“スーパースター”ジョン・シナが今夏、“ハリウッドスター”として大暴れ！【2021年7月号映画特集】

プロレス界から映画界に殴り込みをかけ、大成功した人気者と言えば“ロック様”ことドウェイン・ジョンソン。そして、そのあとに続く勢いなのがジョン・シナだ。米大手プロレス団体WWEのプロレスラー“スーパースター”として大きな人気を誇っていた彼の出演作がこの夏、何と2本も公開！　それも『ワイルド・スピード／ジェットブレイク』と『ザ・スーサイド・スクワッド　“極”悪党、集結』という超話題のブロックバスター作品に出演しているのだ。これって凄くないですか？

というわけでTV Bros.WEBの映画特集7月編は、シナさんの言葉＆関係者の証言を交えながら、その魅力に迫りたいと思います！　プロレスラーとして「ワル学博士」の異名や映画関係者から「暴言マシン」というあだ名まで頂戴するシナさんだが、そのイメージとはかけ離れた映画への真摯な取り組みが明らかに！？

取材・文／渡辺麻紀

 

先輩たちをちゃんと立て、とても奥ゆかしく、気配り上手なジョン・シナ

 

コロナ禍明けを宣言するかのように全米で公開され、大ヒット中の大人気シリーズ第9弾『ワイルド・スピード／ジェットブレイク』。主人公のドミニク（ヴィン・ディーゼル）には、父親の死をきっかけにケンカ別れした弟がいたという設定で、過去と現在を行き来する物語が展開する。その弟ことジェイコブを演じているのがジョン・シナだ。

確かに両者とも、タンクトップがお似合いのマッチョなボディがトレードマーク。本作ではそれを活かしてふたりの格闘技的なアクションも用意されている。その映像はまさに『ゴジラVSコング』に引けをとらない大迫力。このキャスティングが正しかったことがよーく分かる。シナも「まさにレッスルマニアのメインイベントだ。私たちが共演するなら誰もが望むエピソードだよ」とご満悦の様子だ。

そこでついつい思い出すのがロック様のこと。彼も『ワイスピ』に出演していたが、ヴィンとの相性が悪くメインシリーズを離れてスピンオフで活躍することになっている。しかし、シナの場合は問題なく進んだようなのだ。

「このシリーズのストーリーテラーはジャスティンとヴィン。ふたりが、ジェイコブというキャラクターをクリエイトしてくれる。私はそうやって演技をするほうがいいんだ。そのほうがやりやすいんだよ。それに彼らは『こういうのでやろうと思っているんだが、どうだろう？』と尋ねてくれるから、意見も言える。文句のつけようがない」。

つまり、自分の立場を理解し、先輩たちをちゃんと立てているということ。とても奥ゆかしく、気配り上手。ディーゼルも、その立場を脅かされることがなかったのかもしれない。

「チャンスというのは自分で見つけるものではなく、向こうからやって来るもの。常にすべてのアイデアに対してはオープンでいたい」

 

では、一方の『ザ・スーサイド・スクワッド～』はどうかというと、まるで違うイメージなので、まさにジョン・シナ恐るべし、なのである。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのジェームズ・ガンがメガホンを取った『～スクワッド』は、いわばアメコミ版『特攻大作戦』（ロバート・アルドリッチ監督による1967年製作の戦争映画）。使い捨ての悪役キャラたちが減刑を交換条件に、米国政府の命令で南米某国に潜入し、その秘密実験の真相を暴く。注目すべきは、いかにもガンらしい、個性的すぎるヴィラン14人の大競演！　そのなかでも、異彩を放っているのがシナ扮するピース・メイカーなのだ。

『～スクワッド』の出演者のひとり、ポルカドットマンを演じているデヴィッド・ダストマルチャンはシナについてこう語っている。

「今回の撮影でもっとも意外だったのはジョン・シナだよ。あんなに面白いヤツだったとは！　と驚いてしまったんだ。プロレスラー、俳優、コメディアンとして優秀なのは知っていたが、その暴言が本当に凄いんだ。僕なら『暴言マシン』という肩書も差し上げたい」。

