lyrical schoolのメンバーhimeの連載「社会人でびゅ〜!」。長きにわたる学生とアイドルの両立生活を経て、晴れてアイドルラッパーとして社会人デビューを果たした彼女が、立派な社会人アーティストになるべく奮闘します! というテーマでスタートした当連載も、himeのリリスク卒業にともない、幕をおろすことになりました。ということで、ラストは連載振り返りインタビューをお届け! himeが立派な社会人になっていく姿をこれからも応援しています! これまでの記事はこちらから!
取材&文/吉田可奈 撮影/佐野円香
――今回で連載『社会人でびゅ~!』が最終回となります。様々な人たちからお話を聞くことができた連載となりましたね。まずはゲストに来てくださった回をふりかえってみましょうか。最新回ではRin音さんとの対談になりました。初の同い年ゲストということで、いままでとはまた違う姿を見せていたのが印象的でした。
ーーそして記念すべき初めてのゲストは振り付け師で、対談後にアイドル専門のトレーニングジムもスタートさせた竹中夏海さんにお越しいただきました。
竹中(夏海)先生と対談をしたときは、自分を丸ごと受け入れて下さった印象がありました。もちろん、これまでも多くの人に褒めてもらうことはありましたが、竹中先生は、存在自体を肯定してくれたように感じたんです。この日初めて2人でお話をしたんですが、アイドルというよりも、1人の人間として自信を付けてくれました。
――アイドルのメンタルヘルスの問題について話していましたよね。
アイドルをしているなかで、アイドルのメンタルケアが行き届いていないことを日々実感していたんです。竹中先生もそこに気付いて下さっていて、メンタルだけでなく、身体のケアも大事だから、そのために動こうとしていると教えてくれたんです。そのときに、こんなにもアイドルの心と身体のことを考えてくれる方が近くにがいたことに嬉しくなりました。私自身も、大学では青年心理学を学んでいましたし、学生をやりながらアイドルをしていて、本当に大変なことも知っているので、いつか、同じ経験をしている子たちを助けられる存在になれたらいいなとも思ったんです。
――“こういう大人がいたらいいな”と思っていたからこそ、今後、同じようなことで悩む人たちの気持ちは分かってあげられますしね。
そう思います。あとは、KEN THE 390さんとお話をさせていただいたときに、ラッパーの先輩としてだけでなく、ひとりの経営者としてもお話をして下さったんです。そこで“現状維持は少しずつすり減っている”と言われてドキッとして! とても鋭いことを言ってくれているのに、お話のされ方が柔らかいから、傷つかないし、怖くないし、お説教っぽくないので(笑)、すごくすんなりと入ってきたんです。私も後輩の面倒をみたり、ケアをしてあげたいと思ったときに、KEN THE 390さんのように話したいなと思いました。
――同じことを言っていても、話し方ひとつで印象が変わりますよね。
そうなんです! 相談に乗ってくれた方の話し方が怖かったり威圧感があったりすると、悩みを話し辛くなることもあって…。でも、KEN THE 390さんは厳しいことも優しく答えてくれて、視野を広げてくれたんです。きっと、一度社会人を経験しているからこそ、そういう話し方ができるのかなーって。
――憧れのCHICO(CARITO)さんとお話したときは、ものすごく緊張されていましたが…。
本当に緊張しました! CHICOさんに対しては本当にただのファン、大好きなんです。お会いする前はクールな印象があったんですが、実際に会ったらものすごく明るくて、ちょっと冗談も言ってくれたりして(笑)。そういうことをしない人だと思っていたので驚きました! さらに、いまは成功されていますが、挫折した経験も教えてくれたり、いまの私の年齢だった頃に、学生時代の私と同じ悩みを持っていたことも教えてくれて、すごく身近に感じることができたんです。それに、CHICOさんは、何度もソロでも頑張れば?と言ってくれたんですよ。
――ソロはこれまでも考えていなかったんですか?
いままで、いろんな方に背中を押してもらっても一歩踏み出せなかったのは、グループに集中したかったからなんですよね。ソロとグループを同時にやることで、ごまかしの80点を出すよりは、集中して100点を出していきたかったんです。この完璧主義が自分を苦しめちゃうときも多いんですけどね(笑)。
●24歳はまだまだ赤ちゃんって言ってもらえて心が軽くなりました(笑)
――ソロでの活動を期待してしまいます。人生、まだまだ長いですからね。
みなさんにそう言っていただけるんですが、私は長い間アイドルをやって来たので、24歳から新しいことをやるには遅いんじゃないかなって思うときもあって。年を取るのも、すごくイヤだったんですよ。でも、この連載を通して、“そんなことないのかな”って思うことができたんです。
――いやいや、24歳なんてまだ赤ちゃんですから! バブバブ!
