田軍団に入った秘話が今、明かされる
――2組の面識が生まれたのは?
賀屋:最初は去年の春先に、2人が僕らのライブを見に来てくれて。
加賀:新宿バッシュ!!のライブだっけ? 60人ぐらいの客席に普通にchelmicoがいたんですよ、2人揃って(笑)。
賀屋:ただでさえめちゃめちゃ目立つのに、Mamikoちゃんの笑い声も響くし。
Rachel:しかもちょっと尾を引くの。みんなが笑い終わってもまだマミちゃんの笑い声だけ残ってる。
Mamiko:え、まじ。はずっ!
加賀:Rachelの声は、他の笑い声を掻き分けるようにして届いてくるよ。
Rachel:え、はずっ!
賀屋:そんな笑い声の届き方が違う2人が揃ってライブを見に来てくれて(笑)。
Rachel:そのときはマミちゃんも面識無かったの?
Mamiko:無い無い。チケットは普通に取り置きをお願いしたし。
加賀:だから「この人って……chelmicoだよね?」って(笑)。存在は知ってたし、音源も聞いてたから、当日に顔と名前見てビックリした。
Mamiko:その後に、かが屋の2人をchelmicoとスカートとの対バンにお招きしたんだよね。
Rachel:そのときにマミちゃんと加賀さんの参加してる岡田軍団も結成されたんでしょ?
――かが屋のWikipediaに、なかよしビクトリーズの岡田康太さん率いる岡田軍団のことが書かれていますね。構成員としてMamikoちゃんの名前もあって。
Mamiko:そんなこと書いてあるの!? みんな他にも書くことあるでしょ!
Rachel:chelmicoのリリース情報とか更新してよ(笑)!
加賀:軍団とはいえ、3回ぐらいしか集まったことがないし。
Rachel:絆よわっよわじゃん!
加賀:こないだも岡田さんに会ったんだけど、久々すぎて俺に対して岡田さん緊張してたもん(笑)。
Mamiko:岡田の方が先輩なのにね(笑)。
賀屋:え、ねえねえ、ちょっと待って。岡田って呼び捨てなの? 軍団長を(笑)?
加賀:僕も岡田さんに初めて会ったのが、chelmicoのライブなんですよ。お招きしてもらったら四千頭身の後藤くんが来てて、そのまま後藤くんに紹介してもらったんだけど、岡田さんはスマホ持ってないから、デカいiPadを耳に当てて電話してて。しかも身体が小さいからiPadで身体の半分ぐらい隠れてて(笑)。
賀屋:天才ITボーヤ登場だ(笑)。
Rachel:アッハッハ!!
加賀:そこからご飯を食べに行ったときに、「軍団とか無いんですか? 作ったら入りますよ」って軽い気持ちで言ったらメチャクチャうれしそうな顔するから(笑)。それで岡田軍団が出来たんですよ。
Mamiko:私も岡田から「加賀くんが軍団作ろう言うてるんやけど、他に仲良いのがごっちゃん(四千頭身:後藤)とマミちゃんぐらいやねん……」って寂しそうに言われたから、「じゃあ入りますよ?」って。そしたらいつの間にか軍団のLINEグループが出来てて(笑)。
加賀:全く動いてない軍団のLINEグループが(笑)。
Mamiko:軍団の誰かがテレビに出るときに情報が回ってくるくらいだよね。
賀屋:仲良し(笑)。そういう感じの縁ですね。
かが屋自身が「盛れてきた」のを自覚したのは…?
Rachel:ねえねえ、かが屋が「盛れてきた」って思ったのっていつ頃?
賀屋:いきなりぶっ込んでくるねえ(笑)。
加賀:盛れだしたのは、2017年の頭かな……。それまでは、誰からも面白いって言われなかったし、事務所にも注目されてなかったんだけど。
賀屋:2017年の頭に事務所ライブでやったネタがウケて、それがYou Tubeに上がったら、それを見た事務所の先輩がSNSで広めてくれて、口コミでも広がって……がキッカケだったと思う。そこから自分たちも意識が変わってきたしね。
Rachel:それまでは一切盛れてる感がなかったってこと?
賀屋:うん、全くなかった。
Mamiko:不思議~。あんなに面白いのに。お芝居も上手なのに。
(ニコニコしながら聞くかが屋)
Rachel:ねえ、めちゃくちゃうれしそうだよ(笑)!
加賀:そりゃうれしいよ(笑)。
Mamiko:コントで「全てを言わない」のがいいよね。
Rachel:私達もついつい歌詞で言い過ぎたり、説明しすぎちゃうときがあるけど……。
Mamiko:かが屋のコントは自分の頭で考えさせてくれるよね。
Rachel:うん。余白がある。
加賀:思ったより褒められた!
