高畑充希“水10ドラマ”に再び挑むその想い「ドラマに出るのって幸せだなって思いました」【『ムチャブリ!』インタビュー】

 高畑充希が「日テレ水曜10時」に帰ってくる。民放ドラマ初主演作で大ヒットしたドラマ『過保護のカホコ』では家族に愛されすぎるが故にピュアで世間知らずの大学生、ドラマ『同期のサクラ』では忖度知らずで自分の考えを貫き通すOLを演じ、視聴者に大きなインパクトを与えた。

どちらも高畑演じる主人公のまっすぐな姿が視聴者に感動を与えてきた名作だが、2022年1月12日スタートの主演ドラマ『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』(日本テレビ系)は、これまでの2作とは打って変わって純度100%のコメディドラマだという。インタビューでは、彼女にとって縁の深い「水10ドラマ」への想いを語ってもらった。

撮影/友野雄 文/近藤加奈子

笑えるシーンほどピュアな気持ちで取り組みたい


──今作に出演する意気込みをお願いします

高畑:近年はコロナ禍ということもあり、もともと好きだったドラマを以前よりも観るようになったのですが、その中で今作のような明るいコメディ作品を自分は欲していました。今作は「日本テレビの水曜10時」らしい王道コメディで、主人公はお仕事を頑張っているし、その中で胸キュンな展開もある。そして自分自身、そんな作品に挑戦したいと思っていたので、とても楽しみです。

──脚本をお読みになられてのご感想を教えてください。

高畑:私が演じるのは高梨雛子というキャラクターなんですが、彼女ってすごく普通というか、等身大の女性なんですよね。仕事はやることだけやって、あとは自分の時間を楽しみたい人って、リアルでも沢山居ると思う。このドラマを観てくださる方もきっと私と同世代の方が多いと思うのですが、そういう人間の少しダメな部分を描いているからこそ共感できたし、面白いなと感じました。

──高畑さん演じる・雛子との共通点はありますか?

高畑:シリアスな場面に追い込まれても、どこかヘラヘラしてしまう所は共通点かもしれません。私も笑ってはいけない場面でなぜか笑ってしまうタイプなんですが、雛子の可笑しさはそういうところかなと思います。でもそんな等身大のキャラクターでいることが、ドラマに緩さを与えてくれていると思うので、雛子の個性を大事にしながら演じていきたいです。

──今作に入るにあたり、何か準備したことはありますか?

高畑:ん〜なんだろう?  …あ、髪を切りました(笑)。雛子はちょっとマニッシュなキャラクターにしたかったので、髪の毛はいつもより短くしたんです。あと、せっかく日本テレビの水曜10時枠のドラマをやらせていただくし、どうせなら服とかも見た目も楽しめるものが良いなと思い、衣装さんやメイクさんと相談しながらいろいろ模索中です。

──髪を短くしてご自身の満足度はいかがですか?

高畑:本当にドライヤーが一瞬で済むので、すごく満足しています(笑)。

──ドラマでは高畑さん演じる雛子を取り巻くキャラクターに、仕事はデキるがクールで無愛想、そして雛子になぜか突っかかる、上から目線のナマイキ部下・大牙涼(演:志尊淳)、カリスマ社長の浅海寛人(演:松田翔太)らが登場します。高畑さんは「先輩・後輩と仲良くやっていくコツ」はなにかありますか?

高畑:なんだろう…。「ありがとう」って積極的に言うようにしています。何かやってもらった時につい「すみません」って出ちゃうじゃないですか?  でも自分自身、何かをしてあげた時に「すみません」と言われるのがそんなに嬉しくないから、「ありがとう」を使うようにしています。こっちのほうがみんなハッピーかなって。

──高畑さんは、今作が放送される「日本テレビの水曜10時」の枠で『過保護のカホコ』『同期のサクラ』の2作でインパクトの強い主人公を演じられましたね。この「日テレ水10」の枠での思い入れはやはり強いですか

高畑:民放ドラマで初めて主演をやらせてもらったのがこの枠で放送された『過保護のカホコ』で、いろんな世代の方が毎週楽しみに観てくださって嬉しかったし、ドラマに出るのって幸せだなって思いました。そんな『過保護のカホコ』然り、その後の『同期のサクラ』でもそうなんですが、私は20代でわりとパンチのある役をやる機会に恵まれていたと思います。でもこれは自分で選んだわけではなく、たまたまそうなっただけなんですけどね(笑)。私にとって日本テレビの水曜10時枠といえば、等身大のアラサー女性の王道コメディというイメージが強いです。そんな枠で、再び新たなコメディ作品に挑戦できるのは、年齢的にも自分にとってプラスの経験になるのかなと思います。

──この枠で高畑さんが主演された2作が高く評価されていたので、今作に対する視聴者の方々の期待も高いと思うのですが…この枠で再び主演することにプレッシャーは感じますか?