あはは! 周りにも焦っている24歳がたくさんいるんですが、“大丈夫だよ、まだバブバブだよ”って伝えてあげたいです(笑)。それに、そう思うと、ラップももっとちゃんとやってみたいですね。それはリリスクのhimeとしてではなく、新しい自分として、ラップをやってみたいです。理想を言うのであれば、自分でリリックを書いて、自分がやりたいと思ったタイミングでライブがしたいんです。さらに衣装もアーティスト写真も全部自分でプロデュースしたいんですよ。
――完璧主義だからこそ、自分でやれるようになるとさらに楽しくなりそうですね。
そうですね。憧れている方がたくさんいるのですが、AwichさんがChakiZuluさんにプロデュースをしてもらうことで、より輝いてらっしゃる姿を見ると、自分と相性がいいプロデューサーさんと出会うことができたら、一緒にやるのも楽しそうだなとも思っています。もちろん、リリスクのプロデューサーも大好きですよ! ただ、どうしても5人を見てのプロデュースになるんですよね。そうではなく、1人の私をどう見せていくかというところに焦点を置いて、カッコよく見せていけるようなことができたらいいなと思っています。
――自分のアイデンティティを自分で表現できるようになるのは楽しみですね。
はい。いつかやってみたいですね。
――リリスクを卒業した後、プライベートでやってみたいことはどんなことですか?
花火大会へ行きたいです! 15歳からこの世界に入り、いままでは忙しくて行けなかったんですが、我慢することなく、純粋に行きたい場所に行ける時間を大切にしたいです。ファッション関連のこともやりたいとも考えたんですが、お洋服が好きなだけで、専門的な知識や技術があるわけではないので難しいのかなって。メンバーやラッパーの友だちを写真に撮ることも好きなので、一度ちゃんとカメラについて勉強するのもいいなと思っています。
●友達にも「コミュ力すごいね」って。アイドル活動で自然と身についたのかな(笑)
――やりたいことがたくさんあるのは素敵ですね!
なかでも、いま一番興味があるのが、ネイリストの資格です。アイドルの後輩の悩みを聞いてあげたいなと思ったときに、カウンセリングと言ったら少し敷居が高くなっちゃうじゃないですか。いま辛いと思っている最中の子も、“カウンセリング”っていう名前にハードルを感じてしまいそうで。でも、ネイルサロンでネイルをしている2時間くらい、話を聞いてあげるくらいなら話しやすいはずなんですよ。アイドルっていろんなところを気にしなくちゃいけないからお金もかかるし、学生でアイドルをするって本当に大変なんです。なので、アイドル向けに安めにやってあげられたらいいなとも思っているんです。
――みんなのメンタルを支える、いいアドバイザーになりそうですね。
そうなれたらいいですね。あとは、老人ホームなどでネイルをするのも憧れていて。いくつになってもネイルがキレイだとテンションが上がるんです。それがネイリストの資格を取ればできるようになるので楽しみですね。
――アイドルを経験しているから、コミュニケーション能力は最高に身についていそうですね。
たしかに、店員さんと普通に接していても、友だちから“コミュ力すごいね”って言われることが多いんです(笑)。基本的にアイドルは、初めての人と話すときに相手が緊張しないように心がけることを意識してる人が多いと思うから、その能力は今後も活かせるかもしれないです(笑)。そこは、アイドルやっていて良かったところですね。
●ラストが日比谷野音ってかっこいいですよね。ぜひ遊びに来てください
――そしてhimeさんのリリスクとしての最後のライブが、7月24日に開催される日比谷公園大音楽堂でのワンマンとなります。
野音はグループとしてずっと目指していた場所なんです。そこでラストを飾れるのは、カッコいいですよね。個人的に好きなラッパーさんを何度も観に行った場所ですし、ステージに立つのは初めてなので、いまからすごく楽しみです。それに、現体制ラストとなるアルバム『L.S.』は、自分にとっても、グループにとっても集大成となる作品にしたかったので、自分が納得いくようにすべての曲に全力を注ぎました。どの曲もすごく個性的なので、“1枚にどうやってまとまるんだろう”と思っていたんですが、いまの5人が、お互いにどんな子かを熟知しているからできたチームワークがあったから、すごくいい1枚になったんです。今後、リリスクはまた新体制となりますが、この音源は私たち5人だからこそ歌える1枚だと思ってもらえるように、プライドを持ってレコーディングに臨みました。その気持ちが伝わったら嬉しいです。
――本当に様々な曲が収録されていますよね。
はい。なかでも嬉しかったのは、女性の作家さんが多いことなんです。同性だから共感することも多いですし、レコーディングもすごくやりやすくて。さらに「Wings」では、大好きなプロデューサーのRIKくんにプロデュースしてもらったんです。RIKくんは同じ年なんですが、これまで年齢が近い人と仕事をしたことがあまりなかったので、とても新鮮でした。同世代の皆さんに対しての尊敬は本当に大きいし、同じ年でこんなにいい仕事ができるんだとしたら、今後も、同世代の人たちと出会って一緒に曲を作れたらいいなと思いました。
――今後のhimeさんの活躍を楽しみにしていますね。
はい! まだまだ24歳は若いということを改めて教えてもらえてよかったです(笑)。これからは、自分らしい、新しい一歩を踏み出せて行けたらいいなと思っています。まずは野音でのライブを楽しみにしていて下さい!
hime●lyrical schoolのメンバー。2015年11月よりメンバーとして参加。2022年7月24日に開催される日比谷公園大音楽堂でのライブを持ってグループを卒業する。ニューアルバム『L.S.』発売!詳細はこちら→http://lyricalschool.com/
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