古川雄輝『劇場版 ねこ物件』インタビュー「自分も人とコミュニケーションを取るのが苦手で、コンプレックス。 自分は、優斗そのものです」

2022年8月5日に公開される映画『劇場版 ねこ物件』。今年4月に放送された連続ドラマ「ねこ物件」の最終回のその後を描いた続編だ。

              

今作で主人公・二星優斗を演じる古川雄輝にインタビュー。自身も猫好きで今作のような「猫映画」への出演は長年の夢だったとのこと。猫への熱い想いとともに今作の制作エピソードについて語ってくれた。(インタビューの最後には直筆サイン入りポラの抽選プレゼント企画も実施中。詳しくは【プレゼント情報】欄をご覧ください。)

取材・文/編集部
撮影/倉持アユミ

【Profile】
古川雄輝(ふるかわ・ゆうき)
●1987年12月18日生まれ、東京都出身。近年の出演作に映画『思い、思われ、ふり、ふられ』『リスタートはただいまのあとで』など。2022年は「ねこ物件」を始め、「liar」「神様のえこひいき」「嫌われ監察官 音無一六」と既に4本の連ドラに出演。

       

人とコミュニケーションを取るのが苦手で、コンプレックス。自分は、優斗そのものです


━━今作の映画では、ドラマ版の最終回のその後が描かれています。劇場版の見どころはどんなところでしょうか?

古川:ドラマ版では主人公・優斗が成長していく姿が描かれていて、その中で「優斗はなぜ『猫付きシェアハウス』を経営しているのか」「実は弟がいるんじゃないか」などの伏線が散りばめられていました。劇場版ではその伏線が全て回収されるので、ドラマ版を見ていただいた方は劇場版をご覧いただくと、よりスッキリするんじゃないかなと思います。自分も劇場版の台本を読んでいて、ドラマ版とはまた違ったテイストがあって、とても面白かったですね。

━━私は犬派なんですが、犬派が見ても楽しめますか?

古川:そうですね(笑)。タイトルこそ「ねこ」と入っていますが、今作で魅力的に取り上げられているものの一つに「グルメ」があって、食べ物のシーンも相当な時間をかけて撮影しています。すごく美味しそうな料理がたくさん出てくるので、かわいい猫はもちろん、それだけではない「癒し」を感じていただけると思います。

そして、もう一つの見どころは主人公・優斗が成長する姿がしっかり描かれているところです。人とコミュニケーションが取れない、働いたことがない社会性ゼロの主人公が外の世界で働いたり仲間をつくったり、人間模様もちゃんと描いています。だから猫が好きじゃなくても、きっと楽しんでいただけると思いますね(笑)。

                 

━━古川さんが演じる主人公・優斗はコミュニケーションを取るのが苦手で不器用なキャラクター。個人的には古川さんとかけ離れているようなキャラクターだと感じたのですが、優斗にどんな印象をお持ちでしたか?

古川:自分は優斗そのものです(笑)。今も、こういう取材だから話せているだけで、コミュニケーションは苦手で…。対人関係が苦手で猫が好きになる人も少なくないと思うんですけど、どちらかと言えば、自分もそのタイプです。人と会話をするのが苦手なので、優斗の気持ちはすごく分かります。

でも今作は自分が主演で、物語の舞台もわいわいとしたシェアハウスですし、それに出演者の中で最年長の自分がだんまりだと流石に怖いだろうから自分から話しかけるようにしました。みんなも自分以上に人見知りだったんですけどね(笑)。

━━今作では年下のキャストに囲まれていますが、『ハラスメントゲーム』(テレビ東京)では唐沢寿明さんと、『天 天和通りの快男児』(テレビ東京)では岸谷五郎さんなど、これまで歳上の役者の方とタッグを組んでいる印象があります。今作のような年下に囲まれるような作品はこれまであまりなかったと思いますが、若い俳優の方と接してみて、いかがですか?