高畑:枠へのプレッシャーはありませんが、今作のようなコメディで役を演じるのが一番難しいと思っているので、“ちゃんと視聴者と面白さを共有しながら作っていけるのか”という点でけっこうプレッシャーを感じています。内容としては軽い気持ちで観られる作品なんですけど、演じる側の印象としては緻密に丁寧に作っていきたいな、と思っていて。こういう作品だからこそ丁寧に出来ればと思うのですが、正直自分にできるか不安もあります。けど、楽しみでもあります。

──高畑さんがこれまで演じた『過保護のカホコ』の加穂子や『同期のサクラ』のサクラは本人は真面目だけど、どこか世間ズレしているのがチャーミングでコミカルなキャラクターでした。これまでの出演作でのお芝居を見ていると、てっきりコメディは高畑さんの得意分野なのかと…!

高畑:いや〜、コメディこそ本当に難しいと思います(笑)。笑わせようと思った瞬間、面白くなくなるんですよ。だからこそ、コメディは一生懸命にやらないといけないんです。笑えるシーンほどピュアな気持ちで取り組みたいと思っているんですけど、それがとっても難しい!(笑)。

──2021年はミュージカル『ウエイトレス』、主演ドラマが2作、公開された映画が3作、そして今作の撮影が12月から始まり、非常にお忙しい一年でしたよね。

高畑:2021年はすごく仕事をしていたように見てもらえるかもしれないんですが、実はめちゃくちゃ休んでいた年でした。というのもその前の年に撮影した作品の公開がたまたま重なったからなんです(笑)。2021年は『ウェイトレス』という舞台と、WOWOWドラマ『いりびと-異邦人-』が終わってからはずっと休んでいました。なのでプライベートはすごく充実していました。

──そうだったんですね。プライベートではどんなことをして過ごされましたか?

高畑:毎年お休みをいただく際は、2ヶ月くらいもらうようにしているんですが、そうすると大体海外に行っていました。でもコロナ禍で海外に行けないのもあり、自分の家で異業種の友達と遊ぶことが多かったです。あと私、ずっと外で知らないものに触れることが楽しいタイプで自分のことには全然興味がなくって。だけど一昨年の2月にエッセイを書き始めたことをきっかけに、自分をよく知るようになりました。「え、私ってこういう人だったんだ!」って。そういう意味でいつもとは違う時間を過ごせてすごく楽しかったです。

──高畑さんは先日、30歳を迎えたばかりですが、20代を終えて現在の心境はいかがですか?

高畑:私の中で30歳ってなぜかポジティブな印象が強いんです。20代ももちろん楽しかったけど、やっぱり新しく経験することが多すぎて、常にフル回転でいっぱいいっぱいでした。振り返ると当時は自分に何が合っているのか、あまりよく分からないまま、仕事があって、演じる役がある喜びから突っ走ってきたけど、今はそういうのも落ちついてちゃんと楽しめています。それと自分の人生がすごく面白くなってきている感じがあるので、30代はもっといろんな人に出会いたいし、いろんな場所に行きたい。できれば海外にも行きたいし、そんな自分を良いなと思えるようになってきました。

──ご自身の中で今の仕事とプライベートのバランスがすごく良いんですね。

高畑:そうですね。あと昔は実年齢より下に見られることが多かったし、20代はそれが本当にコンプレックスだったんです。でも最近は本当に若く見られるのが、嬉しくて嬉しくて(笑)。それも20代からの心境の変化だし、大きなことですよね(笑)。

【Profile】
高畑充希(たかはた・みつき)
●1991 年12月14日生まれ、大阪府出身。 2005 年、山口百恵トリビュート・ミュージカル「プレイバック part2 〜屋上の天使」のオーディションでグランプリを獲得し、デビュー。2022年2月11日に、2年をかけて全編書き下ろしたエッセイ15本と撮り下ろし写真を含めた初のフォトエッセイ「穴があったら入ります」を発売予定。同時期に展覧会「穴があったので、入ります」をPARCO MUSEUM TOKYOにて開催予定。5月より、舞台『奇跡の人』にてアニー・サリヴァン役、7月夏にはミュージカル『ミス・サイゴン』にてキム役での出演が決まっている。

【番組情報】
『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』
●日本テレビ系 1月12日午後10時スタート

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