去年何聴いた?今年何聴く?/小林千絵【2022MUSIC特集】

2021年、どんな音楽を聴きましたか? 音楽ライターの皆様に、昨年よく聴いた楽曲と、今年注目している楽曲やアーティストについて執筆いただきました。あなたの生活に寄り添い、心に機微や彩りを与えてくれる音楽との出会いが今年も訪れますように。全5回の連続企画でお届け!

文/小林千絵

2021年はTV Bros.さんとお仕事をさせてもらうようになったので、すごく良い年でした。
ありがとうございます。2022年もよろしくお願いします。
さて、そんなTV Bros.さんから「2021年によく聴いた楽曲」というテーマをいただきまし
た。社会情勢や他エンタメも含めた潮流と絡める……こともなく、言葉通り、私が2021年
によく聴いた作品を紹介させていただきました。その結果、偏りのある一方でとりとめも
ないラインナップになりましたが、個人的には“そのアルバムを携えたレコ発ライブも良か
った”作品が並んだなと感じています(「SNS」のみレコ発ライブではないですが)。

Da-iCE『SiX』

2021年に飛び抜けてよく聴いたアルバムの1つがDa-iCEの『SiX』。第63回日本レコード大賞を受賞したことで話題になった「CITRUS」も収録されたアルバムだ。彼らは12月31日のライブ(「Da-iCE Year end show 2021」)のステージ上で「レコード大賞はあくまでも『CITRUS』という楽曲に贈られた賞なので、Da-iCEとしても認めてもらえるように活動をしていきたい」と、悔しさもにじませながら謙虚に語っていたが、彼らの音楽性の高さが証明された結果であることは間違いない。

 

「CITRUS」は2020年に始まった6カ月連続リリース企画の一環で発表された楽曲である。この6カ月連続リリースはテレビアニメ「ONE PIECE」の主題歌『DREAMIN’ ON』から始まり、『amp』『image』『CITRUS』『EASY TASTY』のシングル5作と、それらを収録したアルバム『SiX』の計6枚。“五感で感じるエンターテインメント”がコンセプトで、さらにシングル5作には「Da-iCE」の5文字をそれぞれの楽曲タイトルの頭文字にするという“お題”が付いた。このシングル5曲の作詞と一部作曲を、メンバー自身が手がけているのだ。例えば花村想太と工藤大輝が作詞した「CITRUS」は“嗅覚”がテーマで、<路地裏の香り>や<絆されてしまったシトラスの香り>など、嗅覚を思わせる単語をモチーフに感情や情景が描かれる。「amp」では工藤が“聴覚”をテーマに、大人の恋愛を描写。しかも前作『DREAMIN’ ON』のカップリング曲「Found it」の続編になっているという巧みさだ。

 

軽快なシティポップ「EASY TASTY」、ソウルフルでグルーヴィな「Special One」など、サウンドが芳醇であることも『SiX』において特筆すべきポイント。さらに工藤と田邊駿一(BLUE ENCOUNT)がコライトした「Revolver」や、内澤崇仁(androp)が提供した「Love Song」も収録されており、ロックサウンドとの融合も楽しめる。ちなみにこのアルバム、「Love Song」以外はすべてDa-iCEメンバーが作詞もしくは作詞作曲に関わっているのだから、もはや「ダンスボーカルソングライティンググループ」とでも呼びたくなる。

 

ここまで楽曲に着目してきたが、彼らの主戦場はライブ。ダンスボーカルグループである以上、パフォーマンスをもって初めて楽曲が完成する。個人的な話だけれど、2021年にもっとも多くライブを観たのもDa-iCEだった。なおDa-iCEは今年2月にコンセプトEP『REVERSi』のリリース、夏には『REVERSi』を携えたアリーナツアーが決定している。2022年も彼らの快進撃に注目していきたい。

 

Hump Back『ACHATTER』

もう1枚、2021年によく聴いたアルバムがHump BackのACHATTER。このアルバムが、快作だ。Hump Backの作品はインディーズ時代から聴いてきているが、今作ほど開けた作品は初めてのように思う。しかもそれが今の彼女たちによく似合っている。

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