賀屋:もっとあるならいただきますけど(笑)。
Mamiko:あと喋らない「間」も好き。
加賀:それも理由があって。僕ら、他の芸人から嫌われるぐらい声が小さくて。それで「じゃあ喋らなくていいコントを作ろう」って思ったんだよね。
賀屋:電車に駆け込み乗車をするコントは、最後の一言しか喋らないんだけど、それはそういう逆算から出来てて。
加賀:最初はちゃんと大きい声出そうと思って、ネタ帳の色んなページに「腹式呼吸」って書いておいて、ノートを開くたびに目につくようにしてたり。でも全然意味なかったけど(笑)。
賀屋:片方とかじゃなくて、俺ら2人とも声小さいからね。
加賀:マセキのYou Tubeチャンネルに上がってる最初の頃の動画は、声が小さすぎてボリュームを最大にしても何を言ってるか自分たちでも聞き取れない(笑)。
賀屋:だから、最大音量のまま再生してて、そのまま他のグループのコントが始まると音が大きくてびっくりする(笑)。
加賀:コメント欄に「マセキ、マイクちゃんとセッティングしろよ!」って書いてあるんだけど、完全に俺らのせいだね(笑)。
chelmicoとかが屋、ユニット名のつけかた方式が同じ説
――逆に、かが屋から見たchelmicoの魅力は?
賀屋:2人の仲もいいし、見た目のバランスも素敵ですよね、金と黒(笑)。
Rachel:そこ(笑)?
加賀:chelmicoっていう名前もいい。お互いの名前の合成っていう。
Mamiko:そうそう、かが屋と同じ方式だもんね。
賀屋:あ、そうだったんだ!
Mamiko:え、知らなかったの? Rachelの“チェル”とMamikoの“ミコ”だよ。
賀屋:気づいてなかった……あ、chelmicoのマネジャーさんが全然笑ってない! すみません!
Rachel:ウチのアニキ(マネジャー)キレさせないで(笑)!
Mamiko:そ、れ、よ、り、曲わい!
Rachel:ラ、イ、ブ、わい!
――欲しがり圧が強い……(笑)。
加賀:最初に「ハイライト」を聞いたときから「良いに決まってるわ!」って思ったし、同じ世代でもし僕らがラップやろうと思ってる人だったら、むちゃくちゃ悔しいだろうなって。それぞれのキャラクターも立ってるし、見栄え的には凸凹な感じなんだけど、2人が見ている場所は近いから、曲になったときに、ピッタリ揃うんだろうなって。
賀屋:あと「POWER」を聞きながらスロット打つと絶対勝つ。
Mamiko:アッハッハ! うちらの曲スゴいじゃん!
Rachel:そんな効果が! 初めて聞いた(笑)。
賀屋:ちょっと知りたいんだけど、広辞苑って持ってる?
Mamiko:持ってないな~。
Rachel:持って「た」よ、過去形だけど。なんで?
賀屋:ラッパーの人ってみんな広辞苑持ってるイメージがあるんだよね。
加賀:おまえ見たことないだろう! ラジカセ担いで広辞苑持ってるラッパー(笑)!
賀屋:外には持ち出さないけど、家でこっそり持ってるのかなって(笑)。
Rachel:アハハ。広辞苑は持ってないけど、類語辞典とか、単語帳みたいなのは持ってる。
賀屋:歌詞に使う言葉とかってメモってるの?
Rachel:うん、思いついたらメモってる。
Mamiko:助かるよね、メモ帳って(笑)。日記も助かる。読み返して「こんなこと書いてるんだ、自分……よし、これを歌詞に」って(笑)。
加賀:歌詞ってどうやって書いてるの?
Rachel:普通にポエムみたいな感じかな。
加賀:歌詞ってどう思いつくのかが分からないって部分があって。コントと全く構造が違うから、作詞の構造自体が分からないし、なんでそんなことが書けるの?って。「もうしんどいわ!」ってならない?
Rachel:アハハ! どういうこと(笑)?
加賀:言いたいことがあって、それを意味が通る文章にして、しかも音として気持ちよくなるようにフロウを考えて、韻も色んなパターンで踏んで……とか、ラップの歌詞って考えるとゲロ吐きそうになっちゃう(笑)。
賀屋:数学みたいだよね。
Mamiko:でもそれが楽しいの。
Rachel:そうそう。それに、そういうルールに則らないと、逆に歌詞が書けないときもあって。
Mamiko:まずフロウから決めてって、それに合わせて言葉を考えて……。
Rachel:「メッセージはサビで回収!」とか、「お客さんに考えてもらおう!」とか(笑)。
俺らも体がグイングイン伸び縮みするMV撮りたい!(加賀)
賀屋:あと「Easy Breezy」がめっちゃ格好いい! 僕はアニメが好きだから、自分たちの作った曲がアニメの主題歌になるのって、ミュージシャンじゃなくてもすっごく羨ましい。どんな気持ちになるの?
