創作活動の種は高知で過ごす日常から 絵本作家・イラストレーター柴田ケイコ【「高知アヴァンギャルド」発売記念特集】

発売中の「高知アヴァンギャルド」。テレビブロスならではのカルチャー的視点で、高知のアヴァンギャルドな情熱や愛に溢れる観光地や建物、食べ物、人を、高知在住、高知出身の編集スタッフが中心となってご紹介しています。

ここでは、「高知アヴァンギャルド」に掲載されている記事の一部をWEB版としてご紹介!

今回は「パンどろぼう」の作者で、高知で創作活動を続ける絵本作家・柴田ケイコさんのインタビューをお届けします!

 

創作活動の種は高知で過ごす日常から 絵本作家・イラストレーター柴田ケイコ

 

今、子どもも大人も夢中になっている絵本といえば『パンどろぼう』シリーズです。その作者である柴田ケイコさんは高知県出身で、人気作家となった今でも高知に暮らし続けています。高知のおいしいものを食べ、自然の中を歩く日常に、多くの人をトリコにする作品の原点がありました。

 

取材・文=高橋さよ  撮影=畠中詩織

 

 

―ー絵本のキャンペーンで全国あちらこちらへ飛び回っている柴田さんですが、拠点はずっと高知だというイメージがあります。県外にいたこともあるんですか?

 

短大時代に県外へ出て、卒業後に香川県の印刷会社に就職してオペレーターとして働いていた時期もあります。でも、もともと目指していたのはグラフィックデザイナーで、オペレーターの仕事は全然別物だったので2年も続かなかったですね。

 

――グラフィックデザイナーを目指したきっかけとなったものは?

 

帯屋町に「金高堂」という本屋さんがありまして、旧店舗の3階にデザインや絵画なんかの専門書を集めたフロアがあったんです。高校時代、そこに通うのが好きだったんですよね。そこでグラフィックデザインの作品集を見て、「広告業ってかっこいい! こういう仕事が

したい」と思うようになりました。

 

――県外から高知に帰り、グラフィックデザイナーになろうと?

 

そうです。私の父は「2年も保たずに帰ってくるなんて!」と怒っていましたが、自分で生み出す仕事をしたいという思いが強かったですね。高知でたまたま社員募集していたデザ

イン会社を見つけて就職しました。その頃に「イラストレーターに頼むよりも、社員が描いたほうが早くて安いから」という理由で、イラストも描くようになりました。

 

――イラストは昔から描いていたんです?

 

子どもの頃から絵を描くことは好きでした。勉強ができない子どもで、唯一できるのは図画や美術だけだったんです。そのデザイン会社が4年ほどで解散することになりまして、独立してフリーランスでやっていこうと決めたんですが、デザイナーになるのか、イラストレーターになるのかで悩んでいました。そのときに先輩が言ってくださった「イラストをやったほうがいいよ」というひと言に背中を押してもらいました。

 

――イラストレーターを目指すなら、高知ではなく都会のほうがチャンスが多いと思うのですが、高知を出ようと思いませんでしたか?

 

思わなかったですね。ただ、都会に比べると高知はイラストの仕事が少ないし、イラストレーターとしてやっていくには大変でした。一度、東京へ行ってイラストを学んだほうがいいのかなとも思いましたが、「学んだとて仕事をもらえるものだろうか」と思ったりして。だったら、高知に居座って「イラストレーターです!」って言い張ったほうがかっこいいなと思って。それに、私はずっと「東京は怖い街」と思ってたんですよね(笑)。

 

――わかります(笑)。生まれも育ちも田舎だと、そう思いがちですね。

 

だから、高知でやろうと。当時はとにかく必死でした。最初からイラスト1本では無理だったので、デザインの仕事も請け負っていましたし、昔はSNSがないからイラストをファイリングしてクライアントさんに持って行ってました。

 

――当時の柴田さんのイラストって、オシャレみが強かったですよね。

 

そうそう。『an・ an』(マガジンハウス)に憧れてたんでしょうね(笑)。

 

――でも、高知にはそれまでなかったタイプのイラストでした。高知の広告業界や出版社の間では「柴田さんのイラストを使ったらオシャレになる」ってみんな使いたがっていましたね。

 

本当ですか? 今はそっち系の絵は描いてないんですが、未だに個展では「オシャレケイコが良かった」って言ってくださる方もいますね(笑)。

 

――絵本を描き始めたのは2015年発行の『めがねこ』(手紙社)からですよね。お子さんが眼鏡をかけるようになったことがきっかけだったそうで。

 

そうです。うちの子は3歳から眼鏡をかけるようになったんですが、子どもよりも親のほうがビックリしちゃうんですよ。3歳児が眼鏡をかけていたら保育園で遊び道具にされないだろうかとか、いろんな不安がよぎるんですけど、「そうじゃないよ」って言ってくれるものが眼科にあってほしいなと思ったんです。最近は眼鏡をかけるお子さんが多いという

ことも聞いていたので、私以外にも不安を感じている親御さんがきっといるはずだと思って。だから、絵本作家になりたくて描いたということではなく、そういう親御さんの近くに寄り添える作品を置いておきたいという気持ちが強かったですね。

 

※インタビュー全文をお読みになりたい方は、発売中の「高知アヴァンギャルド」をチェック!

 

柴田ケイコ●1973年高知県生まれ。2002年にフリーのイラストレーターとして独立。2016年に『めがねこ』(手紙社)で絵本作家デビュー。『おいしそうなしろくま』(PHP研究所)で第8回リブロ絵本大賞を受賞。『パンどろぼう』(KADOKAWA)で第11回リブロ絵本大賞、第1回TSUTAYAえほん大賞、第13回MOE絵本屋さん大賞2020第2位を受賞。現在も高知在住。

【商品情報】
別冊TV Bros.VISITシリーズ 高知アヴァンギャルド
●定価:1,320円
●発行:東京ニュース通信社
全国の書店、ネット書店にてご購入いただけます。詳細はTOKYO NEWS magazine&mook<https://zasshi.tv/>をご確認ください。

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TV Bros.編集部
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