注目のお笑いコンビを紹介する『OWARAI Bros.出張版これからの芸人百景』第19回は、ロジカルな言葉遊びによる掛け合いが特徴的な漫才を見せるカベポスター。昨年は関西で開催されている若手の賞レース『第11回ytv漫才新人賞』(ytv)と『第43回ABCお笑いグランプリ』(ABC)にて2冠を達成。『M-1グランプリ2022』(テレビ朝日系)では初めて決勝進出を果たすなど、漫才師としての面白さが一気に知られた1年だった。
このインタビューが開催されたのは、昨年12月下旬。『M-1』の熱も冷めやらない中でふたりから出てきた言葉は悔しさが滲むものも多かったが、2023年、さらなる活躍が期待される1組であることは間違いない。
構成/竹村真奈 村上由恵(タイムマシンラボ)
取材・文/高本亜紀 撮影/大槻志穂
バックナンバーはこちら
『OWARAI Bros. Vol.5』絶賛発売中!詳細はこちら
■『M-1』後にかけられた言葉
──『M-1』決勝が終わって1週間経ちましたね。
浜田順平(以下、浜田) ああ、もう1週間経ったんですね。大阪の劇場に帰ってから、お客さんもそうですけど、周りの芸人からも「トップバッター、よくやったね」とか「トップバッターじゃなかったとしたら、めっちゃよかったんじゃない?」とか労ってもらいました。あと、「山田邦子さんの点数どう思った?」とかもよう聞かれましたね(笑)。
永見大吾(以下、永見) けどまあ、終わってからまだちゃんと落ち着けてないといいますか。早く切り替えたいなと思いながらも、休みの日も寝ちゃったんでまだ心のどこかに残ってる感じがあって。例えば、新ネタを考えたりと次に向けた作業を始めたら切り替えられるのかなと思うんですけどね。
──コンビ結成から目標としていた決勝の舞台に立ってみて、いかがでしたか。
永見 あっという間で、もうちょっと味わいたかったなという気持ちです。もちろん『M-1』やなっていう実感はあの一瞬でも持つことができたんですけど、もうちょっと(あの場に)いときたかった。それに実感が足りないからこそ、来年も……みたいな気持ちも強くなりました。
浜田 ほんまにそう。もっと『M-1』を強く感じたかったですね。緊張しながら“まだ選ばれへんなぁ”とか思いたかったですし、長い時間テレビにも映っておきたかったし、人の目にも触れておきたかった。僕もいち視聴者やったからこそわかりますけど、トップバッターでただただ散っただけでは記憶には残らない。周りの先輩や芸人仲間から声をかけてもらったことで渋くていい活躍とか大会の盛り上げに一役買えたかなとは思いますけど、インパクトを残せへんかったという気持ちはあるので、来年は8番目くらいで出たい。長くあの場にいたかったですね。
■人生のピークを塗り替えた2022年
──昨年は『ytv~』と『ABC~』と関西の賞レースで2冠を達成。自信のついた1年にもなったのではないですか。
浜田 そのときはもちろん嬉しかったですし、『M-1』に向けてすごく緊張もしてて……。僕、今まで小6が人生のピークやったんですよ。身長もいちばん高くて、ドッヂボールもいちばん強くて勉強もできて、バレンタインにチョコ4個ももらって。そこからずっと下がりっぱなしやったんですけど、今年、人生のピークが来たな。35歳で更新できたなと思ってたんです。『ytv~』で優勝して芸人としてメシが食えるようになりましたし、『ABC~』っていう獲りたかった賞も獲れて。で、『M-1』決勝にも初めて行けたのも嬉しかったんですけど、今は悔しい思いが勝ってます。6:4でしんどかったが勝った1年。それくらい、『M-1』がデカすぎました。もちろん、1~2年後振り返ったらあの年楽しかったなとなりそうですけど。
永見 結果としては今までの年と比べてよかったんですけど、その分、2023年が不安といいますか。もっと成長したいという気持ちがあるぶん、いい感じの1年にできるのかなって。『M-1』も2022年以上のいいネタを用意して参加できるんかなって不安を感じてますね。
──ちなみに、永見さんの人生のピークは?
永見 え、どこやろ? そこまでめっちゃ楽しかった年はないんですけど……4~5歳の頃かな。幼稚園にも入ってない頃、子供の日に兜を飾ってもらったんですよ。その前で僕があぐらをかいてる写真があるんですけど、今まででいちばん自信満々な顔をしてたのでそのときがもしかしたらピークやったかもしれないです。
浜田 超えてないん? 今年も。
永見 未知やねんなぁ。そのときの気持ちを覚えてないから。
浜田 じゃあ、例えば『ytv~』と『ABC~』で優勝したときの写真と比べてどうやった?
永見 それは超えてない。
浜田 ほんまに? どんな顔してるん。
永見 めっちゃ自信満々。徳川家みたいな顔してる。
浜田 それ、兜にだいぶ引っ張られてるやん(笑)。
──(笑)。それほどに自信がみなぎった顔をしていたんですね。
永見 はい。顔もパンパンですしね。
浜田 子供ってそういうもんやろ。その顔、『M-1』優勝したら超えられるんかなぁ。Cygamesさんから甲冑会社にスポンサーが変わったら、優勝して兜かぶらせてもらえるかもしれんし。
永見 甲冑の大手になったら、そうなるかもしれんな。
浜田 でも、甲冑くさすボケできなくなるんはちょっとキツいなぁ。
永見 たしかに。あのトロフィーも甲冑みたいになるかもしれんし。
浜田 それはさすがにやりすぎ。無茶苦茶やわ(笑)。
■僕の好きなお笑いは伝わらないと意味がない
──コンビ結成から漫才をやり続けてきたおふたり。成長や成熟のようなものを感じることはありますか?
この記事の続きは有料会員限定です。有料会員登録いただけますと続きをお読みいただけます。今なら、初回登録1ヶ月無料もしくは、初回登録30日間は無料キャンペーン実施中!会員登録はコチラ