古川:難しいですね(笑)。自分は今、微妙な年齢にいて。この作品に入るまで後輩がたくさんいる現場にいたんですけど、その次に入った『嫌われ監察官 音無一六』(テレビ東京)では60〜70歳の大先輩の方々といっしょに作品を撮って、急にそこでは後輩になって。それを比較すると、後輩の立場でいる方がいやすかったです。もちろん面倒を見ていただける立場だということもありますが、若い俳優は良い意味でも悪い意味でもギラギラしていて。それに対して、60〜70歳の先輩方は変にギラギラしていないですし、尊敬できる部分も多いです。

━━とはいえ年下の俳優と共演する機会も今後、増えてきますよね。

古川:だから「どうしようかな〜」って思って(笑)。もちろん年上のマナーとして自分から声をかけるということは意識しているんですけど、そこでまた困るのが自分たちの世代と下の世代で、考え方が少し違うんですよね。ただ下の世代の空気感もあるから自分の世代の考え方を一方的に押し付けずに、そこも尊重するようにしています。

━━今作での共演者の方とは、どんなお話をされたんですか?

古川:細田佳央太くんが撮影期間中に20歳の誕生日を迎えられたのでプレゼントを贈ったんですけど、その時に「どんなお酒がオススメですか?」って、ずっと聞いてくるので、教えました。実はその時、細田くんはその会話から自分がどんなお酒を好きなのか、彼はいつの間にか聞きだしていて。自分も撮影期間中に34歳の誕生日を迎えたときに、そのお酒をプレゼントしてくれました。20歳になりたての子で、そんな気遣いができるなんて凄いですよね(笑)。細田くんは出演者の中で最年少だったんですけど、すごく大人の子なんです。

            

「猫ファースト」で挑んだ撮影現場


━━古川さんは猫を題材にした作品に参加するのが念願だったというほどの猫好きとのことですが、猫の魅力に気づいたのはいつ頃でしょうか?

古川:好きになったのはこの仕事を始めてから、22〜23歳ぐらいの頃だったと思います。実は6歳ぐらいの頃、初めて猫を抱っこした時に耳を噛まれて猫が怖くなって(笑)。ずっと犬が好きだったんです。でも大人になってから、友人の家にいる猫と改めて触れ合っているうちに「すごく頭が良い生き物だな」と気づいて、そこから興味を持つようになって。動物全般が大好きなんですけど、今では猫が一番好きです。この作品のセリフでも「その子特有の性質が好きです」というセリフがあるのですが、自分も猫のそれぞれの性格が大きく異なるところに惹かれます。

━━現在ではご自身も猫と一緒に暮らしているとお聞きしました。

古川:今、2匹飼っているんですけど2匹とも性格は全然違います。上の子は鼻が詰まっているせいか「にゃー」ではなく「プスッ」と鳴くんです。いつもはノロノロした猫なんですけど猫同士が喧嘩していると、すごいスピードで走ってきて喧嘩を止めるんです。そういうのを見ると、普段はゆっくりなのに正義感があってかわいいなと思ったり(笑)。

もう1匹の猫は、もともとは迷い猫で拾った猫なんですけど、ペットショップにいる猫よりも美人でスタイルが良くて(笑)。上の子に悪さをしたりするような、やんちゃな猫なんですけど、野良猫なのに抱っこは嫌がらないんですよね。   

━━古川さんは猫好きの観点から、撮影時も「猫ファースト」で猫にストレスがかからないように、撮影中は積極的に提案をされたんですよね。

古川:そうですね。基本的に猫は家に住んでいる動物なんです。だから猫好きとしては、撮影で家の外へ連れていくこと自体、反対だったんです。だけど物語としてどうしても撮影しなければいけないシーンもある中で、作品とリアリティを両立しながら可能な限り猫の負担にならないようにしようと思って。猫を飼っている立場から気づいたことは伝えるようにしました。

━━具体的にはどのような提案をされたんですか?

古川:例えば、セットの部屋に観葉植物が置いてあったので「猫を飼っている部屋に観葉植物が置いてあるのはおかしいです。倒れたら猫が潰れて死んでしまう可能性があるのでこれは外しませんか?」とか伝えたり。スタッフの方も、全員が猫の扱い方を分かっているわけではなく、悪気なくカチンコを「よーい、スタート!」と大きく鳴らす方もいたので「猫を怖がらせてしまうのでそれは静かに鳴らしてください」とお願いをしました。

ただ今作に登場してくれた猫ちゃんは素晴らしくて。最初は緊張していたんですけど、すぐに慣れてリラックスするようになり、甘えてくれたり寝てくれたので、撮影もスムーズにできたと思います。

━━そのような意見を言うことは勇気がいることだったと思うのですが、躊躇いはなかったのでしょうか?