これはダストマルチャンのみならず、本作のキャストすべてが言っていること。シンカー役のピーター・パカルディも「一見すると物静かな男なのだが、カメラが回り始めると、とんでもない言動をしだすんだ」。さらにハーレイ・クインのマーゴット・ロビーも「ジョンは、これまでの私の人生で最高のアドリブをする人だった」と絶賛。もしかして現場を席巻したのでは？　と思わせるくらいの大人気っぷり！

当人にそれについて尋ねると「心のなかでいくつか考えていることがあり、その一部がフィルターを通さずにそのまま出てしまうんだと思う」と涼しい顔で言ってのける。

ちなみに本作でシナが演じているピース・メイカーは、平和を脅かす存在を平気で血祭りにあげてしまう歪んだ平和主義者。簡単に言ってしまえば「イヤ～なキャプテン・アメリカ」で、本作でも笑いと邪悪なパワーを発揮しまくり、強烈な印象を残す。

「『～スクワッド』のラッシュをスタジオのお偉いさんたちに観せたら、いたく気に入ってくれて、“TVシリーズでやるならどのキャラがいい？”と聞かれ、思わず“ピース・メイカーですかね”って答えちゃったのさ。子供のころ、夢中で観ていたTVドラマ版『キャプテン・アメリカ』を超ダサくしたようなシリーズをやりたいって思ったんだ（笑）」。

と言うのはガン。早い話、彼にとってもそれくらい強烈な存在だったということ。そういうキャラクターになったのも、ジョン・シナの力によるところが大きく、当然、この後、TVシリーズでも活躍することになる。もしかして、その人気はロック様にも迫る勢い！？

「いやいや、私はこの映画業界では新参者で、いまはまだ、自分の進むべき道や、自分だからこそのクリエイティビティを探しているところなんだ。だから、将来を見通すなんてことはまだ出来ない。それに、私の持論は、チャンスというのは自分で見つけるものではなく、向こうからやって来るもの。チャンスが訪れたときに自分の目で見極めなければいけないと考えている。そのために私は、常にすべてのアイデアに対してはオープンでいたいんだよ」。

こういう真摯な言葉を口にしつつ、ジョークもアクションも暴言もアドリブもOKの逸材。さらに言っておくと、「ピアノもびっくりするくらい上手で、目の前でショパンを弾いてくれた」という目撃証言や、「中国語もしっかり喋れる」とも言われている。当人曰く「中国語は、中国にWWEの魅力を伝えるために勉強したんだ」というから、勉強家でもあるのだ。

あらゆる可能性を秘めたジョン・シナ。そのほとばしる魅力を是非ともこの2本から感じ取ってほしい。

 

『ワイルド・スピード／ジェットブレイク』

監督／ジャスティン・リン　脚本／ダン・ケイシー　出演／ヴィン・ディーゼル　ミシェル・ロドリゲス　タイリース・ギブソン　クリス・“リュダクリス”・ブリッジス　ジョン・シナ　ジョーダナ・ブリュースター　ナタリー・エマニュエル　サン・カン　with ヘレン・ミレン　and シャーリーズ・セロンほか

（2021年／アメリカ／143分）

• ドミニクはパートナーや愛息と平和な日々を過ごしていたが、自身の過去の罪に否応なく向き合うことに。さらに、実の弟ジェイコブの存在が明かされる。世界を揺るがす陰謀を阻止し、凄腕の殺し屋ジェイコブと戦うため、ドミニクらは立ち上がる。

8／6（金）全国超拡大公開！！
配給／東宝東和
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『ザ・スーサイド・スクワッド　”極”悪党、集結』

監督／ジェームズ・ガン　出演／マーゴット・ロビー　イドリス・エルバ　ジョン・シナ　ジョエル・キナマン　ピーター・キャパルディ　シルベスター・スタローン　ヴィオラ・デイヴィスほか

（2021年／アメリカ／132分）

• ジョーカーと別れてますますクレイジーになったハーレイ・クインをはじめ、強烈な個性を持った悪党たちが、減刑を取引条件に世界を救うミッションに挑む。デビッド・エアーにより映画化された『スーサイド・スクワッド』を、ジェームズ・ガンが新たに描く。

8／13(金) 全国公開
配給／ワーナー・ブラザース映画
© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics

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