「すべてが非凡で素晴らしい映画」キアヌ・リーブス インタビュー『マトリックス レザレクションズ』【2021年12月映画特集】

まるで『ジョン・ウィック』の撮影現場から抜け出してきたような長髪&髭スタイルでシリーズ最新作『マトリックス レザレクションズ』に出演し、4度目のトーマス・アンダーソン/ネオを演じたキアヌ・リーブス。三作目『マトリックス レボリューションズ』から18年を経て、トーマス・アンダーソン/ネオに何が起きたのか⁉

取材・文/渡辺麻紀

©2021 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

「脚本は驚きの連続だった。みんな、つまりトーマス・アンダーソンもモーフィアスもかつての彼らじゃなくなっていたし、トリニティーに至っては名前まで変わってティファニーになっていた。でも、それでいてちゃんとマトリックスしているんだ。そこに書かれた多くの要素に僕は深く共鳴した。とりわけ、ネオの“マトリックスとは何か?”という根本的な問いかけにね」

 

キアヌを唸らせた脚本は、監督を務めるラナ・ウォシャウスキー。彼女が映画化した『クラウド アトラス』の原作者デビッド・ミッチェルらとの共作になる。ラナは、両親を亡くして失意のどん底のとき、頭に浮かんだのがネオとトリニティーの新しい物語だったという。

 

「ラナにとってネオとトリニティーはとてもとても大切な存在なんだ。彼女は、ふたりの繋がりをより深く掘り下げたいから“マトリックス”の世界に戻ってこの作品を作りたいと話していた。ふたりに対する愛情が4作目を作る理由と推進力になったんだよ。ラナはネオとトリニティーを愛している。そして、愛は彼女にとって絆のなかでも最強なんだ」

 

ティファニー/トリニティーを演じているのは、もちろんキャリー=アン・モス。ふたりが顔を合わせるのも18年ぶりになる。

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「キャリー=アンとはずっと連絡を取り合っていた。何というか、やっぱり特別なんだと思う。共演するたびに、人知を超えた不思議な力が湧いてくる感じなんだ。何と言えばいいかわからないけど、ひとつの目標に向かって突き進む同志のような存在かな? 本当に彼女との久々の共演は感無量だった」

 

もうひとり、キアヌにとって特別な人物も本作に登場する。チャド・スタエルスキ。『マトリックス』のトリロジーでキアヌのスタントダブルを務めて意気投合し、ふたりして作ったのが『ジョン・ウィック』シリーズだからだ。

 

「今回、チャドが役者として出演することになって、僕たちは大喜びしたんだ。ラナと一緒に再び『マトリックス』を作ることが、どれだけワクワクすることなのか、ふたりして話していた。しかもチャドの役は、ラナが彼のために書き下ろしたものなんだから!」

 

チャドが演じているのはティファニーの夫。これをメタふうに解釈すると、「キアヌのスタントダブル、もうひとりのネオがトリニティーである女性の伴侶になっている」ということになる。なんとも粋な“遊び”ではないか!

 

「チャドの出番は少ないんだけど、彼は現場に何度も来て、ラナの撮影を見学していた。というのも彼女の撮影スタイルは前3部作のときと激変したからなんだ。これまではモニタの前にはりついていたけど、今回はモニタを背に立っていた。自然光を常に考えていて、それをベースに創意工夫を施す感じ。そして、僕たちがもっとも驚いたのがアドリブだよ。撮影のプロセスはきっちりと踏むのだけれど、本番になると『さあ、ご自由に!』って感じになる。僕とチャドは、ラナのその激変に驚かされた。そしてそれは、僕たち言わせれば、変化じゃなく“進化”なんだよ」

 

ラナがそこまで変わったのは『クラウド アトラス』で組んだカメラマン、ジョン・トールの影響だという。トールはこれまで『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』と『ブレイブハート』で二年続けてアカデミー賞撮影賞に輝く大ベテラン。彼が自然光の威力をラナに教えたようなのだ。

 

「今回、本当に久しぶりに『マトリックス』の世界に戻ってきて思ったのは、いかにこの作品が僕にとってスペシャルかということ。キャラクターも、彼らが紡ぐストーリーも、そして彼らが身を置く世界観も。すべてが非凡で素晴らしい。実際、役者としてこういう映画、こういうキャラクターに出会える機会は、まずない。最高だよ」

 

再び『マトリックス』の世界を満喫したキアヌの次の作品は、チャド・スタエルスキと組んだ『ジョン・ウィック4』。もちろん、本作の続編もあるかもしれない。『マトリックス』で生まれた絆はしばらく続きそうだ。

 

12月23日発売のTV Bros.2022年2月号では、監督のラナ・ウォシャウスキーや共演するキャリー=アン・モスのインタビューも含めた特集を掲載! そちらもあわせてお読みください。

 

<プロフィール>
キアヌ・リーブス
1964年レバノン生まれ。『スピード』(1994年)、『マトリックス』シリーズ(1999年~)、『ジョン・ウィック』シリーズ(2014年~)をはじめ、数多くのヒット作品に出演。『ファイティング・タイガー』(2013年)では主演とともに監督も務めた。

 

『マトリックス レザレクションズ』
『マトリックス』『マトリックス リローデッド』『マトリックス レボリューションズ』で3部作完結となった同シリーズの新たな物語を描く、18年ぶりの新章。過去3作と同じく監督はラナ・ウォシャウスキー、主人公ネオとトーマス・アンダーソンも同じくキアヌ・リーブスが務める。『マトリックス』というゲームを創った著名なゲームデザイナー、トーマス。そんな彼の前に気になる女性、ティファニーが現われるが、彼女には夫も子供もいた。

監ラナ・ウォシャウスキー 出キアヌ・リーブス キャリー=アン・モス ジェイダ・ピンケット・スミス ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世 プリヤンカ・チョープラー・ジョナス ニール・パトリック・ハリス ジェシカ・ヘンウィック ジョナサン・グロフ クリスティーナ・リッチほか
(2021年/アメリカ)
全国公開中
©2021 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED
配給/ワーナー・ブラザース映画

 

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