Mamiko:いや~……めっちゃうれしいよ!!
Rachel:まじでうれしいよ!!
加賀:……そうでしょうね!
賀屋:いきなりマウント取らないで(笑)!
加賀:『映像研には手を出すな!』も、コント村っていう企画ユニット(注:ゾフィー;上田航平、ザ・マミィ:林田洋平、かが屋:賀屋壮也、ハナコ:秋山寛貴によるユニット)でずっと話題になってたし、だからchelmicoがそのアニメの主題歌をやるって聞いたときは、純粋にスゴいなって。しかも曲を聞いたら当然格好いいし、MV見ても「僕もグイングイン伸びたり縮んだりしたかった!」って(笑)。
賀屋:俺も増えたかった(笑)!
Mamiko:すみません~。お先に~。
Rachel:かが屋もああいう映像撮ってもらったらどう?
賀屋:またマウント取られた……(笑)。
Rachel:アハハ!ごめん。かが屋みたいに尊敬できる同世代にそう言ってもらえるとホントにうれしい!
加賀:chelmicoって「かましたろ!」感が強いっていうか。ちゃんと良いものを作って、自分たちの好きなもので勝負してる感じがカッコいいと思う。
Mamiko:ラッパーは男の人が多いからか、chelmicoも「フィメール・ラッパー」って言われることも多いんだけど、「フィメールってつけなくてよくね?」って思ったよね。
Rachel:いまは自分たちが満足出来るものをちゃんと出してれば大丈夫でしょ、っていうマインドだけど、負けん気はあるよね。
加賀:そういう強さは憧れる部分かな。
賀屋:加賀は気にするよね。俺はエゴサしても良いコメントしか読めない、批判コメントは透明になるように脳の仕組みを変えたんだけど(笑)。
Mamiko:素敵!
賀屋:でもこの前の『かが屋のオールナイトニッポン0』に対しては、コメントが透明すぎて息が止まるかと思った(笑)。
Mamiko:そんなこと無いよ! 面白かったよ!
加賀:僕はTwitter自体を見ないようにしてるんだけど、『ANN0』はハッシュタグで検索するルールがあったから、検索しては凹んでたんだけど。でも気になってつい見ちゃうのも嫌で、知り合いに頼んでパスワードを適当に変更してもらって、自分ではアプリを開けないようにしてる。
Rachel & Mamiko &賀屋:変な人!
加賀:声を揃えないで! ハモらないで(笑)! でも、chelmicoはラップだけじゃなくて、タレント性も強いし、オモロイから、ライバル心も感じるな。
Mamiko:かが屋の面白さには敵わないよ! 無理無理無理無理無理!
Rachel:ダメージダメージ!
賀屋:急にDA PUMPで返さないで(笑)!
加賀:あと「if…」の「ダメージダメージ」のパートはあんまみんな歌わないから(笑)!
Rachel:やっぱり分かってくれるのは同世代だからだね(笑)。
賀屋:全国に、chelmicoに憧れてる子ってめちゃいると思うな。
「かが屋以前、以降」って絶対にあると思う!(Mamiko)
Rachel:もし本当にそんな子がいたらうれしい! かが屋に憧れてる人も多そうじゃない?
Mamiko:お笑いで「かが屋以前、以降」っていうのは絶対あるよね。スタイルがスゴいから、かが屋がいなかったら生まれなかった新しいお笑いとか絶対あるよ。
加賀:そうなの?
Mamiko:あるって!
Rachel:あるの!
Mamiko:シーンをかが屋が引っ張るようになるんじゃない?
賀屋:ホントに?
Mamiko:なるって!
Rachel:なるの!
加賀:「ありがとう」って言う隙間もない(笑)! 僕らもchelmicoと一緒にがんばりたいよね。
Mamiko:音楽番組やろっか、4人で。
Rachel:司会がかが屋で、毎回ゲストうちらでどう?
加賀:……じゃあ全員レギュラーでよくない(笑)?
プロフィール
ちぇるみこ●RachelとMamikoによるラップユニット。2014年に結成、インディーでの活動を経て、2018年にメジャーデビュー。キュートでフレンドリーなキャラクターと、丁寧に作られた楽曲と硬質なラップスキルで大きな注目を集めている。最新シングル「ターミナル着、即ダンス」が配信中。http://chelmico.com/
かがや●加賀翔と賀屋壮也によるお笑いコンビ。2014年に結成。『キングオブコント2019』ファイナリスト。高い演技力を活かした日常コントで人気を集める。RCCラジオ『かが屋の鶴の間』にレギュラー出演中。
https://www.youtube.com/channel/UCW3V11YgOJ0mz886m0lrXCw
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