古川:自分は性格上、言うタイプなんです。もちろん意見を言わない方が撮影もスムーズに進むし、自分にとっても楽だし、人からも嫌われないと思います。そこで自分が嫌われないようにするか、作品を良くしたいか、どちらを優先するのかは人によりますし、難しい問題だと思います。ただ自分は今作に限らず、自分が疑問に思ったことは必ず聞きに行くようにしていて。だから今作でも「猫を飼っている立場としてこう思う」と感じたことは伝えるようにしました。

━━『天 天和通りの快男児』でもご自身が麻雀好きということから強いこだわりを持って作品に臨まれていた印象があります。作品づくりにおいて積極的に意見を伝えるというスタンスはお変わりないですか?

古川:変わってないんですけど、自分では変えていきたいなと思っています(笑)。その方がことがスムーズに進むこともありますし、その60〜70歳代の方々と共演させていただいて、仕事の進め方においても自分が上手くない部分についてアドバイスをいただけたり、すごく人柄が素敵なんです。役へのストイックさは変えられていないんですけど、先輩方の振る舞いを見ていると自分は「上手くやる」ということをできていない気がして。少しずつそれを取り入れていくことで、いい方向に変えていきたいと思っています。

━━その役や作品への強いこだわりは今作のクオリティにも繋がっていると感じているので、ご自身でそのように悩まれているのは意外でした。

古川:この熱量もご一緒する相手の受け取り方次第では、上手くいかないこともあるんです。自分を受け止めてくれる監督さんだったら、すごく上手くいくんですけど、時に諦めずに頑張って意見を伝えようとすればするほどトラブルにつながりかねないこともあって。不器用だから性格を変えることはできないんですけど、この仕事を続ける以上、いろんなタイプの方と上手くやることも大事だと思っていますね。

━━お話ししてみて、古川さんはご自身のことを不器用だとおっしゃっていますが、世間では古川さんは高学歴で頭脳明晰、イケメン、高身長…というように完璧なイメージを持つ方も少ないと思います。ご自身の捉え方と世間のイメージとのギャップについて、どのように感じていますか?

古川:良い大学を卒業したことや帰国子女という経歴だけで「頭が良い」と思われているのは感じます。だから自然と頭が良い役のオファーをいただくんです。そして作品を見た人は役と役者を重ね合わせて見るから、勝手に頭が良いというイメージが定着する…。だから自分は本当は器用な人間じゃないのに、今おっしゃっていただいたようなイメージを持たれるのかもしれません。

━━役と役者を重ね合わせて見る…。確かに好青年役を演じた俳優がプライベートでタバコを吸っているだけで「幻滅した」と言われていたりしますね。

古川:良くも悪くも役の印象に引っ張られてしまうというのは、役者あるあるですね(笑)。ヤクザの役しかやってない人が「実は良い人だった!」みたいなことを言われたり(笑)。

━━先ほど年上の方と共演されて「尊敬する部分が多い」とおっしゃっいましたが、それは具体的にどんな部分でしょうか?

古川:小日向文世さんは素晴らしい方で、小日向さんのことを悪く言う人はいないと思います。撮影中にも自分がある演出に納得できないことがあったんです。その時、小日向さんにアドバイスをいただいて。撮影が終わった後にも「自分も脇役をたくさんやってきたからその気持ちは分かるよ。でもああいうふうにすれば、上手くいくこともあるから。でも言いたいことは言った方がいいよ、頑張ろうね」とおっしゃっていただいて。あんな大先輩なのにわざわざ声をかけてくれる、その人間力は吸収できたらいいなと思っています。


【作品情報】

『劇場版 ねこ物件』

2022年8月5日(金)より
新宿ピカデリーほか全国公開 

出演:古川雄輝 細田佳央太 上村海成 本田剛文(BOYS AND MEN)松大航也 金子隼也 山谷花純 長井短 竜雷太 

監督・脚本:綾部真弥 

主題歌:『Bell』歌:SPiCYSOL(ワーナーミュージック・ジャパン) 

制作プロダクション:メディアンド
企画・配給:AMGエンタテインメント
配給協力:REGENTS
製作:「ねこ物件」製作委員会(C)2022「ねこ物件」製作委員会/2022/日本/94分/カラー/ビスタ/5.1ch/G 

               

映画『劇場版 ねこ物件』予告


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