リクオ×有山じゅんじ PART2「その時、感じたままに演る、それがライヴだって教えてもらった(リクオ)」【不定期連載「旅と酒とブルーズと」第1回】

“ローリング・ピアノマン”リクオと関西ブルーズ/ソウルの重鎮、有山じゅんじとの、いわば師弟対談のPART2。まだまだ2人のツアーあれこれは続きます。今回は90年代半ばに上田正樹、有山じゅんじ、リクオで行なったツアーの話を中心に聞く。そのツアーの演目の中心は、1975年に上田正樹と有山じゅんじ名義で発売された名盤『ぼちぼちいこか』の、ペーソスあふれるラグタイム・ブルーズだったという。さぞかし濃密な日々だったことだろう。観てみたかった。それ以降、この3人が顔を合わせるのはずっと先。2019年1月の「新春!南吠える!!」までなかったが、つい先日、高円寺・JIROKICHIでのリクオのライヴに上田正樹がゲストで出演、圧巻のパフォーマンスが評判になったばかりだ。そんな3人の関係性も窺える話をお楽しみください。

取材・文/染野芳輝

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有山「俺はリクオのアコーディオンが好きやってん。テクニックだけじゃなく、気持ちがな、入ってんねん」

ーー僕は最近まで知らなかったんですけど、90年代の半ばに上田さん、有山さん、リクオさんでガッツリ、ツアーをやってたんですね。

有山じゅんじ そうやね。キー坊(上田正樹)と一緒に『ぼちぼちいこか』をやるツアーで、メンバーはキー坊、僕、ピアノのリクオ、ヴァイオリンの本地陽子(HONZI。2007年没)。その4人で北は北海道の朝日町やったかな、雪が天井よりも高く積もってるような所から、南は鹿児島まで延々と。けっこう大きなホールとかでかなりの本数やったなぁ。

リクオ やりましたねぇ。まだ音楽バブルが続いてる頃でしたけど、あれも僕にとっては貴重な経験で。だって『ぼちぼちいこか』は大好きなアルバムで、そのお2人と旅をして演奏できるわけですから。夢のようというか。でも、有山さんとやるライヴって毎回毎回、違うわけですよ。曲も曲順も決まってなかったり、途中で変わったりする。それは、場の空気を受け入れて……。

有山 いや、場の空気とかとちゃうで。単なる気まぐれや(笑)。ごっつ迷惑かけてると思うけどな。

リクオ 迷惑ちゃいますよ。びっくりはしますけどね。その時、感じたままに演る、それがライヴだっていうことを有山さんから教えてもらったと思ってるんですよ。

有山 そうか? でも、リクオはきっちりした男やから、ちゃんとリハをやりたいタイプやろ? 俺はちゃうねん。まぁ、どっちもできたら一番いいんやけどな。

リクオ 僕の基本的な性格は石田さんに近いんで、流れを決めて演るのが基本的なやり方だと思うんですけど、ソロでツアーを回る時は曲順はしっかり決めないんですよ。ある程度流れを決めている時も、そこから逸脱することを楽しんでます。こういうスタイルになったのは間違いなく有山さんの影響ですね。

有山 でもな。俺も前の晩には一応、考えるんやで。曲順とか。でもな、次の日になると嫌になってしまうんや。なんか、縛られるみたいでな。で、全部チャラにしてしまう。自分独りならなんとでもなるから。

リクオ でも有山さん、こう見えてもちゃんと譜面書けるんですよ。

有山 一応、ブラスバンド部やったからね。

リクオ それができたうえで壊すというか。要するに、その時の自分の気持ちに従うっていうことですよね。上田さん、有山さんとツアーした時も、一度もスタジオに入ってリハとかしなかったですね。だから、すごく鍛えられたし、ライヴってこういうもんなんだということがよく分かりましたね。演奏してると上田さん、めちゃくちゃ人の音聴いてますからね。

有山 俺なんか聴いてへんけどな(笑)。

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